ホテルに入った。
日中は日陰だったのだろうか。
入り口前の道はアイスバーンになり、がたついていた。
慎吾の腕につかまり、慣れないピンヒールのブーツで階段まで目指す。
「いいのか?」
目を見てうなづいた。
「今なら戻れるぞ。」
エレベーターに乗り込み、部屋、そして慎吾を迎える瞬間へと近づいて行く。
やっと欲しいものが手に入る。
どんな瞬間になるのだろう。
「入って。」
靴を脱いで部屋に上がると、どこに荷物を置いていいかに戸惑う。
慎吾はダウンジャケットを脱ぎ、ベルトに手をかける。
そして私の前に立つ。
「本当にいいんだな?」
両手で私の骨盤をつかむ。
目を合わせた瞬間、ニットを脱がされた。
上半身に彼の視線を感じる。
おもむろに慎吾の首に両手をかけた。
「誰にも言うなよ。」
「・・言わないよ。」
これが苦悩の始まりだった。
そして不意に唇を奪われた。