有安杏果を推し続けるべきか、推すべきでないか?それが問題だ。

僕は葛藤している。

医師(精神科医)として親身となって活動のサポートをしてもらっている男性と結婚を前提した恋愛、その医師に個人事務所の代表を依頼したとの有安杏果の発表を見た時、彼女の大ファンである僕は、彼女が幸せになっているんだとの大きな喜びを感じるとともに、ある種のショックを受けた。いろいろな記事を読むと、精神科医と患者の関係は常識的にまた倫理的には問題であるとのこと、しかし、それを規制する法律は日本にはないとのこと。複雑な心境のまま数日間寝れない日々を悶々と過ごしていた。一週間近くネット上に展開されるいろいろな意見も読みながらそれぞれの意見に賛同や反感を覚えながら。いろいろ心配はあるけど、結局は倫理上の問題はあるにせよ、それを抱えているのは有安杏果なのだから、考えようには道義的な問題はあるのかもしれないが、他人に直接は迷惑をかけていないだから、大きく批判を受けている中頑張ろうとしている彼女を全面的に応援すべきではないか?また、芸能事務所運営のノウハウを持っていないであろう精神科医の彼が事務所の代表になることによりいろいろ苦労するだろうし、また彼との関係が崩れたら芸能生活にも大きな支障がでることも予想される。でも、結局それは彼女が選んだことだから、有安杏果の問題であり、ファンとしては、そうした茨の道を選択した彼女を全面的に応援すべきではないか?それが僕の中の一つの結論であった。その結論に至る理由には、芸能生活1年間休んだ後、念願の復活コンサートを行う大好きな有安杏果を絶対応援したいという気持ちが強かった。

しかし、先日精神科医と患者と交渉は米国では犯罪であるとの記事をみて驚いた。日本では倫理上の問題でしかない問題が、僕が住んでいる米国では犯罪?それほど精神科医と患者の関係による問題は深刻なのだろうか?彼女自身の発表から、彼女が付き合っている精神科医の、その患者であるもしくは過去患者であったことを考えると、これは無視できない。これは今まで知らないこの問題について調べて見る必要があるとネットでいろいろな情報を漁ってみた。

その結果、患者が精神科医と関係を持つことにより、精神的被害に苦しんでいる患者が非常に多く、深刻な問題になっている現状が浮かび上がった。ある調査によれば、男性精神科医の約10%が患者となんらかの関係を持ったことがあるとの統計もあり、そうした行為はかなり広く問題になっていることが分かる。精神科医と患者の関係をもった後、それが合意の下に行われたどうかに係わらず、また、それが精神科の治療が終わった後に行われたとしても、多くの患者に精神的疾患が起きるとの事。例えば、それは患者の認知能力に影響を与え、フラッシュバックが頻繁に起こり仕事はおろか日常生活が出来なくなる状態に陥るケース、虚無感・孤独感に悩まされ激しい自己嫌悪に陥るケースなど、非常に重大精神的疾患の症状が起きることがある。また、精神科医との関係を持った患者が、その後自殺を試みるケースは全体の14%とも報告があり、この統計だけでもその影響が患者に与える影響が非常に大きい事が伺える。恐ろしい事に、こうした関係に至った患者が完全に回復する可能性は17%しかないとの報告もあり、如何に精神疾患を持った患者が精神科医と関係を持つことが患者に取り返しのつかない重大な悪影響を与える事が伺える。

米国における精神科医の患者への関係を規制する法律について調べてみた。米国は全土に適用される連邦法の別に各州が独立した自治権を有しており、各州法が制定されている。半数以上の州で精神科医が患者と関係を持つことを犯罪として規定していることが分かった。さらには、こうした精神科医が患者と関係を持つことを犯罪とする米国全土で適用される連邦法を制定すべきとの動きもある。僕の住んでいるテキサス州の法律について詳しく見てみた。大きく3種類の法律がある。1つ目はテキサス州の精神科医協会の規定がある。それによると患者との関係に限らず、なんとその患者との家族(配偶者、子供、兄弟)ともそうした関係になることを禁止されている。またその禁止規定は、患者と精神科医の治療後も原則永遠に適用される。また、関係を持つため精神科医が免許を返上する行為も禁止されている。さらには、そうした行為が患者の同意の上であったとしても禁止されている。そうした禁止行為を行った精神科医は医師免許を剥奪される。要は精神科医と患者との関係に一度なったら、なにがどうあっても精神科医は、患者及びその家族も含めて関係は一切持ってはいけないと厳しく規制されているのだ。それだけ、精神科医が患者の精神に対して大きな影響力を持っていることの現れである。精神科医は社会的な重大な責任が有しているのだ。2つ目は民事上の責任で、そうした関係を患者と持った精神科医は“Malpractice”として不法行為上の責任を負い、損害賠償責任を負う。ここでも患者の同意があってもその責任は免責されない。3つ目は刑法上の責任であり、精神科医は2nd Degree Felony、すなわち第2級の重犯罪の罪に問われ、2年から20年の禁固刑となる。刑事上患者の同意は抗弁になるようであるが、判例や学説等を見るに精神病の疾患をもっている患者が、精神科医から関係を迫られた時に、果たして患者が同意を行える能力を有しているか疑問視される意見が多い。こうした法制度が整備されて、司法制度が充実している米国ではこうした精神科医相手に不法行為を基に、損害賠償を請求することを専門にしている弁護士もいる。

