今回の解散に際し、高市首相は「国民の信を問う解散」であると述べた。
素朴に疑問なのだが、彼女は大統領なのか?
まるで、自分が国民から選ばれていない指導者であるかのような物言いだった。
そんなことはない。
国民の代表である議員、与党自民党の党員により総裁に選ばれ、首班指名を経て選ばれた正式な総理大臣だ。
議院内閣制の制度下では何ら問題なく、国民の信任を得ている。
そして、所属する自民党内では、旧安倍派の解体以降むしろ少数派といってよい。
自民党が党勢を盛り返せば、それだけ高市首相は仕事がしにくくなるのではないか。
ここはむしろ自身と政策の近い野党と高い支持率を利用して、しっかり予算を通して実績を作る場面だろう。
御本人も暮れには「解散など考える暇はない」と言っていたし、よほどな心境の変化があったのか?
「国会の会期中であっても閉会中であっても日本にいても海外にいても働いて働いて働いて働いて働いてまいりました」
と、これまでの活動を総括した高市首相だが、成果として実感できるのは「ガソリン暫定税率の撤廃」ぐらいしかない。
「国論を二分するようなテーマにも果敢に挑む」と宣言しながら、具体的な内容には言及せず、解散総選挙に打って出る。
まるで闇ナベか、おまかせメニューしかない高級レストランのようだ。
まあ、何をしたいのか何となく想像はつくのだが。
やはり、唐突感は否めない。
おそらく、高市首相の頭にあるのは、野党対策ではなく、裏金議員らを含めた旧安倍派を再建し、緊縮財政派やリベラル派の議員らを入れ替えることだろう。
しかる後、共和党を乗っ取ったトランプ大統領のように強権を振るう。
これは師匠筋にあたる安倍氏ですらやらなかったきわめて独善的な手法だ。
というわけで、また総理の心変わりと、彼女独自の政治的成果についてGemini教授に訊いてみた。
「働いて働いて働いて働いて働いてまいりました」と、解散を前に自ら短期間の仕事を自画自賛した高市首相。
過去の内閣から引き継いだ課題の他に、彼女自身が成し遂げた独自の成果とは何?
日本政治における「働く内閣」の言説的系譜と高市政権の独自業績:継承と断絶の政治経済学的分析
序論:内閣総理大臣の自己表象としての「労働」
日本の議院内閣制において、歴代の首相が自らの政権の正当性を主張する際、「国民のために働く」というレトリックは極めて頻繁に用いられてきた。
特に、2020年代半ばから現在に至るまでの政治状況において、首相官邸が発する「働いて、働いて……きた」という言説は、単なる実務的な勤勉さの強調を超え、政治的危機を突破するための戦略的な自己規律の象徴へと変質している。
2026年1月23日、通常国会の冒頭という異例のタイミングで衆議院解散を断行した高市早苗首相は、その会見において、自らの就任以来の歩みを「国会の会期中であっても閉会中であっても日本にいても海外にいても働いて働いて働いて働いて働いてまいりました」と総括した。
この「労働」への執着とも取れる自画自賛は、有権者に対し、彼女が前任者である岸田文雄氏や石破茂氏から引き継いだ「負の遺産」や「未完の課題」を処理する以上の、独立した政治的成果を生み出したことをアピールする意図が含まれている。
本報告書では、高市政権が「前任者のしかけた仕事を終わらせた」という受動的な役割を超え、どのような独自のパラダイム転換を成し遂げたのかを、マクロ経済政策、安全保障外交、そして政治構造の再編という三つの主要な次元から検証する。
また、歴代の「働く内閣」を自称した政権との比較を通じて、高市首相の言説が持つ政治的意図と、その裏に隠された構造的な課題についても、多角的な視点から考察を深めていく。
1. 歴代「働く内閣」の系譜と高市政権の位置づけ
「働く」という言葉を政治的アイデンティティの核に据える潮流は、菅義偉政権にまで遡ることができる。
当時の菅首相は「国民のために働く内閣」を標榜し、縦割り行政の打破や具体的成果の積み上げに注力した。
この系譜は、岸田政権の「実行する力」、石破政権の「守り抜く」姿勢を経て、高市政権の「決断と前進」へと継承されている。
1.1 歴代政権における「働く」の定義と主要アジェンダの比較
歴代政権が掲げた「働く」という概念には、それぞれ異なる政治的含意が含まれている。
以下の表1は、2020年代以降の歴代内閣における「労働」の対象とその象徴的な成果を整理したものである。
表1:歴代政権における「労働」の対象と主要成果の比較
高市政権における「働く」という表現が、石破首相のそれと酷似していることは注目に値する。
石破氏は解散総選挙にあたり、自らが短期間で「働いてきた」ことを強調したが、高市氏はその表現を反復しつつ、より「結果」へと結びついていることを強調することで、自身の正当性を担保しようとしている。
