グラフェン (英: graphene) とは、1原子の厚さのsp2結合炭素原子のシート状物質で、炭素原子とその結合からできた蜂の巣のような六角形格子構造をとっている。名称の由来はグラファイト (Graphite) からで、グラファイト自体もグラフェンシートが多数積み重なってできている。グラフェンの炭素間結合距離は約0.142 nm。炭素同素体(グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレンなど)の基本的な構造である。ダイヤモンド以上に炭素同士の結合が強く、平面内ではダイヤモンドより強い物質と考えられている。物理的にもとても強く、世界で最も引っ張りに強い。熱伝導も世界で最も良いとされ、電気の伝導度もトップクラスに良い物質である。完全なグラフェンは、六角形セルの集合のみからなり、五角形や七角形のセルは格子欠陥となる。五角形のセルが孤立して存在するときには、平面はコーン状にとがってしまう(12個の五角形セルはフラーレンを作る)同じように七角形のセルが孤立したものはシートをサドル型に曲げる。五角形や七角形セルの導入を制御することでカーボンナノバッドのような様々な形状を生み出すことができる。1層からなるカーボンナノチューブは筒型のグラフェンとみることができる(6個の五角形セルからなるグラフェンの半球キャップが末端についていることもある)。二次元物質グラフェンに関する先駆的実験により2010年にアンドレ・ガイム(Andre Geim)とコンスタンチン・ノボセロフ(Konstantin Novoselov)はノーベル物理学賞を受賞した。

 

ナノグラフェン(Nanographene)とは、ナノスケールサイズのグラフェンの総称で、近年研究が盛んに行われているナノカーボン物質である。また、量子細線状の形状を有するグラフェンナノリボン (Graphene Nanoribbon. ナノグラフェンリボン(Nanographene ribbon)ともよばれる)もナノグラフェンの仲間である。 系のサイズが、バルク極限にあたるグラフェンシートあるいは、芳香族分子の中間に位置するため、強いサイズ効果とエッジ形状効果が存在すると期待されている。また、ナノグラフェンがグラファイトのように層状になった物質は、厳密に言えば、ナノグラファイトと呼ばれるべきである。しかし、実際には層間距離は、グラファイトの層間距離に比べて大きく、層状効果が弱まるため、ナノグラファイトとナノグラフェンは、ほぼ同義語として扱われている場合が多い。

(上記はウィキペディアからの引用です。)

 

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と名古屋大学、NU―Rei(名古屋市東区、中井義浩社長)は共同で、従来のリチウムイオン電池(LiB)の約5倍の性能を持つ宇宙用の円筒電池を開発した。炭素原子で作成したシート状の物質「ナノグラフェン」を使い、軽量化と低コスト化も実現できた。2026年にもJAXAの観測ロケットで実証実験し、大型基幹ロケット「H3」などに採用する。電気自動車(EV)など民生利用も視野に入れる。ナノグラフェンはナノメートルサイズの炭素原子物質で、優れた電気的性質を示すのが特徴だ。多くの電子機器に応用されるなど、次世代材料として注目される。

 

JAXAなどは名古屋大の持つ先端プラズマ技術を使い、負極部分に使うナノグラフェンを開発した。この物質を用いた円筒電池の性能を調べると、重量に対するエネルギー密度が従来のLiB(リチウムイオン・バッテリー)の5倍となることが分かった。

 

また通常、負極部分の作成は原料を混ぜ合わせて固めた後、焼いて加工するプロセスが必要で、数時間かかっていた。今回開発したナノグラフェンはプラズマを利用して作るため、従来の工程の大部分を省くことが可能で、数十分で作成できる。ロケットなどに搭載する宇宙用電池は、小型かつ高性能であることが求められる。今回開発した電池は振動にも強く、寿命も長いという。今後、複数の円筒電池を接続して組電池(バッテリーパック)を作成し、宇宙機に搭載できるようにする。観測ロケットで試験した後、H3や月面ローバーなどでの活用を進める予定である。民生利用も見込んでおり、価格は従来のLiBの3分の1から4分の1に低コスト化できるという。EVや飛行ロボット(ドローン)などに搭載したい考えで、26~27年にも量産技術の確立を目指す。

 

(上記は“日刊工業新聞 2024年03月07日付”記事からの引用です。)