荷物ゼロになった部屋で
長いあいだ格闘してきた引っ越し作業もついに終わり。最後の段ボールを運び出して旧居に戻ると、そこにはがらんどうの空間が広がっていました。家具や荷物でいっぱいだったはずの部屋が、いざ空っぽになると、驚くほど広く見えるんです。音が反響してまるで体育館みたい。「あれ?こんなに広かったっけ」と首をかしげる私とスミ妻。荷物がないだけで、見慣れた部屋がまったく違う表情を見せる瞬間でした。
最後の掃除とチェック
引き渡しに向けて、大家さんや管理会社に返す前の最終仕上げ。掃除機をかけ直し、雑巾で床や窓を拭き、ドアや壁の小さなキズをチェック。長年住んだ家なので、ところどころスレや小キズはあるものの、大きな破損はなし。思った以上にきれいに使っていたことにホッとしました。
ただ、最後の掃除というのは不思議な感覚があります。手は動かしているのに、頭の中では「あのときここでご飯食べたな」「ここで寝落ちしたな」と思い出がよみがえってきて、作業に集中できない瞬間が何度もありました。
家族の協力に感謝
今回の最終掃除には、実家の父母も手伝いに来てくれました。母はとにかく細かいところまで徹底派で、コンセントまわりや窓のレールなど、自分では見落としそうな部分までピカピカに。父は重たい家具の移動や分解を手伝ってくれて、大助かり。夫婦二人だけでは絶対に一日で終わらなかっただろうな、と感謝の気持ちでいっぱいでした。家族に手伝ってもらえるありがたさを改めて実感した日でもあります。
思い出とともにお別れ
部屋を磨き上げていくうちに、いろんな思い出が心に浮かんできます。初めてここに家具を運び込んだ日のこと、夜中に二人で片付けをしていたこと、雨の日に窓から外を眺めていたこと。日常のささいな場面ばかりなのに、不思議と胸に残っている。住んでいたときは当たり前だった日々が、去るときにはこんなにも愛おしく感じるんだなと。
鍵を返す瞬間
そして、いよいよ大家さんに鍵を返すときがやってきました。鍵を渡した瞬間、緊張と寂しさが入り混じる。もうこの部屋に戻ることはない。玄関を閉めたあと、思わず一度振り返って深呼吸しました。「ありがとう」と心の中でつぶやき、新しい生活への一歩を踏み出す気持ちを固めます。
新しい暮らしへのバトン
旧居をきれいに掃除して返せたことは、次に住む人への小さなエールのようなもの。「ここからまた新しい誰かの生活が始まるんだな」と思うと、ちょっと誇らしい気持ちもありました。
寂しさと同時に、新居での暮らしへの期待感もどんどん大きくなっていきます。
こうして、旧居の明け渡しが完了し、私たちスミ家の生活の舞台は完全に新居へ。長年の生活に区切りをつけ、新しい場所で新しい時間が流れ始める瞬間は、なんともいえない感慨深さがあります。