……前菜を出しっぱなしで、いったいいつメインが出てくるんだよ!
と、毎日うっすらと気にしつつ、でもほら忘年会だの何だのってあるし、実家に帰ったらやろうかな~なんて思っていても、いざ実家にいるとニートの本性がムクムクと首をもたげ、目論見はあっさり破れて今日は大晦日です。
さすがに1回くらい更新しようと、紅白歌合戦をBGMにしながらパソコンを叩いています。
本来、今日の更新ですと2013年のまとめ的な内容にすべきところですが、何食わぬ顔で、ちんたびの続きを書きます。

 

今年のゴールデンウィーク旅行時にも書いたかも知れませんが、わたしは、「新潮45」や「無限廻廊」などの事件簿を好き好んで読む人間です。
悪趣味と云われるのは承知の上で、しかし弁明をするために、故なだいなだ氏の言葉を借りますと、「残酷ということを意識せずに、残酷であることをやめることはできぬものです」。
事件簿を読むと、自分とそこは地続きだということを痛切に感じます。自分が犯罪者になる確率、被害者になる確率、自分の大切な人がそのどちらかになる確率……を考えると、フィクションのように“自分とは断絶された世界”のこととは思えません。残酷を知ることで予防する…なんて云うとさすがに詭弁に聞こえますが、わたしは事件簿への暗い興味を、抱かずにはおれないのです。
そんなわたしと嗜好を同じくする事件簿仲間(って云うのか?)がこの世には居りまして、今回のちんたびは、彼らとともに行ってまいりました。

 

舞台は群馬…と云いつつ、最初に訪れたのは埼玉のこちら。

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アフリカケンネル(の犬舎)。
ご存知でしょうか…。埼玉愛犬家連続殺人事件の現場となったペットショップです。
この事件、阪神大震災の年に容疑者が逮捕されたことで、何となく震災の影に隠れてしまったような印象ですが、おそらく近代日本犯罪史上、ワーストクラスの衝撃と残忍さを有した事件ではないでしょうか。
映画『冷たい熱帯魚』がこの事件をベースにしていることで再び有名に(?)なりましたよね。わたしは、今やプレミア価格の絶版本となってしまった『愛犬家連続殺人』を読んだ後に映画を見ましたが、犯人役のでんでんの怪演に瞳孔が開きっぱなしでした。
知らない方のためにかいつまんで説明しますと、ペットショップオーナーの夫妻が、トラブルになった顧客や関係者を次々と毒殺し、遺体をバラバラに刻んで焼却し証拠を隠滅(本人曰く「ボディーを透明にする」)した連続殺人事件です。前述の本を書いた共犯者の描写によれば、風呂場で遺体の解体が行われたようです。


ちなみに、わたしがこれまで読んできた事件の中で、超絶に恐ろしかったのは北九州監禁殺人事件でした。何故かわたしはこの事件を書いたノンフィクションを、東日本大震災の前夜に読了し、こんなに陰惨な出来事がこの世にあるのか…と心の底から驚愕したのでしたが、翌日に起こったことはまったく別の戦慄をわたしに与え、事件への関心はしばらく記憶の層に封印されていました。
多くの事件の犯人は、貧困や愛憎、或いは極端な劣等感を背負っており、それはある程度、想像力の及ぶ範囲です。しかし、北九州事件とその主犯は、どう考えても腑に落ちない、どこにも取っかかりがない、“サイコパス”と乱暴に片づけてしまう以外方法がないような残忍さ。どんな人生を歩んで来たらそうなるのか、これまでの経験と想像をどんなに駆使しても理解できない、いや理解を反射的に拒絶してしまいます。
埼玉愛犬家殺人事件の犯人も、北九州ほどではないにしろ、数少ない資料を読む限りは、かなり理解しづらいタイプです。あまりにもドライすぎて、自分の知っている感情からは推測不可能なのです。見た目はきわめて猟奇的なのに、動機がまったくそうでなく、単純に欲から来ているようなのもまた不気味です。