ただし、この問題は患者が精神科医の行為を問題であると声を上げないと表面化されない。現在の有安杏果が精神科医の彼と問題があるようなことは今のところなさそうである。「だったら問題ないじゃないか、ぐたぐたうるせぇな」と思われる方もいると思う。しかし、問題はそんな簡単ではないのだ。今後、彼との関係が崩れる可能性もある、また崩れないにせよ、思ったとおり芸能活動が進まないかもしれない。その時に彼女に精神的疾患で大いに悩む可能性だってある。その時、その原因の一つをつくった彼は精神科医として助けることができないだけでなく、彼女の精神状態をさらに悪化させるかもしれない。もしテキサス州に住んでいれば、上記のように様々な方法で精神科の患者であった彼女を助ける仕組みがあり、精神科医を弾劾する法が整備されているのだ。でも、日本には一切そうした法律や制度がない。恐ろしい現実だ。精神科医の個人のモラルにのみに委ねられている。精神科医にかかること、それから発生するリスクはそれが日本人でも米国人でも同じであるにも拘らず。。

でも、これは、有安杏果と彼の関係であり、プライベートであるから、有安を応援することに関係ないでしょ?という意見もあるかもしれない。確かにそうだ。私個人間の極めてプライベートなことであるから、ファンが詮索する問題でない。

しかし、精神科医である彼は、有安杏果の個人事務所の代表であるのだ。すなわち有安の芸能活動そのものが、精神科医である彼との関係の上に成り立っているため、この2つを分けて考えるのが難しい。だから僕は彼を芸能活動のベースである個人事務所の代表に据えたのは間違いであると思う。幾ら資金と社会的信用のある人間だとしても。また、何千人、何万人のファンがいて、影響力のある芸能人や有名人がどういう生き方をしているかは、プライベートであったとしても、社会に対するメッセージ性を持つことは否定できない。

だから有安杏果を応援することは、それは応援する側が意識していなくとも、精神科医である彼との関係を受け入れていると看做され、有安ファンは精神科医がその社会的な信頼に基づく立場を利用して患者を搾取を行う事を是認しているんだと、社会的に同義になってしまうことを懸念する。それは、あまり表にでることがない(特に日本では)、おそらく多くの患者の方々、精神科医により関係を迫られ苦しんでさらに精神的に病んでしまった患者、それが原因で自殺してしまった患者、それにより大事な可愛い娘を亡くして大粒の涙を流した親達に対する冒涜になるのではないだろうか?考えすぎだろうか?しかし、精神科医とその患者との関係を基礎にした芸能活動である限り、それを是認し、そうした社会的なメッセージを無意識の内に発していることを否定できるだろうか?

問題があるのは、精神科医である。自らの欲望に負け、医師に対する社会的な信用の基礎である、医師と患者の禁止事項、神聖なヒポクラテスの誓約を破ったのである。しかも一切表に出てこない。有安杏果は患者である、もしくは、患者であった。すなわち被害者であり、守られるべき存在である。しかし、それなのに、表に出てくるのは彼女だけだ。

やっとアイドルの呪縛から逃れ、有安杏果はこれからソロデビューする。なにも縛られずに自由な蝶として羽ばたく時なんだ。そう、有安杏果実のAnother Storyの始まりなんだ!夢見た、念願の歌を歌うのである。大好きな歌をファンに伝えるため。しかも今回の騒動で相当イメージを落としている。だからこそ、そんな彼女を勇気づけるため、ファンとしてはむちゃくちゃ応援したい。本気で心から、応援したい!サクライブにも絶対行きたい!!行って、凄く久しぶりに杏果!!!!!!!って叫んでみたい。むちゃくちゃ頑張っている有安杏果だから絶対魂の叫び声が聞こえるに違いない。ライブでは感動して号泣したい!歌って、踊って、飛び跳ねて、笑って、号泣する有安杏果をみたい!そして、有安のファン同士で、泣けじゃくりたい。

そうなんだ、僕は、有安杏果と一緒に、みんなで、泣きたい、泣きたい、泣きたいんだ。。。

一方で精神科医がその立場を利用して、弱い立場にいる患者を搾取することは絶対あってはならない。絶対に。

僕は葛藤している。

いったいどうしたらいいんだろう?

 

2月16日 ヒューストンにて
 


参考文献へのリンク

 

https://digitalcommons.law.ggu.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1449&context=ggulrev

https://www.apa.org/ethics/code/index

https://texreg.sos.state.tx.us/public/readtac$ext.ViewTAC?tac_view=3&ti=22&pt=21

https://www.psychologytoday.com/us/articles/200202/between-client-and-therapist

https://www.kspope.com/sexiss/sexencyc.php

http://www.advocateweb.org/law-ethics-2/sexual-exploitation-laws/

https://statutes.capitol.texas.gov/Docs/PE/htm/PE.22.htm

https://statutes.capitol.texas.gov/Docs/CP/htm/CP.81.htm

https://www.kspope.com/sexiss/sex2.php

https://www.nolo.com/legal-encyclopedia/if-i-tell-psychologist-crime-i-committed-can-i-trouble.html