イラク特措法を延長へ…2年軸に調整、空自輸送を継続

 政府は28日、イラク復興支援特別措置法の2007年7月31日までの期限を延長する改正案を来年の通常国会に提出する方針を固めた。
 航空自衛隊による空輸活動に対する米軍や国連の需要があるため、活動を継続すべきだと判断した。延長期間は09年7月末までの2年間を軸に調整する。
 政府は、イラク情勢が依然として不安定で、〈1〉多国籍軍や国連による復興支援活動が来年7月以降も継続する可能性が高い〈2〉米連邦議会の「イラク研究グループ」の「08年3月までに戦闘部隊の国外撤収が可能」とする報告書を踏まえ、米軍の活動は08年春までは少なくとも続く――との見方を強めている。
 イラクに現在派遣されているのは、空自隊員約210人とC130輸送機3機。クウェートを拠点とし、イラクのバグダッド、アルビル、タリルの各空港に米軍などの人員や物資、国連職員や物資を輸送している。
 空輸活動を開始した04年3月から06年12月下旬までに430回以上、計約500トンの人員・物資を輸送した。最近も、月15回前後の空輸を続けている。
 イラク特措法は4年間の時限立法で、最大4年間の延長が可能と定めている。
 延長幅について、政府は2年を軸に与党と調整する考えだ。ただ、与党内には、「毎年改正案を提出し、延長について国会の承認を得た方が良い」との声もあり、1年とする案も出ている。
(2006年12月29日19時15分  読売新聞)
 引用 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061229i101.htm

アメリカ国内でも9・11同時多発テロ以降のテロとの戦いに対して,
軍事・テロ専門家の86%が以前よりテロの脅威が高まったと回答しています。
にもかかわらず,イラク特措法を2年間延長し,09年7月31日までとしたのはなぜだろうか?
アメリカ大統領選が08年11月4日,予備選挙が2月から6月に行われます。
つまり,共和党が敗れたとしても,航空自衛隊による空輸活動を行うとしたわけですなぁ。

記事内の(1)(2)の判断理由の他に,
日本政府は共和党を応援していますというアピールが見え隠れしているような…。

アメリカを中心に行われたイラクへの侵攻に同調し派兵を行ったイギリスやスペインでは,
この派兵に反対するイスラム過激派と見られる集団による一般市民を狙ったテロ事件が発生し,
多くの人命が失われました。
また,アメリカへの支持と派兵はイギリス・スペインにおける政権交代のきっかけにもなりました。
 参考 アメリカ同時多発テロ事件

人道的観点から,復興支援活動を否定するつもりは毛頭ありませんが,
自衛隊が海外へ行くということについては,いまだ抵抗感があります。
自衛隊は軍隊という見方もあり,
アメリカ同調路線の継続が,日本におけるテロの脅威の拡大へとなりそうで心配です。
アメリカの尻拭いの別の方法も模索できないものかと…。

86%が「米国はより危険に」=対テロ戦の成果に疑念-民主党報告書

【ワシントン5日時事】米野党・民主党系のシンクタンクは5日、2001年9月の同時テロから5年に当たり、ブッシュ政権の対テロ戦争や外交政策の成果に強い疑念を呈する報告書を発表した。同報告書によると、軍事・テロ専門家を対象とした調査の結果、「米国は以前に比べ危険になった」との回答が86%に上った。また、対テロ戦争で米国が勝利しつつあるとするブッシュ政権の主張に「同意しない」と答えたのは83%に達したという。(時事通信 2006/09/06)