1.2 高市政権成立の歴史的文脈
2025年10月、石破内閣の総辞職を受けて発足した高市内閣は、日本憲政史上初の女性総理大臣の誕生という象徴的な意味だけでなく、自民党内の権力構造の劇的な変化を体現していた。
140年の内閣制度の歴史を塗り替えた高市首相は、就任当初から「国家国民のため、全力で、変化を恐れず、果敢に働く」ことを誓い、平均年齢59.4歳という若返りを図った内閣を組織した。
この成立過程において、公明党との長年にわたる連立関係が解消され、日本維新の会との新たな連立が成立したことは、高市首相が「前任者のしかけた仕事」を単に受け継ぐだけの存在ではないことを示す最大の証左となった。
これは、自民党の伝統的な合意形成モデルを破壊し、政策の実行スピードを優先させるという彼女独自の政治スタイル、すなわち「決断と前進」の現れであったと言える。
2. 経済政策における「積極財政」への完全転換と独自性
ユーザーが疑問を呈している「前任者の仕事を終わらせた以外」の成果として、最も明確に挙げられるのが、高市首相による日本のマクロ経済政策のパラダイムシフトである。
2.1 「緊縮思考」との決別と潜在成長率へのアプローチ
高市首相は、岸田・石破両政権が掲げていた「経済あっての財政」というスローガンを換骨奪胎し、「行き過ぎた緊縮思考」が日本の潜在成長率を押し下げてきたという独自の現状認識を提示した。
彼女は、日本人の強みである技術革新や現場の生産性の高さを認めつつも、その成果を削ぎ落としてきたのは、政府の「未来への投資不足」であると断じた。
高市政権の経済政策における独自性は、以下の数式で表されるような「潜在成長率」の構成要素へのアプローチに集約される。
ここで、高市首相が特に重視したのは、設備投資による資本ストック(Capital)の増強と、研究開発投資による全要素生産性(TFP)の向上である。
彼女は2025年末に成立させた補正予算において、単なる物価高対策(給付金等)にとどまらず、民間投資を誘発するための大規模な補助金や投資減税を盛り込んだ。
これは、岸田政権が「成長と分配の好循環」を謳いつつも、実質的には財政健全化目標(プライマリーバランス黒字化目標)に縛られていた状況を打破するものであった。
2.2 「高市トレード」と株式市場の反応
高市首相の経済政策に対する市場の評価は極めて高く、2026年1月には日経平均株価が54,000円台という空前絶後の高値を記録した。
これは「高市トレード」と呼ばれ、彼女の積極財政と投資促進策が、デフレからの完全脱却を現実のものにするとの期待感に基づいている。
表2:高市政権下における主要経済指標の推移と目標
高市首相は、「古びた機械を使い続けなければならない状況」を放置してきた自民党の過去を公然と批判し、政府がリスクを取ることで国内回帰(リショアリング)を促進する姿勢を鮮明にした。
これは、前任者が掲げた「人への投資」を、よりハード面での産業基盤強化と結びつけた、彼女自身の政治生命を賭けた独自の成果であると言える。
3. 外交・安全保障における「黄金時代」の構築と対米戦略
外交面において、高市首相は岸田氏が築いた日米同盟の緊密化を継承しつつも、トランプ政権の再登場という極めて困難な局面において、前任者には成し得なかった「日米同盟の次なる黄金時代」という独自の枠組みを構築した。
3.1 高市・トランプ会談の成果と「伴走者」理論
2025年10月28日、高市首相は訪米し、トランプ大統領と対面での初会談を行った。
この会談で特筆すべきは、日本を単なる「同盟国」ではなく、米国の世界戦略における「平和の取り組みの伴走者」として位置づけ直したことにある。
トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」の観点から、同盟国に対して負担の増大を求める傾向にあるが、高市首相は日本の防衛力強化を「自発的な国家意志」として提示しつつ、経済安全保障分野での協力(AI半導体の輸出許可やサプライチェーンの再構築)をカードに、トランプ氏から「全面的な支持」を引き出した。
この成果は、以下の点で独自性を有している。
- 北朝鮮拉致問題へのコミットメント:トランプ大統領に対し、拉致被害者家族との面会を実現させ、北朝鮮の完全な非核化へのコミットを改めて確認させたこと。
- 戦略的投資イニシアチブ:2025年12月に開催された協議委員会において、先端技術分野での日米共同投資の枠組みを具体化したこと。
- 対等なパートナーシップの演出:従来の「追随外交」ではなく、日本の底力を信じるという強い姿勢をもって、トランプ氏の個人的な信頼を勝ち取ったこと。
3.2 国際秩序への能動的な関与
