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復帰から2年目。
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「カウボーイビバップ」(Cowboy Bebop)は、サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)制作のSFアニメーションで、まずは地上波のテレビ東京系列で1998年(平成10年)4月3日(金)~6月26日(金)18時00分~18時30分まで、全26話のうち12話が放送され、最終回として総集編「よせあつめブルース」が追加された。

なお、この地上波の最終回はソフト化されていないという。

その後、同年10月23日(金)~1999年(平成11年)4月23日の深夜25時00分~25時30分まで、WOWOWのスクランブル放送にて全26話が放送された。

なお、2年後の2001年(平成13年)には、サンライズから分派したボンズにより、映画「カウボーイビバップ 天国の扉」も制作されている。

テレビアニメの黎明期は、宇宙ものの名作が多く苦戦していた時代で、その壁はあの「宇宙戦艦ヤマト」をもってしても壊すことができなかった。

ところが、「ヤマト」は枠を埋めるための再放送が始まると、人気がうなぎ登り。

その流れを受けた「キャプテン・ハーロック」や「999」、「1000年女王」のような「無限に広がる大宇宙」に夢とロマンを求める松本アニメの登場で、宇宙ものへの認識は変わっていった。

エドモンド・ハミルトンによるスペースオペラの傑作「キャプテン・フューチャー」もアニメ化され、アニメの世界にもスペースオペラ(通称・スペオペ)と呼ばれるジャンルが確立して行った。

ただし、日本では宇宙が舞台となっても、「地球を守る」「人類を救う」といった大義を背負わされるヒーローが圧倒的多数で、「地球」の存在が重視されない作品は少なかった。

純粋に日本初のスペオペとなったのは、高千穂遙氏の「クラッシャージョウ」ではないかと個人的には思っているのだが、どうだろう?

このクラッシャージョウがヒットすると、マンガの世界にも寺沢武一氏の金字塔「コブラ」が誕生し、ここから重苦しい大義を背負わず、自由な宇宙生活者の日常を描く比較的ライトなタイトルが受け容れられるようになってくる。

本作「カウボーイビバップ」もそうした流れの上に位置するスペオペの傑作といえそうだが、舞台は太陽系を出ないし、地球も登場する。

現代と比較的地続きの設定になっていて、クラッシャージョウやコブラのように銀河系を縦横無尽に駆け巡るような壮大な物語ではない。

西暦2022年の月での位相差空間ゲート実験中の大事故により、人類が地球に居住できなくなり、太陽系全域へと生活空間を広げていた時代が舞台となっている。

この位相差空間ゲートというワープ空間を太陽系全域に高速道路網のように行き渡らせるという設定には、いかにもな説得力があった。

その開発段階の事故により、地球上に人類が住めなくなっているという点もユニークで、面白い着眼点だと感心した記憶がある。

実際に舞台となっているのは西暦2070年代の太陽系だが、設定上この大事故が起きたのは2022年、つまり4年前のことであって、そう思うと、この作品の登場人物たちがSFアニメの中の未来人というだけでなく、一気に身近な存在に思えてくる。

ゲート事故に巻き込まれたフェイなどは、あのコロナ禍の時期には、すでに青春時代を過ごしていたことになる。

同社の「レイズナー」もそうだが、近未来を舞台にしたタイトルは、往々にして制作当時の未来が過去となり、フィクションとして描いた未来と現実の相違が浮き彫りになって面白い。

2070年代まではあと半世紀もなく、第二次世界大戦から現在に至るいわゆる戦後と呼ばれる期間にすら満たぬわずかな時間でしかない。

はたして実際の2070年代の人々がどのような暮らしをするのか、非常に興味深かったりもする。

 

ストーリー

 

西暦2070年代。

人類は宇宙開拓時代を迎え、位相差空間ゲートなるワープ空間で太陽系全域を結び、生活圏を拡大していた。

しかし、そのゲート実験中の事故により、地球は一面廃墟と化し、文化も著しく衰退してしまう。

急速な行動域の拡大から治安の悪化も顕著で、警察組織は犯罪者に賞金をかけるようになり、そうした賞金首の逮捕を生業とする者たちを、人々は「カウボーイ」と呼んだ。

火星生まれの元マフィア、スパイク・スピーゲルは、ガニメデ出身の元警官、ジェット・ブラックの宇宙船ビバップ号に居候し、愛機「ソードフィッシュⅡ」を駆って、各地の賞金首を追っていた。

