岸田文雄首相は、日本の与党を揺るがし、2期目の可能性を潰そうとしている金銭スキャンダル(政治資金収支報告書への不記載問題)に対処することを約束した。エコノミスト誌によれば、自由民主党(自民党)のために集められた不正な資金が暴露され、この国で「過去数十年で最大の政治資金スキャンダル」を引き起こしたという。自民党のイメージ回復に奮闘する岸田氏は、自民党に対する国民の信頼が失墜したことを謝罪し、「変わらなければならない」と述べた。彼は最近、この問題に取り組むにあたって「火の玉のように」行動することを誓った。しかし、彼の悔恨の言葉は遅すぎたのだろうか?

 

私腹を肥やす

フィナンシャル・タイムズ紙(FT)によれば、自民党は戦後のほとんどの期間、政権を担ってきた。ほとんどの党員は、党内の政党として活動する主要な派閥のいずれかに属し、独自の資金を調達し、閣僚の座を狙って議員を登用する。

自民党の派閥は、資金集めの際のチケットの売り上げを「組織的に過少申告」し、「その売り上げを議員にキックバック」していると非難されている、とエコノミスト誌は伝えている。合計で、2018年から2022年の間に約9億7000万円(520万ポンド)を偽って報告したと非難されている。疑惑の大半は、2022年に暗殺された安倍晋三元首相にちなんで名付けられた安倍派閥を取り巻くものだ。

1980年代から1990年代初頭にかけて政治スキャンダルが相次いだ後、国会議員個人への企業献金が禁止されたため、派閥は資金集めパーティーを通じて資金を集めるようになった。長い間続いている慣行として、派閥は国会議員に資金調達パーティーのチケットを売るノルマを課し、ノルマを超えた議員には集まった金の一部を還元する。「差額をポケットに入れること自体は違法ではない」とFT紙は言うが、支払いを適切に報告しなかった場合は「最高5年の禁固刑に処される」という。

皮肉なことに、政府が「厳格な新税務申告制度や企業統治改革を通じて、民間セクターの透明性向上を推進している」矢先の発覚であった。そのため、国民は政治家たちが同時に「私腹を肥やしていた」ことを知り、「激怒」したと『エコノミスト』誌は述べている。国民の怒りと憤りは「ソーシャルメディア上で沸騰した」とBBCは付け加えた。

 

その影響はすでに広範囲に及んでいる。11月にスキャンダルが発覚して以来、与党関係者10人が起訴され、4人の閣僚が解任された。事件の鼓動」が岸田氏に「プレッシャーを与え続けている」とFT紙は言う。岸田内閣に対する不支持率は、12月には過去最高の79%に達したが、1月には72%まで改善した。

閣僚や党高官の関与が疑われる範囲」は、「1980年代後半のいわゆるリクルート事件との比較を招いた」と『タイム』紙は言う。当時、インサイダー取引疑惑が竹下登首相を「失脚」させ、参院選敗北につながった。

 

自民党は今回のスキャンダルを乗り切れるかもしれないが、党首はかなり脆弱だ。野党が乱立」する中、自民党の政権掌握は「おそらく確実」だが、岸田党首のリーダーシップは「きしみつつある」と『エコノミスト』誌は指摘する。

岸田氏が生き残れるかどうかは、3月の「日本の年次賃金交渉で良いニュースが出るかどうか」、4月のホワイトハウスへの国賓訪問、そして6月に予定されている減税措置にかかっている、と同誌は付け加えている。しかし、9月に任期満了を迎える党総裁選で再選を果たすのは「まだ難しい」だろう。

一方、岸田氏は派閥の解体を発表し、改革のための内部対策本部を設置したが、そのメンバーの半数はスキャンダルに関係しており、「どの程度の成果を上げられるか疑問が残る」とAP通信は指摘した。数十年越しのインフレの高騰に家計が対処する中、生活費の危機に対する有権者の憤りと倦怠感がある」とBBCは言う。つまり、国民の忍耐は薄れているのだ。

 

(上記は”By Chas Newkey-Burden, The Week UK published February 06, 2024”

の抄訳です。)

 

自民党に代われる野党が出て来ないことが自民党の緩みを生み出している!?

政治への国民(若者)の無関心(投票率の低下)を生み出している。!?