I walk behind summer.3 | Startin' over…
「すいません、20分くらい出てきます。」
生徒現状を一切把握していない上での無駄な自習フォローをする巨漢に伝える。
PCは置き去りにし、バッグと新聞だけもって休憩に出る。
あいつはどこに行ったのだろうか。

カツ丼派とは聞いていた。
一方で私は牛丼派。
だけど先日牛丼チェーンの前で鉢合わせた。
いけないこととわかっていながらも、ぼんやり歩くふりをしつつ祭りで賑わう街の中
あいつの姿を探してしまう。
会話が必要な子だ。
私の感情を抜きにしても。

結局例の牛丼屋に入ったが、見事に会うことは無かった。
ポテトサラダの食券を買う。
朝から何も食べていなかった。カフェのコーヒーより安い。
ここに来て正解だ。

「これね、親がいなくてごはん食べて帰る日。」
「そうなんだ。」
授業日程のカレンダーに、バイトのシフトが書き入れられている。
休み希望を出さなかったら、お盆休みはすべて入れられたとのこと。
大量の宿題をこなすため、LINEでシフトを代わってくれる人を探したが無理だったらしい。


一度休憩時間にごはんに誘ったことがある。
あっけなく断られ、脳内で超新星爆発を起こしたこともある。
この講師としてあるまじき好意、いや行為。
勘違いも甚だしいものと家に帰ってから荒れていた。
ただ、あいつの態度が急変するかと思ったがいたって普通。
後日信頼できる友人に分析してもらったが、
「ただ単に家帰ってごはん食べたかったんじゃない?」
という結果だった。
しかも、
「休憩中って言ったから気遣ったんだだと思うよ。
仕事終わりならまだしも。」
と付け加えられた。
超絶副詞句。
その頃のあいつは、英文でもどーでもいい単語に騙され主節を追って読解することができなかった。