短角牛の新しい評価基準。 | 岩手・山形 晴れ、ときどき牛。

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岩手・山形のグループ牧場の牛さんについてお伝えしてゆきます。

先日、北海道での貴重な収穫のひとつ。


「サシではない、短角牛の枝肉の

新しい評価基準をつくっているよ。」


と、お話を聞いていて、ぜひそれを知りたいし、

少しでも身につけられたらと思って、行ってきました。


「良い短角牛の枝肉とは?」っていうのが、

いまいち自分の中で、基準を持てていなくて、

どうしてもサシの入り加減を見てしまったり、

体型が丸っこいのがいいのかな、とか、色んな面で、

黒毛和牛の枝肉の判断基準が抜けきれずにいました。


でも、それであれば、短角牛でも、放牧で育てているよりも

黒毛和牛のように牛舎で飼っていたり、

濃厚飼料をたくさんあげている短角牛の方が

評価が高い枝肉になってしまうわけで。


そうなると、そもそも放牧主体・粗飼料主体という飼い方自体を

否定してしまうじゃないかぁと、グルグル禅問答のように。


「短角牛の目指す『美味しい』ってなんだろう?」


大自然のなか、放牧で本来の草食動物らしく、

ナチュラルに育っていてストーリーで惹かれても

一度食べて美味しいって感じなかったら、次に続かない。

(だから、そんな短角牛の魅力を引き出していると信じて、

 枝肉での吊るし熟成をしているのだけれど、

 もっともっとできることはないかな、と。)


そんなことをいつもグルグル考えていたので、

新しい短角牛の枝肉の評価基準を知ることは、

自分にとって何か、短角牛のことを理解するための

何か一つのきっかけになるのではないか、と。


実際。大きな収穫でした。


帯広畜産大学の口田先生の作られた新しい短角牛の評価基準とは

「おいしくて、生産効率が高い肉が評価されるようにする」

とのこと。


具体的なポイントをいくつか挙げると、


・皮下脂肪や筋間脂肪が厚すぎない、

 多すぎないことを評価する


・ロース芯や周囲筋が充実していることを評価する


・脂肪交雑の量はそれほど必要ないが、コザシを高く評価する


・肉色については濃すぎたり、淡すぎたりするものは

 望ましくないとして評価する


・脂肪色については適度なクリーム色を望ましいものとして

 評価する


そして、この後の注意書きがまた、いい。


※ただし、肉色や脂肪色については、長期肥育によって

 肉色が濃くなってしまった枝肉、放牧肥育によって脂肪色が

 黄色くなってしまった枝肉については、

 飼い方を考慮した審査を実施する。


とのこと。


短角独自のものもあるし、

でもやっぱり生産効率といった面からすれば、

黒毛和牛の時の判断基準と連動しているものも、ある。


また、脂肪交雑に関して「それほど」っていうのもポイントで

赤身肉だからとはいえ、あまりに脂肪交雑がなかったらダメで、

脂肪交雑が13%以上ないと人は美味しいって感じないらしい。


面白い。

なんて、ありがたい収穫に感謝。


この基準を踏まえて、改めて先週上場した田村牧場の短角牛の

枝肉を見てみたら、この子、なかなかいいんじゃないか、と

思いました。


〇雌・30.7ヶ月齢・450kg・A2
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この子を一ヶ月吊るして、もし美味しいって評価されなかったら、

また振り出しに戻って、自分なりの短角牛の判断基準、

探す旅に出ないと。


今回もたくさん勉強させて頂いたことに感謝です。

ありがとうございました。