昔、私が勤務していたある大手不動産会社でのこと。


その会社には2人のタイプの違う営業マンがいました。

ひとりは、真面目で誠実なタイプの営業マン。ものごとを論理的に考え、データを重視するタイプです。もうひとりは、豪快なタイプの営業マン。ものごとを論理的に考えるというよりは、感性を重視するタイプです。当然、仕事のすすめ方も大いに違いました。


前者の真面目なタイプの営業マンは、売却査定に対してもデータを重視していました。近隣の取引事例や物件の特性を考慮して売却価格を提示するタイプです。


もうひとりの感性を重視するタイプの営業マンは、データは参考にする程度。過去のデータよりこれからの期待感で売却価格を設定するタイプです。


当然、前者は現実的になるため査定価格は厳しくなります。それに対して、後者は楽観的になり、査定価格は高めになります。


では、どちらが売却依頼を受けることが多かったか?といえば、後者の感性を重視するタイプの営業マンでした。ビックリするような高い価格で平気で売却依頼を受けてくるのです。


もちろん大手不動産会社といえども、彼が依頼を受けてくるような価格では売れません。当たり前です。相場を無視した価格なのですから。


で、どうなるのか?彼は徐々に値下げ交渉に入るのです。


彼の特技は、売主さんとのコミュニケーションでした。何か用事を見つけては売主さんに電話したり、訪問したりします。そして、今こんな売却活動しています、最近こんな問い合わせがありました、とまめに状況報告をするのです。


人間とは不思議なもので、コミュニケーションの数が増えれば増えるほど相手に対して怒れなくなります。最初は、話が違うじゃないか、と怒っていた売主さんも、次第に怒らなくなってきます。それより、何とかして売って欲しいという気持ちの方が強くなってくるのです。


結果として、彼は大幅な値引きに成功します。

そして、売り切ってしまうのです。


売れた価格は?というと、真面目なタイプの営業マンが最初に提示した価格か、それより安くなります。どちらかといえば、売れるまでに時間が掛かってしまうため、安くなる方が多かった気がします。


恋は盲目ということばがありますが、欲も人を盲目にさせます。相場を無視した高値で売れるほど世の中甘くありません。調子のいい営業マンにはくれぐれもご注意を。








不動産のセカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは専門知識を持った第三者の意見を聞くこと。あなたは自分の決断に自信がありますか?



無料コンサルティング

キャリア25年、年間200件以上の物件を取材するベテランコンサルタントがあなたの悩みにお答えします。



無料ガイドブックプレゼント

間違いだらけの不動産取引き -はじめての不動産売買で失敗しない 5つのポイント- プレゼント中!