最後の粘り 3 | Startin' over…
それからも、あいつはもくもくと赤本を解く。
失敗するのを、ただ待っているようで歯がゆい思い。
質問に来る様子もない。
一番避けたかった状態で陥らないように、夏から用意し、秋はもがいて、
迎えるべくして陥ったこの状況。
為す術は無い中、為す術を探し求める。
無謀とわかっても、動くしか無かった。
可能性が0になるまでは。

「こんにちは。」
あいつが黙って顔を上げる。
軽蔑なのか鬱陶しさなのか、その両方が焦げ茶色の瞳に映し出される。
「何か質問ない?」

正解のない4択問題のようだ。
あらかじめ用意された数少ないフレーズを、
状況や感情に合わないのに無理矢理解答させられてるような心地。
答えは、無言でいいの。

「ない。」
「そう。」
安全校のことは言い出せなかった。

伊藤先生が出勤。
いつものお決まりパターンでバックルームで報告、というよりは愚痴って甘える。
結論はすぐ出ないことが多くなった。