Fire Fired factors. | Startin' over…
精神的に崩壊していた。

思うように授業ができない。
教材に制約が与えられる。
その上生徒さんへの接触まで限定されるのだから。

”解雇”の二文字が頭をめぐる。
集団維持のためには、反乱分子として私を取り除く方が用意だろう。

本気でこの会社はバカだと思った。
自分から売上げを下げるのはともかく、サービスの質まで下げるなんて。
これは信頼低下へまっしぐらだ。

何とかお金に見合うだけのサービスを提供したい、その一心であらゆる邪魔へ抗ってきたが
その努力を”パワハラ”の一言で片付けさせられたことに、どう怒りを憤りをぶつければいいだろう。
理解者はいない。
だけど理解者が欲しい。
男性依存はもう嫌だけど、
躊躇はなかった。

某有名私大の過去問を解いている最中だった。
あいつの、厚手のシャツで覆われた胸がたくましく映る。
心を開いたように投げ出される左手。
こんなに指は細かったであろうか?
触れてもいないのに、体温を感じる。

自制の壁を崩すのに、十分だった。

傍線部の英文の上に、赤ペンでこう書いた。

”一人で帰りたくない。The farther parking lot at 22:00."

アンダーラインを引き、あいつはうなづいた。

生徒さんにこんな個人的な弱い感情を吐露する講師。
働く場所など、ここには無いのだろう。

すぐ様その問題を小さく折り畳んだあいつ。
その目を見る度に私は支えられてきた。