ワシントン - 国際通貨基金(IMF)は木曜日、2023年の日本の経済パフォーマンスの低下が2024年の下振れリスクにつながる可能性がある一方、高頻度指標は今年のイギリスの回復を示唆していると述べた。IMFのジュリー・コザック報道官は記者団に対し、世界金融機関は4月に発表する新たな世界経済予測を作成する際、ともに景気後退に陥った日本とイギリスの経済に関する新たな情報を考慮に入れると述べた。

 

彼女は、イギリスのインフレ率は下がってきているが、「金融政策の仕事はまだ終わっていない」と指摘し、IMFは中央銀行に対し、時期尚早の金利緩和に注意するよう促していると述べた。基調的なインフレとインフレ期待が目標水準に向かって明確かつ断固とした動きをしている場合には、金融政策の調整が「正当化されるかもしれない」と述べた。コザック氏はまた、金融政策の同期性が失われつつあり、一部の新興国が利下げに踏み切る一方で、先進国の一部はインフレ圧力が緩和されるよう利下げを控えていると指摘した。

 

日本は昨年末、予想に反して景気後退に陥り、世界第3位の経済大国の座をドイツに奪われ、中央銀行が10年来続けてきた超金融緩和政策からいつ脱却するのか、疑問の声が上がっている。一部のアナリストは、中国の需要低迷、消費低迷、トヨタ自動車での生産停止など、景気回復への道のりが厳しいことを示唆し、今四半期にも経済が縮小すると警告している。コザック氏によれば、2023年全体では輸出の好調により堅調な成長を維持したものの、国内消費と投資の低迷により、下期の日本の生産高は予想を下回ったという。

 

「2023年の業績悪化は、日本経済の下振れリスクを高める可能性がある。コザック氏によると、フランスやスペインなどヨーロッパでは農業が果たす役割が小さいため、農民の抗議行動がこれらの国の経済生産に大きな影響を与えるとは考えていないという。しかし、抗議行動がしばらく続けば、価格に「大きな影響」が出る可能性があると述べた。

 

IMFは、2月28日と29日にブラジルのサンパウロで開催される20カ国・地域(G20)財務相会合を前に、来週初めに世界経済に関する報告書を発表する予定だ。IMFのクリスタリナ・ゲオルギエワ専務理事は来週ブラジルを訪れ、G20関係者と世界経済とそれが直面する課題について話をする予定だとコザック氏は述べた。

(上記はREUTERS Feb 23, 2024年2月23日付けANDREA SHALAL氏による記事の抄訳です。)

 

一方、三菱総合研究所の堂本健太、田中嵩大、山下大輔 各氏等によると

「日本経済は、物価高による消費下押しと人手不足による設備投資の遅延に加え、足もとでは自動車認証不正問題や能登半島地震の影響もあり、景気回復が足踏みしている。先行きは、各種下押し要因の緩和により緩やかな成長軌道に復すると予測する。賃上げ定着や家計の賃金期待改善により、個人消費は持ち直しに転じるだろう。設備投資は、GXや経済安全保障などに関する中長期的な取り組みのほか、人手不足への対応も誘因となり、拡大する見通しである。消費者物価は、賃金上昇がサービス価格の上昇に波及し、+2%以上の伸びが続くと見込む。日本銀行は24年4月にマイナス金利の解除およびイールドカーブ・コントロールの見直しに着手するが、緩和的な金融環境を維持するだろう。実質GDPは、23年度は前年比+1.3%(前回12月時点同+1.6%)、24年度は同+0.8%(前回同+1.1%)と個人消費の停滞や自動車生産の下振れを踏まえて下方修正する。25年度は同+0.8%と潜在成長率並みを見込む。この間、人手不足克服に向けた設備投資や人材投資により生産性が上向き、経済の好循環実現に向かう構図を想定する。」としている。