ビバップ号は廃棄寸前の旧型漁船で、銃火器に類する武器を積んでいないため、戦闘はスパイクの「ソードフィッシュⅡ」が担っている。

ある事件で脳改造を施されたデータ犬「アイン」を巡る騒動に巻き込まれたスパイクとジェットは、成り行きでこれを飼うことになる。

その後、すれっからしの女賞金稼ぎフェイ・ヴァレンタインや、天才ハッカーの自称エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世、通称エドらも加わって、奇妙な同居生活が始まった。

スパイクは見事に大嫌いな、

「ガキと、ケダモノと、跳ねっ返りの女」

に囲まれながら、賞金首を追って、ジェットの愛機ビバップ号で太陽系狭しと飛び回る。

 

 

本作の魅力といえば、総じて「スタイリッシュでカッコいい」ということだろうか。

センスのいい台詞回し。

1話完結で各エピソードに繋がりがないにもかかわらず、最終回まで観るとなぜかしっかり筋が通っている見事に練られたストーリー構成。

独創的なキャラクター設定や、確かなSF考証に裏打ちされた舞台設定。

魅力的な劇中音楽の数々。

どれをとっても他のアニメにはない高い完成度を誇っていた。

特に、テーマ曲の「Tank!」をはじめとするBGMや数々の挿入歌はセンスの塊で、私もCDを買い集めて繰り返し聴いた。

声優たちの演技も抜群だった。

すでに綾波レイでブレイクしていたフェイ役の林原めぐみ。

いぶし銀のジェット役石塚運昇。

この役だけで強烈な印象を残したエドの多田葵。

当時はまだ現在ほど濃い演技はせず、淡々と冷酷無比の敵役ビシャスを演じた若本規夫。

みなキャラクターの魅力を十分に発揮する好演だった。

中でも特に素晴らしかったのが、スパイクを演じた山寺宏一。

すでにエヴァの加持リョウジ役でブレイクを果たしていたが、このスパイク役は彼にしかできなかったと思う。

何より、本人がノりにノって演じていたのが、画面を通して伝わってくるから嬉しい。

時にクールに、時にコミカルに、エピソードの中身に合わせてクルクル変わる表情豊かなスパイクを、この人らしく巧みに演じ、実に生き生きとした賞金稼ぎの生きざまを表現していた。

このスパイクという男の魅力は、万人に通じるものだったらしく、某アニメ雑誌のキャラクター人気投票で、男性部門の一位を何度か獲得していた記憶がある。

このスパイクと若本規夫演じるビシャスとの因縁の対決が物語の根底にあり、直接対決のエピソードはたった5話にすぎないにもかかわらず、まるで全編通して描かれてきたような印象を与える巧みなシリーズ構成には唸らされるしかなかった。

 

 

個人的には、第22話「カウボーイ・ファンク」の馬鹿っぽいスパイク

 

 

がいちばん気に入っていた

フェイ「登ってるわ、猿が二匹……」
ジェット「高いとこが好きなんだなぁ……帰るか」

 

が、最終話の「ザ・リアル・フォーク・ブルース」前後編も、雰囲気があって痺れまくった。

スパイクの最期でしめくくり、視聴者に続編は作らないときっぱり宣言しているのも潔く、清々しい。

 

 

そんなわけで、後に作られる「天国の扉」のエピソードも、最終話より前の時間軸で展開されている。

監督の渡辺信一郎氏は、その後「サムライチャンプルー」や「スペース⭐︎ダンディー」といった、ビバップと似た印象の作品もいくつか作っているが、ビバップを越えるヒットには繋がらなかったようだ。

どのタイトルもさすがの高品質だが、やはりビバップの印象が強すぎたのだろう。

最後に、ネットに転がっていたお宝映像。

ディスク未収録という地上波版の最終回、「よせあつめブルース」を引っ張っておく。

よろしければ、どうぞ。