昨年の出来事。

あるお客様から以前見たマンションを申し込みたいと連絡が入りました。場所は都内某所、価格は4,980万円の中古マンションです。

早速、購入申し込み書(業界用語で買付証明書)に記入していただき、
先方の業者(売主から売却依頼を受けている業者)にファックス。すぐに電話してみると、こちらの物件はすでに他の業者から申し込みが入っていますとのことでした。

3ヶ月がかりでやっと探し当てた物件です。買主さんもとても気に入っている物件です。このまま簡単に引き下がるわけにはいきません。そこで先に申し込みが入っている方の内容を聞いてみると、

「いやまだ具体的な内容は聞いていないんですよ、ただ1番手で買付が入っていますからその方優先です。」とつれない返事。
「その1番手の方は価格交渉はあるんですか?」とスタッフ。
「ええ、ありますよ。」
「いくら位でお申し込みが入っているんですか?」
「それは、お宅には言えません。」

次第に面倒くさそうな対応をする売主業者。
「こちらのお客様もとてもあの物件を気に入っているものですから・・・1番手の方以上の価格提示ができるかもしれません。いくら位かだけでも教えていただけないですか?」と食い下がるスタッフ。
「それはできません。」
「そうですか。こちらのお客様は自己資金も十分にありますし、住宅ローンも銀行の事前審査ではOKをいただいている間違いない方なんですが、それでもダメですか?」
「あくまで1番手の方が優先ですから」
「1番手の方を優先されるのはごもっともですのでそれは構わないんですが、こちらで1番手の方よりもいい条件が提示できれば売主さんも得じゃないですか?」としつこく食い下がるスタッフ。
「うちは買付優先ですから、そういうことはしないんですよ」
「そうですか・・・」これにはスタッフも閉口してしまいました。

同じ物件に申し込みが数箇所から入るケースはよくあることです。気の利いた業者ならそれをうまく交通整理して一番有利で安全なお客様を見つけだします。今回も売主側の担当者がもう少し気の利いた営業マンだったら、まず最初に1番手の申込者の内容を確認していることでしょう。

どこにお勤めの方で、自己資金がいくらあって、昨年度の年収がいくらで、勤続は何年か、すでに銀行の事前審査は受けているか等々、必要最低限の個人情報と、価格交渉がある場合は買い上げ交渉が可能なのかどうかの感触は確かめておくのが普通です。(なぜなら住宅ローンで契約解除になる危険性の少ない人と価格交渉が有利で進められるからです。)そして2番手以降の申込者には同様の確認と1番手以上の価格提示や条件提示ができるかどうかを確認します。

確かにその辺りの交渉過程は売主には直接伝わりませんので気にしてないのかも知れません。「知らぬは売主ばかりなり」ということでしょうか。売主さんが本当に気の毒です。

この物件に関しては、最終的には1番手の方でそのまま契約になりました。後日、成約事例を調べてみると成約価格は4,700万円。弊社のお客様はもし購入できるのなら4,980万円(満額)でも構わないとおっしゃっていましたので売主は280万円損をしたことになります。

ただその事実は売主にはわかりません。

「そんなバカな話ないよ。」と思われる方も多いかもしれません。しかし、これが不動産業界の現実です。自宅の売却をまかせるときは、担当となる人とよく話をして自分なりに納得できる人にまかせることが大切です。くれぐれもこんな担当者に引っかからないように。








不動産のセカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは専門知識を持った第三者の意見を聞くこと。あなたは自分の決断に自信がありますか?



無料コンサルティング

業歴25年、年間200件以上の物件を取材するベテランコンサルタントがあなたの悩みにお答えします。



無料ガイドブックプレゼント

間違いだらけの不動産取引き -はじめての不動産売買で失敗しない 5つのポイント- プレゼント中!