初飛行

ボーイング・スターライナーは国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送迎するためにNASAと提携して開発された同社のスターライナー・カプセルの初の有人飛行である。ボーイングのスターライナー・カプセルは3度目の正直で、ついに6月5日水曜日に史上初めて宇宙飛行士を乗せて飛び立ち、待ちに待った国際宇宙ステーションへのテスト飛行を開始した。

 

カプセルは午前10時52分(米国東部時間)に打ち上げられ、フロリダのケープカナベラル宇宙軍基地からアトラスVロケットに乗って軌道に乗った。NASAのベテラン宇宙飛行士バリー・"ブッチ"・ウィルモアとサニタ・ウィリアムズがスターライナーの初回クルーを構成する。6月6日(木曜日)の午後12時15分(東部標準時)に軌道上の前哨基地とドッキングする前に、彼らは宇宙ステーションへの旅に約1日を費やすと予想されていた。この初の有人飛行を含むスターライナー計画は、長年の遅延と技術的な不具合に悩まされていた。最近では、土曜日の打ち上げがカウントダウンの残り4分を切ったところで中止された。ボーイングとロッキード・マーティンの合弁会社であるユナイテッド・ローンチ・アライアンスが製造するアトラスVロケットのバルブに問題が発生し、5月6日の前回の試みも頓挫した。その後、スターライナーの推進システムで別のヘリウム漏れが検出され、さらなる遅れにつながった。

 

ボーイングは、2020年からクルー・ドラゴン・カプセルでNASAの宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに飛ばしているイーロン・マスクのスペースXに追いつきたいと考えている。このクルー付きスターライナーの飛行が着陸まで成功すれば、ボーイングがスペースXの仲間入りをし、NASAに宇宙ステーションへの定期便の第2の選択肢を与える道が開けるかもしれない。

 

両社はNASAのコマーシャル・クルー・プログラムの一環として宇宙船を開発した。このプログラムは、NASAのスペースシャトル退役後、宇宙飛行士を地球低軌道に運ぶ新しい宇宙船を製造する民間企業を支援するために10年以上前に始まった。

 

国際宇宙ステーション(ISS)に到着

航空宇宙大手の米ボーイングと米航空宇宙局(NASA)が打ち上げた新型宇宙船「スターライナー」が米東部時間6月6日午後1時34分(日本時間7日午前2時34分)、国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。新規開発した宇宙船は初の有人宇宙飛行を実施し、NASAの宇宙飛行士2人をISSに送り届けた。米国の宇宙開発に弾みがつきそうだ。宇宙飛行士はISSに1週間ほど滞在し、スターライナーの機能テストを実施してデータを収集する。14日以降に再びスターライナーに搭乗して地球へ向かう。NASAによると、米国の有人宇宙船は「スペースシャトル」などに続く6種類目となる。

 

今回の有人試験飛行を経てNASAが承認すれば、スターライナーは運用段階に入り、ISSと地球の間を宇宙飛行士が行き来する輸送手段として使用できることになる。1998年から建設が始まったISSには、かつては米国の「スペースシャトル」と、ロシアの宇宙船「ソユーズ」で宇宙飛行士を送り届けてきた。スペースシャトルが2011年に退役するのを機に、NASAは宇宙輸送の商用化を進めてきた。14年にボーイングとスペースXの2社にISSへ物資・宇宙飛行士を送り届ける宇宙船の開発を委託。スペースXは20年に宇宙船「クルードラゴン」の有人飛行に成功した。

 

米国がスターライナーを加え、自前の2機体制を確立できれば、万が一、片方の宇宙船が使えなくなっても、有人の宇宙開発を続けられる。現在、併用しているロシアのソユーズへの依存度も下げられる。

 

上記は(日本経済新聞社 ニューヨーク 川上梓、川原聡史各氏による記事などの引用です。)