唐突ではありますが

”風俗(ふうぞく)” 

という ワードを耳にしたら みなさんは 何を思われますか?

 

私はある女性2人を思い出します。

 

一人は借主であり もう一人は元借主 

仮名 前者をA子さん 

後者をB子さんにしておきますね。

 

 

 今でも借主のA子さん 年齢は40代半ば

管理物件にご入居されて10年は経っていると思いますが 

理由は、離婚で、母と息子一人の母子家庭、ちょうどその息子さんが中学に入学するために越してきました。

 

数年後、息子さんの体調が悪くなり、結果 難病であることが判明しました。

次第に何度か家賃の支払いが遅れることも しばしばありまして 

その当時 今のように ”家賃の保証会社”へ加入していない賃貸借契約がほとんどでしたから

わたしどもの業務の一つで、家主から入居者の家賃滞納の報告があれば

その都度私も家賃の支払い予定日の確認のために、A子さんへ催促の電話を入れておりました。

 もちろん ”連帯保証人”はおりましたが、A子さんの場合は実の兄

当時 実務では、 借主が支払えない家賃を”連帯保証人”がその都度支払ってくれることは、ひじょうにまれで

失礼ながら ”連帯保証人”という 名前ばかりで、続けて何カ月も工面してくれる余裕の方はほとんどおりませんでした。

契約は契約とはいえ、それがきっかけで お互い 借主と連帯保証人同志 ”疎遠” になったり または ”縁を切る” 方も多かったと思います。

 

A子さんもさすがに、お兄さんに頼みづらくなってきたのでしょう。

 

ある日私にA子さんから電話がありました。

その電話口での声は、力のない 細い声 

 

 いつもご迷惑をおかけして すみません。 息子のことで 

原因がわかるまで、仕事もおもうようにできず、医療費もばかにならなくて・・・

 食費もけずっているんでけど・・・

今は夜 ”風俗で働いているんです”(すすり泣きながら) 

 

私 「役所へ相談行かれましたか?」

 いえ まだ一度も・・・

 

私 「もう 今の仕事はやめて 明日市役所へ行ってください。

 息子さんの病気のこともあるし、 世の中 A子さんのように大変な人のために

”生活保護”というシステムがあるのだから とにかく明日行って下さい」

 

 

失礼な話であったかもしれません。 でも とても私にはA子さんが 

客を取れる女性には思えなかったこと そして、このまま続けたとしても

負のスパイラルの先には ”絶望”しか 待っていないということです。

 

当時、当たり前あのようで当たり前でもないのですが、 真面目に ”生活保護の受給”に頼らず

または、A子さんのように、それすら知らない方も多かったのです。

 

以後、 A子さんとは、2年毎に契約の更新を行い 

お電話でお話する機会が何度かありましたが、 ごくごく普通の生活よりは貧しいかもしれませんが

最悪からは免れている日々であることは、お声を聴く限り 伝わります。

 

その後、 お年寄りの方や他お困りの方へも 役所へ相談に行かれたほうがいいですよと

アドバイスをさせていただいてます。

 

 

つづく