清瀬校渡辺です。

 

今回は西暦〇年問題についてのお話を。

古くは2000年問題(西暦2000年であることをコンピュータが正常に認識できなくなるという問題)や,最近では2040年問題少子化による急速な人口減少と高齢者人口がピークに達することで、日本が2040年に直面すると考えられている問題)等があげられていますが,今回は来年の西暦である「2024年問題」について取り上げます。といっても、社会問題ではなく、数学(算数)のお話です。

 

例年,中高の入試問題ではその年の西暦を用いた問題が出題されることがあるので,来年の西暦である「2024」にちなんだ問題を今回と次回の2回に分けてお話しいたします。

 

 

1回目の今回は、2024を素因数分解することから,「倍数の見分け方」を学んでいきましょう。

 

素因数分解とは,ある整数が2で割り切れれば割り続け,3で割り切れれば割り続け,5で割り切れれば割り続け・・・と,素数で割ることを繰り返し行い,商が素数になったところで作業は終了し,もとの整数を素(因)数の積の形で表すことです。

 

例えば,60を素因数分解すると,60÷2=30,30÷2=15,15÷3=5から,60=2×2×3×5となります。(今回は小学生にも理解してもらえるように,累乗の形は省略します。)

ここで登場する素数が、2や3や5など、割り切れることが気づきやすい数字であれば問題ないのですが,そうでない場合,ある整数を一目見てその整数が何の倍数がわかれば便利ですよね。

 

では倍数の見分け方に注目しながら,本題の2024の素因数分解を考えてみましょう。

 

2024は一の位の数が4で偶数なのでまずは2で割るのがオーソドックスな解き方ですが,今回はあえて別の見方で素因数分解していきますサーチ

 

2024について・・

2024の下3けたの数024が8の倍数なので、2024も8の倍数である2024=8×253=2×2×2×253

 

次に253について・・

右から1番目の位の数「3」と、右から3番目の位の数「2」の和である「5」と、「右から2番目の位の数である5」の差が5―5=0なので、253は11の倍数である。253=11×23

したがって,2024は素因数分解すると・・

2024=2×2×2×11×23となります。

 

上で利用した「倍数の見分け方」についてまとめると,以下のようになります。

 

8の倍数の見分け方

下3桁の数が8の倍数または000である

例えば,5000は下3けたの数が000なので8の倍数,5000=8×625

3120は下3けたの数が120で8の倍数なので8の倍数,3120=8×390

 

11の倍数の見分け方

「右から奇数番目の位の数の和」と「右から偶数番目の位の数の和」の差が11の倍数または0

例えば,3190は右から奇数番目の位の数の和が0+1=1,右から偶数番目の位の数の和が9+3=12,12―1=11なので11の倍数。3190=11×290

8624は右から奇数番目の位の数の和が4+6=10,右から偶数番目の位の数の和が2+8=10,10―10=0なので11の倍数。8624=11×784

 

8の倍数については,一の位の数が偶数であるので2で割り続けていけば問題ないのですが,11の倍数はなかなか気づきにくいのではないでしょうか?

 

今回取り上げた2つの例の他にも,

 

3の倍数⇒各位の数の和が3の倍数

4の倍数⇒下2けたの数が4の倍数または00

9の倍数⇒各位の数の和が9の倍数

 

などがあります。

 

今回は素因数分解を例として取り上げましたが,中学受験を考えていない小学生もこれら倍数の見分け方が身につけば,分数の約分忘れも減ると思います。

 

家族で車に乗っているときに,前を走る車のナンバープレートの数字を見て,これは9で割り切れるかな?11で割り切れるかな?など,日頃から身の回りで目にする数字に注目して頭の中で計算するような習慣がつくと,少しでも数字に親近感が持てるようになるかもしれませんね。