別に泣きたかったわけではない。
悟られるのが怖くて、抑え込むのが辛くて、
嫌われたのじゃないかと思うと悲しくて
一方的に笑顔を消す。
差別しているつもりは無い。
仕事である以上、真面目という大義に則ってそれらをひた隠しにする。
もっと明るく、楽しくやる方法もあったに違いない。
悔しさ、悲しさ、あらゆるマイナスの感情をぶつけられるのは甘えているからである。
授業中に合わない目。
英文さえ見てくれれば満足だ。
あなたが目標に到達するなら、私は他に何も望まない。
そんなスタンスで十分なはず。
それでも内心では、それ以上を望んでいる。
講師として見せられる愛情以上のものがあるからこそ、
真剣、ひたむき、一生懸命という言説で片付けられたのかもしれない。
よくわからない感情が込み上がって来て
押し殺そうとして、わけもわからなくなって。
<嫌われたのかな?>
もっと触れ合えればいいのに。
「頭を冷やせ。」
慎吾に言われた。
親友はそれは嫉妬だと言ってくれた。
「先生、うちの母親が先生のことめっちゃ褒めてたよ。」
少しの笑顔とありがとう、すごく嬉しい。
実際の感情はそれより大きいのに
その一言以上は出なかった。