高市首相は、ベネズエラ情勢のような地球の裏側で起きている人道的・政治的危機に対しても、SNSや国際会議を通じて「情勢の安定化に向けた外交努力」を即座に表明している。
彼女の外交スタイルは、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値を尊重しつつも、日本政府としての主体的なメッセージを迅速に発信する点に特徴がある。
これは、岸田政権が提唱した「新時代リアリズム外交」の延長線上にありながら、よりスピード感と「高市カラー」の強い、果敢な外交実践であると評価できる。
4. 政治構造の破壊的創造:自維連立と「140年の転換」
ユーザーが問う「自身の結果」として、政治学的に最も重要なのは、戦後日本の連立政権のあり方を根本から変えた「自維連立」の成立である。
4.1 公明党の離脱と維新との提携
高市首相は、就任に際して「政治の安定」を名目に、26年間にわたる公明党との連立関係を解消(あるいは公明党が離脱)し、日本維新の会との新たな合意を形成した。
これは、自民党内の「ハト派」や「リベラル層」が大切にしてきた自公体制という安全装置を外す、極めてリスクの高い賭けであったが、高市氏は「国家国民のため、多数を形成し、政治を安定させる」という大義の下でこれを断行した。
維新との連携により、以下の政策的ブレイクスルーが可能となった。
- 規制改革の加速:維新が掲げる「身を切る改革」と高市氏の「積極財政」を、投資促進という共通項でパッケージ化したこと。
- 憲法改正への具体的な道筋:衆参の憲法審査会において、改正に前向きな勢力による建設的な議論を促進する土壌を整えたこと。
- 地方創生の再定義:石破氏の「地方創生2.0」を、維新の地方分権論と融合させ、より経済成長に資する社会政策へと転換したこと。
4.2 103万円の壁への対応と税制改正
高市首相は、国民民主党などが強く主張していた「103万円の壁」の引き上げについても、令和7年度税制改正の中で議論し引き上げることを明言した。
彼女の「働く」という言説には、こうした現役世代の労働意欲を削ぐ制度的な壁を撤廃し、誰もが能力を最大限に発揮できる環境を作るという、具体的な政策課題の解決が含まれている。
これは、前任者が「検討」にとどめていた問題を、連立の枠組みを組み替えることで「実行」に移した、高市首相ならではの「結果」と言えるだろう。
5. 2026年1月「国会冒頭解散」の戦略的正当性と批判
ユーザーが指摘する「国会の冒頭で解散総選挙をぶち上げた」
行為は、憲政史上でも類を見ない手法であり、野党からは「自己都合解散」「政治空白」との厳しい批判が浴びせられている。
5.1 「なぜ今なのか」という問いに対する政治的回答
高市首相が通常国会(令和8年度当初予算案の審議国会)の冒頭で解散を決断した背景には、以下の三つの戦略的判断があったと考えられる。
- 経済的モーメンタムの利用:日経平均株価が54,000円をつけ、自らの積極財政の効果が市場に最大限評価されているタイミングで信を問うという判断。
- 予算編成の主導権:2026年度予算の内容に国民の直接の意思を反映させるという民主的正当性の確保。
- 連立基盤の固め:自維連立という新しい枠組みが、国民からどの程度支持されるかを確定させ、政権運営の「政治の安定」を永続化させる狙い。
5.2 野党の批判と国民民主党との軋轢
一方で、この解散は多くの混乱を招いている。
国民民主党の玉木代表は、年収の壁見直しに関する合意が果たされないタイミングでの解散を「残念だ」と述べ、政局よりも経済対策を優先すべきだったと批判している。
また、共産党などは、統一協会との関係や政治資金問題から逃げるための「究極の自己都合解散」であると断じている。
高市首相は、これらの批判に対し「国会の会期中であっても……働いてまいりました」という言葉を盾に、解散期間中も政府機能は停止せず、各省庁の職員と共に働き続けることを強調した。
この「働き続ける」というレトリックは、解散による政治空白という批判を中和するための、彼女独自の防衛論理となっている。
6. 「働く」言説の多角的な再評価:前任者の影と独自の光
首相が自画自賛する「労働」の実態を分析すると、そこには「前任者のしかけた仕事の完遂」と「高市独自のイニシアチブ」が複雑に交差していることがわかる。
6.1 継承された「仕掛かり仕事」の完遂
高市首相が「働いた」内容の多くに、前任者たちの残務処理が含まれているのは事実である。
- 石破氏からの継承:防災・減災、国土強靱化の推進、および被災地の復旧・復興加速。特に、能登地域の創造的復興や福島復興の「司令塔」機能の維持。
- 岸田氏からの継承:GX(グリーントランスフォーメーション)の推進、防衛力の抜本的強化に伴う具体的な装備品調達と部隊運用。G7議長国としての役割の継続。
