ハウツー本はどうやって書けばいいのだろうか?

 それを教えてくれるハウツー本がないので推測してみた。たぶん最初はその意義を伝えることかな。つまり動機づけで、方法を学ぶとこんないいことがある、というパートである。そして最小の道具立てで、簡単な例題に取り組んでもらう。小さな成功体験を積むことで、次への意欲が増す。例題は身近なもので、解くとなるほど、というものを考案したい。自転車なら、変速や曲がりながら公園一周ぐらい。

 この導入部を経て、ハウツーの全体像を示しながら、一歩一歩、本論を展開する。だいたい躓きやすい箇所が分かっていれば、行間を埋めるようにいろいろな具体例に触れながらゆったりと説明する。飲み込みの早い読者も想定して、枝葉のエピソードや細かい課題についてコラムを用意する。ひとまとまりの後には、まとめと、いくつか問題と解答例を並べて、読者が「分かってきた!」と実感できるように構成する。途中で飽きず、楽しくなるように。自転車で言えば、多摩川サイクリングロード、荒川サイクリングロードのペース走で、ペダリングやハンドリングを身に着ける感じ。ハウツーがいくつかに分解できるなら、その分、同じパターンで繰り返す。でも単調にならないように、陰陽など対照的にしておきたい。

 以上のようにして基本編を終え、視点を高次元に転換する。ハウツーの全体を合わせることで、それまでひと筋縄で行かなかったような課題が解決できる様子を示していく。応用も意外な分野に当てはめていく。自転車で言えば、名所旧跡巡り、カフェ&スイーツ探訪など、足を伸ばして日常世界がひろがる試みだろうか。

 最後のまとめは、ハウツーの全体を駆使して、本筋の難問に挑む。その過程で、ひつとひとつのメソッドを再確認してより水準を上げる。難問といっても、ギリギリ解ける位でやり切った感が味わえる水準に設定する。コラムでは、歴史や社会、倫理などの観点で留意すべき点に触れる。ここまでいけば修了。自転車でいえば、山岳コースで長距離を完走してゴールでアイスクリームを味わう体験になる。

 と考えてみた。なんかソナタ形式みたい。神取先生の「ミクロ経済学の力」もこんな構成だったと思う。悪くはなさそう、ちょっと進めてみよう。