先日、パスポートの更新をしました。
長旅の1年前に作った10年パスポートが、もう更新の年だなんて信じられない思いです。というか、時の流れが早すぎて、いろいろ考えたくないことがいっぱいです…。


思えば、病めるときも健やかなるときも……苦楽をともにしたパスポートでした。
君は、誰よりもわたしの近くにいてくれたね。なぜなら、腹巻き式の貴重品袋に入れて肌身離さず持っていたから。何しろ、君がいないことには旅ができないからね。いつぞやはインドのゴアで行方不明になって焦ったけど、近くの草むらで発見されて本当にうれしかったよ(号泣)。
汗を吸収しまくったせいでページの端がしみのやうなもので茶色くなっており、他人様にはとても触らせられない汚さですが、ついでながら24歳当時のパスポート写真もなかなかのブサイク具合ですが、それでもこれ以上に大切なパスポートを持つことは、もうない気がします。出来ることなら、永遠にこれを所持して旅をしたいくらいだった……。
しかし来月、恒例の夏休み旅行でブータンに行くことになりまして(相変わらず夏休みが激遅)、そんなことでゴネている場合ではなくなってしまいました。
あーあ、せっかく増補したページも、10ページぐらい余っているなあ。どうせなら全部埋めたかったけど、帰国後は旅行より買い物に金遣っちゃったからなあ。。。


ま、そのパスポートは墓まで持って行くつもりなので、穴を開けて返していただきましたけどね。
穴の空いた旧パスポートはただの思ヒ出スタンプ帳になり、まっさらの新パスポートは、手触りもまるで他人のように感じられました。IDチップとか入っちゃってさあ、堅いんだよ! 腹巻き貴重品袋にフィットしにくいじゃないかっ。
旅に出たらブログを開設するのはもはや常識ですし、iPhoneなどを持って旅行するのがスタンダードになっているようですし、旅行界の変わりゆくさまを老人のようにただ見送るばかりです。そりゃ猿岩石の有吉氏だって、毒舌芸人として再ブレイクするわけですよ(カンケーないか?)。
全国各地のネットカフェで、フロッピーディスクでホームページを更新していた日々が、懐かしすぎて笑えます。1.33MBとか!ありえないよね!!


先日、年下の友人がかねてより計画していた世界一周(半周?)の旅に出ました。
見送りの飲み会に参加して、自分はこんなに華々しく温かく送り出されることもなかったなあと友達の少なさを嘆きつつ……、それはさておいてもうらやましい、これから旅に出るというのは本当にうらやましい、そのはち切れそうな自由さがまぶしい、期待と興奮と、それと同じだけの不安にもみくちゃにされる感覚……ああ、なんてキラキラしているんでしょ。
そして、見送る立場というのはいつもどこか切ないですね。背中にべったりと日常が貼りついているからかしら。
なんかこんなこと、旅の最中ですら云ってたっけ……。旅に出たての旅人はいいなあとかなんとか(苦笑)。どんだけ他人の芝生が青く見える人間なんでしょうか。


パスポートほどではないにしろ、旅の思ヒ出の品でもうひとつ、悲しい出来事がありました。
ロンドンの「ワールズ・エンド」で購入したヴィヴィアン・ウエストウッドのピアスを片耳失くしてしまったのです。
おそらく自転車通勤中、1ミリも気づかぬうちに落としていたようで……帰宅してピアスを外そうとしたら、ナゼか裏の留め具だけが耳たぶに貼りついていました。そっちだけ残るんかい!!
他のピアスならいざ知らず、どーしてこれを失くす!? かわいいかかわいくないかが問題ではない、値段が問題なのでもない(や、ちょっと高くて惜しいけど)、このピアスは大切な旅のかけらだったのに。

こんなふうにして少しずつ、あの旅から自分が引き離されていくんだなあと、寂寥感でいっぱいになります。
そんなふうに書くと、過去にしがみついてみっともないわねーなどと嘲笑されそうですけど、人生、前しか向いちゃいけないってことはないと思うんですよ。いつもいつも、今がいちばんステキでなきゃ駄目なんて、それは時々、無理な相談というものです。ほら、わたし歴女だし☆ 思い出は、ダイヤモンドと同じく永遠の輝きなのです。黒光りって話もありますけど。


※タイトルは、TMの往年の名曲からいただきました。歌詞の内容とはぜーんぜん関係ないけど!