アメリカの半導体大手「インテル」と日本企業14社が「後工程」と呼ばれる半導体の生産工程の自動化を目指して共同開発に乗り出すことになった。半導体製造の後工程は半導体製品の性能を高める技術競争の舞台となっていて、自動化によって国際競争力の強化を目指す。発表によると、アメリカのインテルと半導体の素材や製造装置を手がける日本企業14社は、先月、東京に本部を置く新たな組織「SATAS」を設立した。新組織には、オムロンやレゾナック・ホールディングス、信越ポリマーなどが参加する。半導体チップを基板の上に組み込む「後工程」と呼ばれる生産工程の自動化に向けて共同開発を行い、2028年の実用化を目指している。

 

後工程の工場は中国や東南アジアなどに集中し、日本国内では人件費の高さと技術者の人材不足が課題となっている。その一方で、半導体回路の微細化によって性能を高める物理的な限界が指摘されるなか、後工程は複数の半導体チップを組み合わせて性能を高める技術競争の新たな舞台となっている。新組織では、自動化によって生産効率を高めるとともに、技術の標準化を通じて国際競争力の強化を目指している。

 

(上記は“NHK NEWSWEB 2024年5月7日 からの引用です。)

 

SATASは4月16日に設立された組織で、半導体メーカーをはじめ、半導体製造装置や自動搬送装置メーカーなどが参画している。後工程の自動化に必要な技術に加え、オープンな業界標準仕様の作成や装置の開発と実装、統合されたパイロットラインでの装置の動作検証を行い、2028年の実用化を目指す。得られた知見や技術を工場へ導入、実装する計画である。半導体は経済安全保障推進法上で「特定重要物資」の位置付けにあり、地政学的リスクを踏まえ、日本でのサプライチェーン強化を図るとともに、人工知能(AI)の普及で増す高度なパッケージング技術への期待にも応える目的がある。

SATAS理事長には、インテル日本法人の鈴木国正社長が就任し、参画企業はインテルのほか、オムロン、シャープ、信越ポリマー、シンフォニアテクノロジー、セミ・ジャパン、ダイフク、平田機工、FUJI、三菱総合研究所、ミライアル、村田機械、ヤマハ発動機、レゾナック・ホールディングス、ローツェなどである。

参画企業の1社であるオムロンは「23年に発表した先端半導体向けX線自動検査装置『VT-X950』などで貢献したい」(担当者)とコメントし、レゾナックも、研究開発拠点「パッケージング・ソリューションセンター」(川崎市幸区)などで培った知識・経験を生かし、組立工程と検査工程を対象としたプロセス開発に貢献する考えを示している。

 

(上記は”電波新聞2024年5月7日”からの引用です。)