いよいよ今回から、第11回アメリカ横断ウルトラクイズについて書いたブログを再掲してみる。

かつてブログを書いたのは2007年、第11回ウルトラクイズからちょうど20年の年だった。当時は第11回の映像がyoutubeにあがってはすぐに削除されていた時代。ビデオテープをもっていた人はともかく、そうでない人は僕がどんなにブログを書いても、それを確認することもままならなかった。

ところがこの13年の間に、CSで第11回が再放送され、youtubeでも削除されることなくみられるようになっている。いまだったらこのブログを読みながら、実際の映像を確認することもできるだろう。

ということで、まずは元々僕が第11回のことをブログに書こうと思った一番のきっかけから。

 

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ウルトラクイズでは、テレビでみた印象と、実際とは大きく異なる場面がいくつかある。第11回ウルトラクイズの場合、その最もたる例は、まちがいなく「クイズサミット」だろう。
(以下、敬称略)

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ウルトラクイズは、どの回でも残り人数が少なくなってくると、1回は実力者(と目される挑戦者)に圧倒的に不利なクイズを行う。第11回の場合は残り5人のとき、ワシントンで行われた「クイズサミット」がそれだった。
現地でクイズのルールが説明されたとき、僕はすぐにその恐ろしさに気づいた。ビデオ等をもっている人は確認しながらみてもらえばわかるが、念のため紹介すると次の通り。
5人の挑戦者にはまず、3枚1セットになったクイズボードが渡される。そして最初に指名権を争うクイズを出題。正解者に得点はなく、自分がクイズを出題する相手を選ぶ指名権のみが得られる。そして自分が持っている3枚のクイズボードの中から1枚を選んで出題。相手が正解できなければ自分が1ポイント獲得で引き続き次の出題相手を選び、再び手持ちのクイズボードの中の1問を出題する。逆に相手に正解されてしまうと、出題相手が1ポイント獲得になってしまうばかりか、自分が持っていた指名権もその相手に移ってしまう。その繰り返しで進行していき、5ポイント獲得で勝ちぬけ、最後まで残った1人が敗者になるというものである。
これだけだとわからないかもしれないので、補足を2つばかり。手持ちのクイズボードは常に3枚1セットで、最初は5人に1セットずつがディーラーから配られる。そして手持ちのクイズボードはその3枚を使い切らないと(つまり3枚とも全部出題してしまわないと)補充されないし、補充されるときはディーラーがふせてある3枚1セットのクイズボードを1セット配るだけで自分では選べない。また、指名は自分以外の勝ちぬけていない挑戦者であれば、同じ挑戦者を続けて指名してもかまわない。逆にいえば、残り人数が少なくなれば、指名できる挑戦者も当然に限られてくる。もうひとつ、勝ち抜けがでた場合のみ、指名権をもった挑戦者がいなくなるため、改めて指名権を争うクイズが出題される。但し、ここで正解してもやはり指名権を得るだけで得点にはならない。……

おわかりだろうか?
つまりこのクイズは、自分が他の挑戦者から指名されない限り、自力では得点できないルールなのである。もっと言うと、自分が得点できるのは、他の挑戦者から指名されて出題されたクイズに正解した場合と、自分が指名権を得て出題した相手が不正解だった場合の2つだけ。よって、自分が他の挑戦者から指名されなければ永久に自分の解答によって得点できることはないし、苦労して指名権を得ても、出題するクイズの難易度は配られて手持ちとなったクイズボードの難易度に100%左右されてしまう。

残った5人の中で、僕はクイズ番組で優勝経験がある唯一の存在だったので、一番警戒されていたし、残り2人でもならない限り、僕が他の挑戦者から指名される可能性はたいへん低かった。よって、僕は指名権争いのクイズはなにがなんでも答えて指名権を自力で獲得するしかなかった。また、指名権を得た場合、手持ちのクイズから出題するのだが、これが幸か不幸か(仕組まれていたのか偶然なのか)簡単な(と思える)クイズばかりが僕のところに集まってくる。そして、僕が出題した相手が正解して指名権が移ったが最後、僕を指名する人は誰もおらず、誰かが勝ち抜けして再び指名権争いのクイズが出題され、しかもそれに僕が正解しない限り、僕に出番がまわってくることはない。さらにここで運よく指名権を得たとしても、やはり出題できるのは手持ちのクイズからだけで、これが正解されればやはり自分の出番は誰かが勝ち抜けるまで訪れない。……

もうひとつ、このクイズには「必勝法」に近い戦法があることにも気づいた。自分が指名権を得て出題した相手に正解された場合、相手が1ポイント獲得の上、指名権も移動するが、出題者が減点されることはない。つまり、2人あるいはそれ以上が組んでキャッチボール(=つまり出題しあうことを)すれば、仲間内でひたすら得点を伸ばしていける。ルールの性質上、3点以上、ひょっとしたら2点でも致命的な得点差になりうるだろう。
クイズのルール説明があったのは開始の直前で、もちろん事前に打ち合わせることはできなかった。しかし、ことクイズに関する限り、僕と高橋はクイズ経験者と言うことでどちらかといえば警戒されていたし、宇田川と山賀、カンクンで敗退した高橋(麻)たちはクイズ未経験同士で仲がよかった。ちなみに、テレビで僕がいじめたかのように言われた中村と僕とは仲がよかったが、もちろん組もうとは思わなかったし、たとえそうしても中村は返してこなかっただろう。
そんなこんなで、僕は宇田川と山賀がキャッチボールすることを恐れた。僕が指名権を得ても、よほどのことがなければこの2人は指名できないと思った。(実際には宇田川はこのことに気がついてキャッチボールしようとしたが、山賀が全く気がついておらずに不発に終わった。しかもそれは高橋と僕が勝ち抜けた後の話)

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たいへん長くなってしまった。さて、こんなことをルール説明からクイズ開始までの短い時間に考えていたこの日の僕は、たぶん相当冴えていたのだと思うが、実際の戦いはどうだったのか、その真実は次回にお話ししよう。