2024年7月3日に、一万円、五千円、千円の3券種が改刷される予定で、新しい日本銀行券(新券)は、発行開始日以降、日本銀行から金融機関に支払われ、準備が整った金融機関から、順次、金融機関の窓口やATM等において入手可能となる。新しいお札は、150年以上にわたり培った偽造防止技術の結晶で、新一万円札を例に採用される、デザインや偽造防止技術、ユニバーサルデザインについて以下に紹介します。
・ デザイン
表面
裏面
図柄 表面には、生涯に約500もの企業の設立などに関わったといわれ、実業界で活躍した渋沢栄一(しぶさわ・えいいち)が、裏面には「赤レンガ駅舎」として親しまれた歴史的建造物(重要文化財)の東京駅(丸の内駅舎)が描かれています。
寸法 縦76mm × 横160mm 現在発行されている一万円札と同じ大きさです。
新たに採用される偽造防止技術
- 高精細すき入れ
現行の「すき入れ」に加えて、新たに高精細なすき入れ模様を採用しました。肖像の周囲に、緻密な画線で構成した連続模様が施されています。
・3Dホログラム
ストライプ型のホログラムを新たに採用しました。3Dで表現された肖像が回転する 最先端技術を用いています。
この技術の銀行券への採用は世界初です。
継続して採用される偽造防止技術
・ 潜像模様
お札を傾けると、表面には額面数字の「10000」、裏面には「NIPPON」の文字が見えます。
・ パールインキ
お札を傾けると、左右両端の余白部分にピンク色の光沢が見えます。
・ マイクロ文字
「NIPPONGINKO」の微小な文字が印刷されており、カラーコピー機などでは
再現が困難です。
・ 深凹版印刷
お札の肖像部分などの主な図柄は、凹版印刷という印刷方式が使われています。
額面数字や識別マークには、特にインキを高く盛り上げる「深凹版印刷」が使わ
れ、触るとざらざらした感じがあります。
・ 識別マーク
目の不自由な方が指で触って識別できるように、深凹版印刷によりざらつきを
作っています。
新一万円札には、表面の左右中央に付与されています。
・ すき入れバーパターン
用紙に棒状のすき入れを施したもので、透かして見ると3本の
縦棒が見えます。
・ 特殊発光インキ
表
紫外線を当てると、表面の印章(日本銀行総裁印)や表裏の図柄の
一部が発光します。
・ ユニバーサルデザイン
文化・言語・国籍の違いや年齢・性別・能力の差異、障がいの有無などに関わらず、出来る限り幅広い人々に適応すべきであるとして、施設や製品、情報などの設計を「誰もが能力を意識しないで使えるように、最初からできるだけ多くの人が使えるようにデザインしましょう」という考え方で生まれたのがユニバーサルデザインです。銀行券では“識別マーク”とも呼ばれていました。
識別マークの形状及び配置変更
指感性に優れる形状(11本の斜線)に統一しました。券種毎に位置を変えることで
券種を識別しやすくしています。一万円札は表面の左右中央に付与されています。
額面数字の大型化
年齢や国籍を問わず多くの人になじみのあるアラビア数字による料額表示を、現行の日本銀行券よりも大きくしています。
(上記は独立行政法人国立印刷局のホームページ “新しい日本銀行券特設サイト”から転用して、新一万円銀行券についてまとめたものです。新五千円券、新千円券については下記URLを参照して下さい。)
新しい日本銀行券特設サイト
https://www.npb.go.jp/ja/n_banknote/
追記
新紙幣発行を記念して、東京国立博物館(平成館)にて、国立印刷局主催のイベントが下記要領により開催されています。
記
新紙幣発行記念
「お札を創る工芸官の伝統技」~すき入れと凹版印刷の芸術の世界~
会期:6月11日(火)~7月15日(月・祝)
会場:東京国立博物館 平成館 1階ガイダンスルーム
開館時間:9時30分~17時00分 金・土曜日9時30分~19時00分
(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(※ただし、7月15日(月・祝)は開館)
入場料:東京国立博物館の入館料(¥1000)でご覧いただけます。
※70才以上は無料
主催:国立印刷局
協力:東京国立博物館