熱・日射を遮蔽する | ハウスクリエイト 熱血社長の木の家ブログ

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環境デザインと住宅設計 #3

以前につづいて、建て主様と設計打合せのなかで環境デザインと家づくりの空間デザイン・住宅設計について私たちが考えますいろいろな配慮事項について、少しお話ししたいと思います。今日は熱と日射遮蔽ついてお話しします。

■ 熱・日射を遮蔽する
中間期の天気のいい日に緑地公園に佇む人たちをみてますと、その多くの人たちが木陰にいることがわかります。自然な習性として、それぞれが熱をさけ、まぶしくない場所を選んだ結果だと思います。快適な環境を作るためのスタートが日射の遮蔽にあることが読み取れます。住まいにも、樹木同様に日射を遮蔽して日陰を作り出す役割が期待されます。その役割を担うのは、主として屋根となります。屋根には、耐候性、雨仕舞に加えて、日射を遮蔽し、遮熱する性能が求められます。

■ 遮熱
太陽に照らされた屋根の表面温度は、素材にもよりますが60℃を超えるほどの高温となります。日射が直達しないとしても、身近に60℃の放熱体があれば、遠赤外線サウナのような状態となるわけです。屋根面の熱が室内に侵入しないように遮ることが大切です。それには、まず屋根の断熱性を高めることが重要になります。屋根面は過酷な日射を受けるので、他の部位に比べて、より高い断熱性能を付与させる必要があります。それはまた冬季の室内の熱を逃がさないことにもつながります。そもそも屋根の表面温度を抑えるためには、屋根面に遮熱塗料(高日射反射率塗料)や遮熱シートを施したり、白色系の仕上げとしたりすることが有効となります。遮熱塗料や遮熱シートは熱になりやすい近赤外線領域の反射率を高めたものであり、冬季の温熱環境には寄与しません。そもそもしっかりと断熱されていれば、屋根表面の熱の室内への影響はそれほど大きくないはずです。遮熱塗料や遮熱シートは、むしろ輻射による周辺への熱の影響を軽減することに効果的といえます。また、白色系の屋根とする場合、汚れが目立ちやすくなるだけでなく、屋根が反射してまぶしくなります。屋根面の反射が周囲に悪影響を与えないか、確認しておく必要があります。

■ 日射遮蔽
もう一つ屋根による温熱環境に関わる制御として、庇や軒による開口部(窓)への日射の遮蔽が挙げられます。適切な軒の出寸法とすることで、太陽高度の高い夏季の日射を遮り、太陽高度の低い冬季の日射を取り込むことが可能となります。よく下図に示すような、庇による日射遮蔽の概念が示されますが、ここで気をつけるべきことがあります。遮る日射の角度を夏至の南中高度で設定するだけでは不十分だということです。名古屋を例にあげれば、夏至(2015年は6月22日)の南中太陽高度は約78°でありますが、最も暑さが厳しいのは7月下旬から8月下旬にかけてであり、その時季には夏至時より南中高度はずっと下がっています(8月15日で約68°)。かつ、外気温が最も高くなる14時ころは南中高度を過ぎており、さらに太陽高度が低くなっています。南に正対する高さ2,000㎜の開口(窓)に対して、夏至南中時の日射をカットするだけならば450㎜程度の出寸法でよいということになりますが、盛夏の8月15日の14時の日射を切るには1,300~1,400㎜が必要となります。もちろん冬季から中期にかけては日射の取得を考える必要がありますが、ある程度深めの軒寸法としておきたいと考えます。また、開口部(窓)からの直接の日射の侵入だけでなく、日射に照らされた地面からの輻射による影響もあります。幅方向に関しても開口部(窓)の直上だけでなく、大きめ(広め)に遮蔽しておくことを考えます。

6.20-2

6.20-1

■ 浮き屋根(二重屋根)
太陽の日射熱が躯体に伝わらないように、屋根自体を躯体から浮かして設置する「浮き屋根(二重屋根)」という考え方もあります。伝統的な蔵造りなどでみられる手法です。山形県酒田市山居倉庫などが有名です。建築物で見ておきたい所です。これはコストもかかり、一般的ではないと思われますが、実は屋根上に敷設される太陽光発電パネルや太陽熱温水パネルなどは、通期層を確保したパネルが敷設される形式であれば、浮き屋根同等の形となり、日射の影響の軽減に寄与することになります。太陽光発電パネルは高温となると発電効率が落ちるので、通気層を設けることでパネルの温度上昇を抑えられるというメリットもあります。