腹を空かせた息子たち | Startin' over…
全員でテーブルを囲む。
ビール、知らない銘柄の日本酒が数種類、そして奴が買ってきた白ワイン。
つまみとして残り少なくなったポテトスナック、青のりがかかったものだった。


「お腹すいてないの?」


うん大丈夫ー、と口々に言う。

そんなはずないだろう。
5時間バスケの後なんだから。


「肉焼いたら食べる?」

今度は口々に男どもが、食べるー。


白ワインを一口飲んだあと、台所に向かった。
スーツを着ていたため、またインナーが白であったため、油がはねるのが嫌だった。
破天荒ぶりにもほどがあるのは承知で、インナーを脱いで調理したいことを和馬に申し出た。

奴に限っては私の下着姿なんて見飽きただろう。

きっと深い仲になった男がいたから、こんなことができたんだろう。
居間と台所の間の襖を閉め、上の衣服を脱いだ。

直後に、襖が細く開き、間から和馬がハンガーを差し出してくれた。
「ありがとう。」


食パン、卵、牛乳があったため、最初にフレンチトーストをつくった。
キッチンが広かったため、作業が大変はかどった。


襖に人影が映る。
居間から笑い声。
困って笑ってるような雰囲気。

〈しまった!そうか〉

「トイレだよね、ごめんね。気にしないで開けてー。」
和馬が入ってきて、トイレに直行。

一緒にプールに行ったと思えばいい。
みっともないとは思いながらも、羞恥心は消えていた。
出てきたときに、ついでに砂糖の場所を教えてもらった。


食パンを浸した後、焼きに入った。

和馬と入れ代わりで今度は純がトイレに向かう。

…と思いきや、こっちをじっと見てくる。

恥ずかしいけど、開き直っていた。
今は焦がさないことに集中だ。
純がゆっくり近づいてくる。
〈え?〉
何か不満でもあるのか?なんか言われるのかな?と、かまえていた。

「うまそー。」
フライパンの中をのぞき込みたかったらしい。
そしてそこから離れない。
その後奴がこちらに来た。「デキ女でありダメ女。」
そう言い残し、冷蔵庫から新たにビールを持っていく。

焼けた分から、どんどんテーブルに運んでいった。

すべて焼き終わったあと、今度はたまねぎを切る。
肉が少ないため、できるだけ小さく切って、個数を増やした。
私自身がっつり食べたい気分だったが、これでは私の胃に入る分はほとんど無いだろう。