Startin' over… -14ページ目
クリスマスケーキに火をつける。
誰にも邪魔されないラブホテルの一室。
12月27日。
売れ残りのケーキさえ店頭から消える。
一人デパートの地下街で食品を買いそろえる自分が惨めだった。
またけっこうな重量なそれらを一人持って歩く自分が。
7年ほど前であろうか。

ワインだけを片手にのんきに現れた慎吾が恨めしかった。

大切な人と、クリスマスを過ごすなど一生自分にはあり得ないと思っていた。
そして今年も。

だらしなさ、やっていない仕事、数え上げればきりがない。
それはコレクションになるほどに。

パワハラ認定された。
朝一に出勤したら、もう珍しく教室が開いていた。
嫌な予感がしたが的中した。

家庭から匿名のクレームがあったそうだ。
いつものように詳しい事は話されない。


一人は歯学部志望。
ここ2週間授業を欠席。
いずれもターゲットの最初の範囲に戻った単語テストがある日だった。
テストはその生徒さんが希望したから作成、実施していた。
もちろん無給だ。朝起きてすぐ、作成にとりかかることも多々あった。
もう一人は中学の英語からやばい高2。
中学文法の復習と学校の授業の両立が難しかった。
動作がゆっくりな生徒さんで、問題を解くのに時間がかかる。
ただ深いところまで理解したいという考えは持っている。
繰り返し・定着、そしてスピードアップが課題であった。
それでも点数は上がった。
テスト終了後、復習プリントを渡した。

背景にあるのはこのようなこと。
どうやら、パワハラととられたらしい。
彼らの家庭が要求している目標までかなりの距離があるため、
授業以外でもフォロー積極的にフォローした。
これがパワハラと映ったようだ。

声かけ・送り出しなども含め、生徒に必要以上にかかわらないようにと対応策を打ち出された。

「先生、私が生徒じゃなかったら付き合ってなかった?」
「いや。」
「結婚、してたかな?」
「そういうことにもなったかもね。」

生徒なんか好きになるもんじゃない。
許されない恋だとか、壁があるから燃えるとか、そんな生温い言葉で片付けられるのだろうか。

もしあいつが生徒じゃなかったとしても、
私は彼を愛しただろう。

なぜこんな形で出会ったのだろう、なんていう自問自答をする気はない。
本能で求めている。
だからこそ、社会から弾き跳ばされるのかもしれない。
適応能力が欠陥した、生物に過ぎない。