昨日は足利の花火大会。
天気も良く、最高の花火日和で
私も実弟夫婦に母が東京から
来たりして、
慌ただしくも和やかで楽しい
ひと時を過ごしました。





夏の夜空に咲く花火を見ると
思い出す人がいます。



と書くと、大概の人は...
浴衣姿の艶やかな女性を
イメージするかも
しれませんが...



その路線ではなく、



私のその人は、
亡くなった叔父なんです。




叔父は、優秀な脳外科医で、
某大学病院で働き...
エリートの道をまっしぐら。
過労がもとで病気をした後は
いわゆる院長先生として
落ち着いた暮らしを
していたのですが、
晩年は(といっても40代
後半でしたが)
まるで突然、
趣味のように開業し、
穏やかに笑いながらの
日々を過ごしていました。




死ぬ間際には突然、
愛犬を主人公にした
童話を書きはじめ...
童話なのにSFだったり(笑)

(これは叔母が死後、
立派な装丁で自費出版。
叔父の従兄弟にあたる、
「ドカベン」「あぶさん」で
知られる漫画家の水島新司さん
が挿絵を描いたという
一風変わった本になりました)


語り始めるとキリが無いくらい
不思議で変わった叔父ですが、


16歳で家を飛び出して
アメリカに渡った
私をえらく可愛がってくれて、
帰国する度に呼んでくれては
小遣いをくれたりなんだり
してくれたんですね。


そんな叔父の口癖が...

「この子は、僕の血筋だから」

でした。


本人はいつも本気でそう語り、
会う人全員にそう熱く語るの
ですが....


実は私の父の姉が叔母で、
叔母が嫁いだのが叔父で...
全く血のつながりは
ありません(笑)


ただ、そんなことはこの叔父
には無関係で...
私の父にも母にも
「僕の血だ、僕の血だ」と
言うので....


まあ、困った人でした(笑)


私は、小さい頃は顔を見る度に
「医者になれ」とうるさくて
面倒だったので避けていましたが


自分が文学、芸術にどっぷり浸かり
困った人になった頃、
「文学史に名を残す」とか
「夭折しても良い」なんてことを
真顔で言っても喜んでくれ、
心の底から応援してくれた....
この不思議な叔父に
変な共感を持つようになりました。


さて、
話がだいぶ反れましたが....


もう20年以上も前ですが、叔父が
亡くなる前年かと思いますが、
なぜか偶然、私の地元、葛飾か松戸の
花火大会に叔父と一緒に行ったことが
ありました。


当時の私ですから、長髪をなびかせ
煙草をくゆらし...
ランボーかジム・モリソンのように
お酒を飲みながら花火を眺め...
叔父は下戸だったので、
オレンジジュースを飲みながら
首をそらして上を向きながら
花火に魅入っていました。



いつもの花火大会。
何ら変わったことはありません。



が、
ふと叔父を見ると、目を輝かせ
ひとり笑顔で言葉を発することも
なく、空に吸い込まれていくかの
ような表情で...


一瞬何かゾクッとするような
光景でした。



しばらく花火よりも叔父を
見ていると...
気付くと、彼の目からは
涙が溢れてきていました。



そして私を振り返り、一言。



「僕はね、こんな人生、
花火みたいな生き方をしたいと
いつも思っているんだよ」

「一瞬という瞬間を全力で
輝いて、咲いては消え、
消えてはまた咲く。でも
その一瞬で人を感動させ、
心に輝く残像を残す」

「パッと咲いて、パッと散る」

「僕の理想は、花火と桜」

「人間の人生なんて、地球の
歴史の中では一瞬なんだけど、
だからこそその一瞬の輝きに
意味があるんだ」

「わかるかい?」



まあ、叔父らしい....
そんな話をしていた記憶が
残っています。




叔父ほど純粋で、
子どものような感性を持った
大人には、私もその前も後も
あまり会ったことが
ありません。



叔母と愛犬を心より愛し、
とにかく周囲の人に常に愛を
もって接していた人でした。




ただ、あの花火大会の後、
本当に「パッ」と散るかのように、
ガンでわずか50年の人生を
終えてしまったんです。




花火大会の度に、あの夜の
叔父の姿を私は思い出します。




もう1回くらいは一緒に花火を
見たかったなあ.... そんな気が
いつもするんですよね。