- 菅氏からの継承:デジタル化の徹底、携帯料金等の家計負担軽減策の持続、不妊治療支援の拡充。
これらの課題は、国家としての継続性が求められるものであり、高市首相がこれを「働いて終わらせた」ことは、行政の安定という観点からは評価されるべき「結果」である。
6.2 高市早苗という「個」が生み出した独自の結果
しかし、単なる「処理」に終わらなかった点が、彼女が「働いて働いて……きた」と胸を張る根拠となっている。
以下の表3は、前任者の路線をどのように「高市流」に昇華させたかを整理したものである。
表3:政策の継承と高市独自の進化(エボリューション)
このように俯瞰すると、高市首相は前任者が描いた「設計図」を用いつつも、自ら筆を入れ、建物の構造自体を「成長型・保守型」へと作り替えた。
これが、ユーザーの問いに対する一つの回答となる。
7. 結論:高市流「働く内閣」の真価と今後の展望
高市早苗首相が繰り返す「働いて、働いて……きた」という自画自賛は、単なる精神論ではなく、彼女が断行した「経済のパラダイム転換」「外交の個人的信頼構築」「政治連立の再編」という三つの巨大な「結果」に裏打ちされている。
彼女は、石破前首相のように「誠実な説明」や「丁寧な対話」に時間を費やすよりも、自らが信じる正義(強い日本、経済成長)のために「果敢に働く」ことを選んだ。
国会冒頭での解散という強硬な手法も、その「結果を出すためのスピード感」の現れであると言える。
しかし、この「労働」が国民の真の利益に繋がっているかについては、依然として厳しい視線が注がれている。
- 物価高との闘い:株価は史上最高値を更新したが、実質賃金が物価上昇を安定的に上回り、国民が「豊かさ」を実感できるレベルに達しているかは未だ不透明である。
- 連立の安定性:維新との連立は、政策実現のスピードを上げる一方で、自民党内の伝統的な支持基盤や公明党票を失うリスクを孕んでおり、衆院選の結果次第では政権基盤が揺らぐ可能性もある。
- 対米関係の継続性:トランプ大統領との個人的な関係が、貿易不均衡や関税問題において、日本に一方的な譲歩を迫る結果にならないか、その「伴走者」としての能力が試されている。
高市首相の「働いてきた」という言葉が、単なる選挙のためのスローガンに終わるのか、あるいは日本の停滞を打破した救世主の言葉として記憶されるのか。
2026年1月の解散総選挙は、彼女が前任者の仕事を終わらせた「後片付け屋」なのか、それとも日本を新しい時代へと導く「創設者」なのかを、国民が最終的に審判する場となるだろう。
政治家にとって、自らの労働を誇ることは、その労働の結果責任を引き受けることと同義である。
高市首相が会見の最後に述べた「国家国民のため、絶対に諦めない」という決意は、これまでの「独自の成果」を維持し、さらに発展させるための、彼女自身の背水の陣を示しているのである。
いつもながら、教授は読むのが苦痛になるほどこまごまと答えてくれる。
とはいえ、かなり高市支持者寄りの回答なので、ちょっと驚いた。
いくつかの点では納得のいかない部分もある。
例えば、教授によれば高市首相が能動的、戦略的に公明党との連立を解消したように書かれているが、皆さんご存知のようにそうではない。
常々右寄りの発言が多い高市首相に対し、公明党が三行半を突き付けた形で、過半数を維持するために止むにやまれず組んだ相手が維新だっただけだ。
他にも、株価が54000円を突破したことで高市首相の積極財政が市場から支持されたというが、では、この超円安は何だろう。
株価の高騰と反比例するように円が売られ続けている。
これは、市場が手放しで高市首相の積極財政を支持しているわけではない証左ではないのか。
いずれにせよ、国論を二分するような政策を実行するために国民の信を問いたいなら、その課題を堂々と掲げて戦うべきだろう。
消費税の減税などという小さな問題は本音ではどうでもいいはずで、おそらく過半数を得た後はひたすら検討を続けるか、そのポーズすら放棄するかのどちらかになる。
メニューが出てこない店で料理は選べない。
ビジョンが示されなければ、有権者は正しい情報に基づいた投票ができない。
いつから議員は推し活の対象になったのか?
もう一点、非常に気になるのが、いまだに二大政党制を目指すらしい野党(中道改革連合)の旗揚げ。
もうそんな時代ではないことを肌で感じられないのか。
二大政党制の危険性は米国がすでに実証済みだ。
一方の政党がポピュリズムに呑み込まれて瓦解すれば、あっという間に機能しなくなる。
個人的には選挙前のバランスが現状の最適解だと思うので、残念な展開になったが、有権者には高市首相の、
「過半数がとれなければ即退陣」
という殺し文句に怯むことなく、冷静な投票行動を期待したいところ。
さて、どうなるか?



