第1回「教育再生会議」が10月18日に開催されました。
先日,「教育再生会議」の人選について物言いをつけた「日本教育再生機構」が
教育問題に見識のある方として認めている3氏について調べましたが,
今回はそれ以外の方について調べてみました。
今回のメンバーは17人おりますので,まだまだ調べるのに時間を要しそうです。

【浅利慶太】 劇団四季代表・演出家

●歴代総理をはじめとする、財政界へのパイプが太く、交流が広い。
 が、一方で演劇人で有りながら政治家や経済人と過度に繋がりを持つことを懸念する声も多い。
●ワンマン経営家としても有名であり、経営者としてのリーダーシップは注目に値するが、
 反面、劇団の若手演出家を育てず独断で演出、配役、台本を行っており、
 演劇人としてのクオリティについては賛否が分かれる。
引用 浅利慶太 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%85%E5%88%A9%E6%85%B6%E5%A4%AA

人を育てるということについて,好ましい評価とは思えませんが・・・。
自分の仕事と,一般的に語られる教育と分離して考えていただけるとよいかと思います。
独断ということは,人の意見を聞かない,聞いたとしても無視するということでしょう。
民主主義の社会ではいただけないかと思います。
演劇の世界では許されることなのでしょうか?

【池田守男】 株式会社資生堂相談役

 ●趣味はヨットや野草栽培。
 ●資生堂 社長当時のコメント
  座右の銘は聖書の「一粒の麦」。
        麦は大地に落ちて死ぬことで、結果として万民を養う収穫をもたらすという意味。
  「現場のため奉仕者に徹す」
  「社長は現場が働きやすい環境を整える奉仕者に徹すべきだ」
   引用 2003年9月8日/日本経済新聞 http://www.nikkei.co.jp/hensei/ngmf2003/ikeda.html
 ●牧師を目指して東京神学大学に進んだ。東京神学大神学部卒。日本基督教団銀座教会員。
   引用 2004年01月18日 日本基督教団西新井教会HP
      http://homepage2.nifty.com/nishiarai-kyoukai/WeeklyPaster04-01-18.htm

2006年5月30日には「与える喜び~奉仕と献身の実践~」と題して,西南学院大学で講演しています。
以下に紹介するのは,講師よりのメッセージとして紹介されているものです。

 ●日本人の心の中には遺伝子として、他者を慮り、
  そして隣人や社会のお役に立ちたいという奉仕の精神が脈々と受け継がれてきました。
  しかし、戦後の物質的豊かさを追い求めた経済成長の過程で、
  こうした日本人の美徳ともいうべき精神は失われつつあり、
  そのことが今日の日本社会の閉塞感や歪みを生じさせていると思います。
  「与うるは受くるよりも幸ひなり」とは聖書の言葉です。
  与えること、奉仕することがすべての出発点であり、人間本来のあるべき姿ではないかと思います。
  そして奉仕活動の実践によりあらゆる世代が社会との接点を持てば、
  働きがいや生きがいを感じられる全員参加型社会に繋がっていくと考えます。
   引用 西南学院大学宗教部チャペル講話集  http://www.seinan-gu.ac.jp/rad/mess060530.html

自発的に行う奉仕活動は,大変すばらしいことと思います。
ボランティアが美徳とされ,積極的に言葉が使用されるようになったのは,
1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の被災者支援のときからかと記憶しています。
確かにボランティアはすばらしいのですが,
学校教育の場に導入される際には,心配事があります。
それは,自発性とは無関係の,ボランティアという名の強制労働にならないか?ということです。
自発性を重んじたボランティアを行うには,学校のカリキュラムは過密すぎます。
つまりボランティアを行える日程が限られます。
限られた日程では,部活の試合が近いから参加できないけど,協力はしたいという
積極的な考えを持つ子どもがいても,ニーズに応えることはできません。
逆に,みんなが参加しているのに自分は参加したくない。
でも,参加しないと内申書に悪く書かれたらイヤだから参加しておこうという
自発性とはいえない参加も予想されます。
さらには,土日等の休日や放課後ではなく,授業の一環として実施されれば,
いやいや参加させられる子どもも現れることでしょう。
こうなれば,もはやボランティアではなく,単なる強制労働です。
とてもボランティアのすばらしさを実感できないでしょう。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には,次のような記述があります。
 ボランティア活動を課程の中に組み込むなどして義務化している学校もある。
 例えば東京都では、2007年度から都立高校で「奉仕の時間」を義務化する予定となっている。
 このケースでは全員1単位以上の履修が求められているため、
 本来の意味ではボランティアとは呼べない(定義としてはむしろ戦時中の学徒動員に近い)が、
 誤用のまま慣習的にボランティアと呼称されている。
  引用 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2

学校教育への導入には慎重さが必要だと思います。

【海老名香葉子】 エッセイスト

自身の戦争体験を絵本などにまとめ、平和の尊さを訴えている。
講演活動やテレビ出演も多い。
また、週刊誌などで人生相談の回答者としても活躍している。
引用 海老名香葉子
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E8%80%81%E5%90%8D%E9%A6%99%E8%91%89%E5%AD%90

海老名氏が東京大空襲を描いた「あした元気にな~れ 半分のさつまいも」が映画化された際に,
2005年12月に氏の自宅でmedia center KIKANSHIが行ったインタビューの一部を紹介します。
 ●2004年,東京都上野に,
  慰霊碑「哀しみの東京大空襲」と平和の母子像「時忘れじの塔」を個人で建立。
 ●憲法9条を変えようという意見がありますが、
  絶対に9条は守ってほしいというのが私たち庶民の祈りです。
  ですから、自衛隊を軍隊にするのは反対です。
 ●戦争を体験した世代として、2度と私のような少女をつくってはいけないと思っています。
   引用 media center KIKANSHI http://www.kikanshi.co.jp/atago/2005/ebina.htm

今回の3氏は,
   教育できない方,自発的な無償の奉仕を重視する方,平和を愛する方
ということで,すでに報道にあるように,
教育再生会議には,多種多様な意見をお持ちの方々が参加されていますねぇ。

改憲派・護憲派と意見が分かれていますが,
最後に紹介した海老名氏は,1945年3月10日の東京大空襲で家族6人を失くした戦争被害者です。
右傾化しているとしばしば言われ,安易に武力行使と叫ばれる昨今。
もし戦争が始まって,
 あなたやあなたの家族の誰かが戦場に行くことになったとき,
 あなたの愛する人が戦場に行くことになったとき,
 あなたの子どもが戦場へ行くことになったとき,
そんな状況を想像してください。
61年前の悲劇を繰り返したいと考えている方はいないでしょう。