オプショントレーダーによると、当局による為替介入があったとみられる中で円が34年ぶりの安値から反発した数日後、レバレッジドファンドは円が今後数週間のうちに再び1ドル=160円台まで下落すると見込む取引にあらためて参入し始めた。

短期資金を扱う投資家は今週、ドルが対円で上昇すれば値上がりするドル・円のリバースノックアウト(RKO)条件付きコールオプションの1-3カ月物の買いを再び開始した。

野村インターナショナルのFXオプショントレーディング担当グローバル責任者ルチル・シャルマ氏(ロンドン在勤)は、「RKOの選好は明らかに、市場が介入に用心しており、ドル・円はせいぜい緩やかな上昇にとどまるとみていることを示している。円安ペースが緩やかであれば、当局もそれほど介入しようとはしないかもしれない」と話した。

神田真人財務官は9日、必要があればいつでも為替介入を実施する用意があると表明。日本銀行の植田和男総裁は8日、「急速かつ一方的な円安」に関し発言のトーンを強めた。しかし当局者らのコメントは、今週これまでに1.6%下落している円相場を押し上げるには至っていない。

 

オプション価格差

シャルマ氏は「市場は、ドル・円が現在、当局によって設定された160円を上限とするレンジにはまり込んでいるとみている。これはドル・円のコールRKOで最もよく表現されており、市場はこうしたフローに意味のある関与をし始めている」と指摘した。RKOは通常のコールオプションと異なり、ドル・円相場がいわゆるノックアウト水準に達した場合、オプションが無価値になるという追加条件が含まれている。トレーダーによると、この水準は主に160円50銭-161円のレンジで、4月29日に付けたドルの高値160円17銭を上回っている。

RKO需要により、プットとコールのオプション価格差は昨年11月以来のレベルまで縮小している。ドル上昇に備えるコストが上昇したためだ。シャルマ氏は、ドル・円の上昇ペースを加速させるためには、米国のインフレ統計が予想を大きく上回る必要があるとの見方を示した。また、ドル・円の下値は個人投資家や輸入企業の実需に伴う国内でのドル買い需要によって152円程度に限定されるとみている。

 

(上記は2024.5.9  Bloomberg 配信 ヤフーニュースからの引用です。)

 

金融政策「正常化速まる可能性も」

日銀は9日、4月25〜26日の金融政策決定会合での「主な意見」を公表した。その中で、「金融緩和の更なる調整を検討するうえで、夏場にかけて、前向きな企業行動の確認、具体的には堅調な設備投資の継続や賃上げを契機とする年後半に向けた個人消費の改善傾向がポイントだ」との発言もあった。

委員が追加利上げを意識する背景にあるのは円安の進行だ。4月会合での物価に関する議論では、「円安と原油高は、コストプッシュ要因の減衰という前提を弱めており、物価の上振れ方向のリスクにも注意が必要だ」との懸念が示された。

「円安の進行、積極的な財政政策、人手不足を主因とする供給力不足、資源価格の上昇など、様々な物価上振れのリスク要因がある」との声もあった。

国債買い入れの減額については「市場の予見可能性を高める観点で、減額の方向性を示していくことも重要だ」といった議論があった。「どこかで削減の方向性を示すのが良い」との言及もあった。

日銀はイールドカーブ・コントロールを撤廃したものの、撤廃前とおおむね同程度の国債の買い入れを続けている。植田和男総裁はいずれ購入額を減らす意向を示しており、いつどのような形で実行に移すかが焦点になっている。

 

(上記は日経ニュースメール5月9日付からの一部引用です。)