私が高校2年生の時の話です。
``それ``は、ある授業での突然の出来事でした。
その授業を担当していた先生は、とてもとても優秀な方でした。
有名な大学を卒業して、進学校で教鞭をふるい、その教科の世界では名の通った先生でした。
授業の内容は、どの教科書を見ても1ページ目に載っているような、基礎の基礎からのスタートでした。
優秀な先生に基礎の基礎から教えてもらう、生徒にとっては理想的な環境でした。
しかし、いざ授業が始まってみると、
「この先生、何を言っているのか全然わかんない……」
「説明がわかりにくくて、全く理解できない……。これでは赤点になってしまう……」
基礎の基礎から説明しているはずなのに、私を含めたクラス全員が、先生の説明を全く理解することができなかったのです。
次の授業も、その次の授業も、先生の説明が理解できないまま進んでいきます。
そして、ついに期末試験が目前に迫ってきてしまいました。
期末試験の前日、1番最後の授業がその先生の授業でした。
前回の授業で試験範囲は全て終わっていたので、その日の授業は試験範囲の復習をすることになりました。
私はその日の時点で一通り試験範囲を勉強していたので、勉強しきれていない部分がないか、確認するつもりで授業を受けました(先生の説明は全く理解できていませんでしたが、試験勉強は教科書とノートを駆使して、何とかやりました!)。
復習の授業が始まると、不思議なことが起こりました。
「あれ? 今日の先生の説明、すごくわかりやすいぞ……!」
今までずっとわかりにくかった先生の説明が、その日はとてもわかりやすく、どんどん頭に入ってくるのです。
「なんで今日はこんなにわかりやすいんだ? 急にどうしたんだ?」
私は驚きのあまり復習どころではありませんでした。
しかし、周りの友人たちを見てみると、反応がいつもと変わりません。
顔に「相変わらずわかりにくい説明だ」と書いてあります。
意識して先生の説明の仕方を聞いても、いつもと変わった様子はありません。
疑問に思いながら授業を受けているうちに、その理由がわかりました。
「試験勉強をして予備知識がついたからだ!」
先生はとても優秀な方です。
先生は私たちのために``1から``教えてくれていました。
しかし、優秀な先生の``1から``は、私たち生徒の``1から``ではなかったのです。
先生にとっての``1から``は、知識の全くない私たち生徒にとっては、2や3から始まっていたのです。
試験勉強をして予備知識がついたことによって、その差が埋まり、先生の説明が急にわかりやすく感じたのです。
「先生と自分の間に``すきま``がある。この``すきま``が説明をわかりにくくさせているんだ!」
これが「本当の理由」との出会いでした。
まさかこの時は、この‘’すきま‘’のことを職業にするとは思っていませんでした笑
人生何があるかわからないですね!
