大震災の影響からか、古いマンションをお持ちのお客様からの問い合わせが増えています。そのほとんどが、もう古いマンションは売れなくなってしまうのでしょうか?というものです。
確かに、あれだけの大地震の後ですから影響は少なからずあります。消費者のなかには、マンションはやはり耐震性だと考える人もたくさんいることでしょう。
また、メディアやマスコミも耐震の重要性や、古いマンションの問題点をここぞとばかりに突いてきます。その傾向は徐々に強まるでしょう。理由ははっきりしています。新築マンション業者からの広告収入を増やしたいからです。今後、新築マンションは消費の低迷と、建築資材の高騰で販売は苦戦するからです。
もちろん、メディアやマスコミも消費低迷の影響を受けますから、新築マンション業者からの莫大な広告収入ははずせません。そのため、新築マンションを絶賛する記事は当然のことながら増えてきます。
では、もう古いマンションは売れなくなってしまうのでしょうか?
巷には、古いマンションの問題点を指摘し、新築マンションを絶賛する記事が溢れるわけですから、多くの人がそう思います。ましてや今のような大地震を経験した後ではなおさらです。しかし、世の中そうならないから不思議です。
なぜ、そうならないのでしょうか?
それは、景気が悪くなるからです。耐震の影響というのは、実は短期的なものなのです。確かに、大地震を経験した後は、耐震性について慎重になりますが、時間が経つにつれて忘れていくものです。それがいいか悪いかは別として、人間は忘れる動物なのです。
それに対して、不景気の影響は深刻です。特に今回のような大震災の後では、以前のような状況に戻るだけでも最低2年はかかるといわれています。そんな状況ですから消費者マインドは一気に冷え込みます。
バブル崩壊後もそうでしたが、消費者マインドが冷え込むと人は慎重になります。今流行のことばでいえば「自粛」です。特に高額な商品に関しては「自粛」するようになります。
では、どれくらい自粛するようになるのでしょうか?
私の経験でいえば、物件価格の2割から3割程度「自粛」するようになりrます。つまり、5,000万円の予算で考えていた人は、3,500万円~4,000万円くらいに、3,000万円の予算で考えていた人は、2,000万円~2,500万円くらいの予算に下がってしまいます。当然、この価格帯になると同じ条件では築年数の新しいものは買えなくなります。だから古いマンションが売れるのです。
人は先行きが不透明になると、今の年収で買える物件はなく、将来年収が下がっても返済できる物件を購入するようになります。
地震に対する恐怖は短期的なものですが、収入に対する恐怖は長期的なものだからです。国ですら予算がないために学校の耐震問題を放置する時代です。個人ではなおさら。万一の危険は承知でもムリのある支払いはできなくなるのです。
今回の大震災は、人々に「人生には想定外のことが起きる」ということを実感させました。今までのライフスタイルを改めようという意識すら芽生えつつあります。消費者の心に「自粛」ムードがある限り、古くても安いマンションは売れていきます。ご安心ください。
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