数日前、あるお客様から売却の相談を受けました。以前から気になっていたマンションがあり、そこに買い換えをしたいのだそうです。
問題は、現在のマンションの売却です。震災の影響で売れないのではないかと心配されていました。
震災の影響は少なからず出ています。
ある新築マンションのモデルルームでは、来場者が10分の1に減ったといいますし、新築住宅のオープンハウスでは週末の来場者ゼロというのも珍しくありません。あれほどの大災害の後ですから当然といえば当然の結果かもしれません。しばらく消費者マインドは落ち込むことでしょう。
では、売却を考えている人はどうしたらいいのでしょうか?
消費者マインドが回復するまで待つべきなのか、それとも今すぐ売却活動をはじめるべきなのか。
ここから先は、今後の日本経済をどうみるかという難しい話になってきますし、将来のことなのでなんとも言えません。ただ、私たちはバブル崩壊やリーマンショックを経験してきました。ですから、その経験から学べることはたくさんあります。
特に、バブル崩壊の経験は貴重です。今後の不動産価格を占う意味では参考になるでしょう。
ご存じのように、バブル崩壊によって不動産市場は壊滅的な打撃を受けました。市場は大混乱し、投げ売りが続出しました。半値7掛けという言葉が表すように、ついこの間まで1億円で売れていた物件がいきなり3,500万円でしか売れなくなってしまったのです。大企業をはじめ多くの優良企業が見切り売りをはじめたのです。
さすがに、投げ売りが始まった当初は、「狼狽しすぎだ」「市況はすぐに回復する」「そこまで値下げしなくても売れるのに・・・」という声が聞かれました。
実際、多くの人がそんな言葉を信じて売却を控えました。消費者マインドが回復し、市況が元に戻るのを待ったのです。
その結果、どうなったか?
不動産市況は回復しませんでした。その後も不動産価格は下がり続け、20年近く経った今でも当時の価格には回復していません。
結果、一番得をしたのは、バブル崩壊後すぐに見切り売りをした人々(特に大企業や優良企業)でした。当時、「慌てるな!」「もっと冷静に判断しろ!」と罵られた人の行動が、今となっては正しい行動だったのです。
株の世界には、「見切り千両」ということばがあります。含み損の状態にある株式などは、反転を期待して保有し続けるのでなく、手放して損切りすべきだという教訓で、上手に「 見切る」ことは千両に値するという意味です。
もし、あなたが今後不動産を売却する予定があるなら、これは肝に銘じておく必要があります。これから私たちには、災害復興、計画停電、赤字国債発行、将来の大増税、と懸念される問題が目白押しでやってきます。
過去の教訓を踏まえ、不動産売却の時期についても「冷静な判断」をすることが大切です。
セカンドオピニオンとは専門知識を持った第三者の意見を聞くこと。あなたは自分の決断に自信がありますか?
キャリア25年、年間200件以上の物件を取材するベテランコンサルタントがあなたの悩みにお答えします。
間違いだらけの不動産取引き -はじめての不動産売買で失敗しない 5つのポイント- プレゼント中!