 

おっと、余計な私見が長くなりました。
アフリカケンネルは、畑の中でぽつんと廃墟になっていました。建物と敷地は想像よりもはるかに小さかったです。
何も知らなければ、ごく普通の廃墟に見えますが、窓にさりげなく貼られたシベリアンハスキーのイラストが、明らかにその場所であることを示していて、一瞬、寒気がしました。

 

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いきなり眉を顰められそうな場所からスタートしてしまいましたが、ここからはお子様が読んでも安心の内容でお送りします。
今回のちんたびの目的は、群馬のB級スポットをあちこち訪ねるというもの。群馬には、B級好きが望む観光地――すなわち、廃墟、心霊スポット、さびれ系テーマパーク、秘宝館などがたくさんあるらしく、群馬県人のメンバーにあちこちピックアップしてもらいました。
ということでお次は藪塚石切場。これはいい廃墟! いや、廃墟じゃないか。。。れっきとした観光地ですね、ハイキングコースにも含まれていますし。
歴史を紐解けば、明治時代から石の採掘が始まり、昭和30年代に閉山されたという石切場。廃墟と呼んでは失礼なほどの威厳を湛えており、まるで神殿のような佇まいです。入口のアプローチは、ヨルダンのぺトラを彷彿とさせます。


PC071556 思わず口を開けて見上げてしまう。


PC071536 もう遺跡の風格ですね。
 
 
次はジャパンスネークセンター。
入場料1000円のテーマパークにしてはエンタメ感の薄さがひどく気になりますが、研究施設だと思えばまあこんなもんなのでしょうか…。
前述の群馬県人メンバーが、かつて遠足でここを訪れた際にへびカレーを食べ、それがトラウマになる味だったと云っていたので、ぜひとも試したかったのですが、あいにくこの日は、レストランは休業していました。スネークセンター最大の見せ場である「ハブの採毒実験」も、タイミングが合わず断念。


PC071616 こんにつわー

 
…でもいいんです。ヘビを見に来たフリして、本命は恐竜テーマパーク・アドベンチャーランド…の廃墟だもの。
スネークセンターの敷地内に、いかにも意味ありげな洞窟へのアプローチがありまして、その内部が廃墟になっているのです。
人目にさえふれなければ、中に入るのは簡単。入口には手の取れた恐竜のオブジェが残っていてめちゃくちゃ期待感を抱かせますが、建物内は真っ暗なのと、水が溜まりすぎてとても奥までは進めません。嗚呼、廃墟愛好家的には美味しそうな物件だったのに、残念。。。


PC071582 冒険が始まりそうな小道。
 

PC071635 これは…よさげな物件(ゴクリ)
 

PC071649 無理やりフラッシュを焚くと内部はこんな感じ。
  

スネークセンターのお隣には、三日月村というテーマパークがあります。
こちらは廃墟ではなく、ちゃんと営業しています。人気テレビドラマ『木枯し紋次郎』の故郷を再現した…と云われても、ドラマ放映時にまだ生まれていなかったわたしにはピンときませんが、ビックリハウスあり、からくり屋敷あり、仕掛け洞窟ありと、なかなか楽しめました。
ガイドなしでは入れないからくり屋敷は、確かにこれはガイドがいないと閉じ込められる可能性大だな…というくらいよく出来ていて面白かったです。


PC071710 ビックリハウスで激しく酔いながらはしゃぐ大人。
 

PC071731 廃村かと思た。。。これもアトラクションの一部です。
   

おまけ。オレンジハット。
懐かしい自動販売機とゲーム機がずらりと並ぶ、群馬ならではの癒しスポットです。
ホットサンドを食べてみました。


PC071760 お菓子、うどんからハンバーガーまでよりどり見どり。

 
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PC071772 でけた♪
  

後編は2014年!