今日は名古屋では気温30℃近くまで上昇しました。こらから蒸し暑い季節をむかえていきます。ちょっと早すぎる暑い日でしたので今日は風のないまちなかで、風を呼ぶ家を建てるには、を考えてみます。
風が吹くと、なぜ涼しい?
40℃以上も記録される日本の夏。温暖化現象、大気の自然変動に加え、都市部だはヒートアイランド現象もあいまって猛暑日、熱帯夜が年々増えています。
できるだけエアコンに頼らず涼感を得るためには、家の中に風を呼び込むことが必要です。
そもそもなぜ風で涼感がえられるのでしょうか?それは風が吹くと人体の表面から熱を奪うからです。人体の皮膚温度は35℃程度なので、猛暑でない限りは空気温度の方が皮膚温度よりも低く、風が吹くと人体から熱が奪われます。さらに人間は発汗というすぐれた体温調節機能を持っていて、汗が空気中に蒸発することでも熱が奪われます。皮膚表面で打ち水効果が起こっているわけです。
風が吹きすぎても涼しくない
下の図は一定の条件下で風速を変化させたときの体感温度(専門用語でSETといいます)を示しています。人は風速0.3m/s程度で気流を感じ始めるのですが、その際には体感温度では気温より1~2℃程度低く感じています。1.0~2.0m/sでは体感温度は1℃しか下がらないことから、風速が大きくなるにつれ風による冷却効果は小さくなることもわかります。
下の図は一定の条件下で湿度を変化させたときのグラフです。湿度が高くなるにつれて、急激に体感温度が高くなることがわかります。日本の夏は暑くて湿度も高いので、まずは外気の温湿度の低いときには風を家に取り込んで涼しく過ごす工夫とともに、日射熱が室内に入り込まないようにする工夫が必要となります。
真夏日や猛暑日など外気温湿度が高くななってしまったときには、痛風ではどうしようもないのでエアコンなどで室内の空気温湿度を下げることになります。
研究機関のシミュレーションから都市部の住宅地では卓越風(最も吹いてくる頻度の高い風向からの風)について建物が密集しているため、その特徴がみられます。その特徴は建物が密集しているため屋根の上で風が早いスピードで通り抜けていきます。それに対して、1階、2階の高さでは風速が小さくなっているということです。また、通り沿いに風が流れていきます。それでも、空き地があってもそこに風が流れるとは限りません。
これらのことから、密集した住宅地では風通しをよくすることがいかに難しいかということがわかってきます。
家の中に風を呼ぶ窓のデザイン
風が流れるためには、「圧力差」が生じる必要があります。屋外を流れている風が建物を押す力を「正圧」、引っ張る力を「負圧」と呼び、これらの差が大きくなるほど風通しがよくなります。下の図に風を取り込む窓の基本デザインを考えました。
袖壁や高窓といった工夫は、風が入り込む窓と出ていく窓との間の圧力差を大きくするための工夫です。
また、圧力差が大きいからといって風が流れるわけではありません。当然のことですが、室内に風が吹くためには開口部が適切な大きさで開いていることが重要です。風を取り入れる窓については、敷地に吹いてくる風向きを意識して窓を大きくすることがありますが、風が通り抜けた先の窓も大きいものでなければ風は室内を流れません。
さらに、家の中で人が溜まるところにうまく風が通り抜けるように窓の配置を計画することで、気流感を得ることができて涼感につながります。
風上と風下に開口部をバランスよく 袖壁をつくる 風上の開口部をやたらと大きくしていても、風下の開口部が 袖壁があることで、建物の小さいと風は流れていきません。引違窓ではなく、片引き窓 壁面に沿って流れてきた風や滑り出し窓を設けることで、開口部の面積を大きく確保で が受け止められ、室内に風きるようになります。 を導くことができます。
人がいるところに風を流す 高窓を設ける
高いところに窓を設けても人がいないところに風が通り 周辺の建物の影響を受けにくい
抜けてしまっては涼感を得ることはできません。 高窓では、風の出入りが
しやすくなります。