<教育基本法>「与党の横暴」野党4党が抗議集会

 与党の単独採決で教育基本法改正案が衆院を通過した16日、野党は4党合同の抗議集会を国会内で開いたほか、東京・有楽町で幹事長・書記局長らがそろって街頭演説を行い「与党の横暴」を国民に訴えた。対する与党は野党の審議拒否を批判し、単独でも審議を進める強硬姿勢を崩しておらず、双方が正当性を主張しながら一歩も引かない緊張状態がしばらく続きそうだ。
 抗議集会には民主、共産、社民、国民新党の衆参議員約150人が出席。いじめや履修不足、タウンミーティングのやらせ問題が拡大する中での採決に「徹底審議を要求しているのは野党、審議拒否したのは与党だ」(又市征治社民党幹事長)などの非難が相次ぎ、民主党の鳩山由紀夫幹事長は「参院でこの恨みを晴らそう」と徹底抗戦へ野党の結束を呼びかけた。
 これを受け4党の参院国対委員長が同日、扇千景参院議長に野党抜きで審議に入らないよう申し入れたほか、夕方には鳩山氏らが街頭に繰り出し「安倍晋三首相は子どもたちに規範意識が必要と言ったが、規範意識が一番欠けているのが首相、文部科学省だ」(市田忠義共産党書記局長)などと気勢を上げた。
 一方の与党は衆院本会議での可決後、自民党の中川秀直幹事長が「審議は十分尽くされた」と記者団に強調。特別委の与党筆頭理事を務めた町村信孝前外相は自民党町村派の会合で「静々粛々と採決できた」と語り、採決に欠席した野党の「戦術ミス」を皮肉った。【山田夢留】
毎日新聞 2006年11月16日 20時54分 (最終更新時間 11月16日 23時39分)
 引用 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061117k0000m010103000c.html

4月に発表された与党による改正案がどのように審議され,
どのように変わったのかまったく知らされないまま強行採決とは,与党の暴走と非難されて当然ですなぁ。
しきりに100時間も審議したとは言いますが,タウンミーティングのやらせ問題あたりを考えるに,
はじめからミーティングで意見を聞く姿勢は見られず,
どのような意見があったとしても,内容も結論も変わらない状況がつくられていたということでしょう。
民間なら30分で終わるような内容であっても,
100時間という状況だけをつくりたかっただけでは?と,疑ってしまいます。

与党案第2条・第10条には次のように書かれています。
(教育の目標)
第2条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
1 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
2 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
3 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
4 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
5 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

(家庭教育)
第10条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
本法案によると,いじめ問題などが起こっても,
 「お宅のお子さんの教育が間違っているから,いじめが起こるんです!」
などと,学校や教育行政は言うことができますなぁ。
子どものいじめによる自殺が起こっても,
自己の保身としか思えない発言をする校長や教育長には,大変ありがたい法案となるわけですなぁ。

そもそも,
家庭の教育方針に国が干渉するあたりは非常に不愉快です。
とかく,愛国心の問題が取り上げられますが,教育の目標に掲げられている以上,
家庭でもいわゆる愛国心教育を行わざるを得ないでしょう。
家庭教育の自主性を尊重しつつ,第2条達成のために努力しなさい。
つまり,方法は家庭に任せるものの,目標は家庭に一任ではなく,第2条に書いてある通りということです。

在日コリアンやアイヌ民族などに対する配慮も足りませんな。
日本にいる以上,国内法に従うことは当然です。
彼らが日本人になった背景を考えると,いかがなものかとも思いますが・・・。