ああ、気がつくともう帰国後2ヶ月も経ってしまっている…。
『思いっきりテレビ』でみのもんたの顔をぼんやり眺めながら、しみじみとため息をついていると、主婦の友人からメールが来た。


何と、教員採用試験に受かったそうな。


まだ1歳にもならない子供を抱えている身としては、あまり素直には喜べないといった風ではあったが、教師になるのは、彼女の長年の夢だったのである。めでたいことではないか。
にしても、論文が半分しか書けていない状態で、何で受かったのか…まじで疑問だ。もう1回問い合わせした方がいいんじゃないか?


そして、わが身を振り返る…相変わらず無職である。面接の予定もない。
昨日、またもギリギリになって、何とか○島社への履歴書を出した。
しかし、毎度ながら、ロクな履歴書が書けない。今回はそれでも、『スカウト』なる雑誌を買って、転職のためのレジュメ書きについて読んだりしたのだが、あまり効果はないようだ;
とにかく出すだけは出したけど…もうそろそろ、出すだけは出すという懸賞応募的な出し方はやめた方がいいような気がしてきた。


友人に云われてしまった。「とにかく、一歩を踏み出さなあかん!」と。
…アンタは熱血教師か、とツッコミたくなりつつも、確かにそうだろうなと思う。
うだうだ考えているよりは、何か行動はした方がいい。こういうときこそ、書を捨てて街に出なければならぬのだ。
ライターで働く口がないわけではない。頼めば仕事をくれそうな人はいる。
そう話すと、「何でそれに食いつかへんの!?あんた、ゼータクやで!」とさらに叱責が飛んで来る。ただ、ライターで食っていけるとは思えないからなあ…。


何だかんだ云って、わたしは今のゆるい生活が気に入っているんだろうな。
父は大してうるさいことを云わないし、伯母が家事をしてくれるし、弟は家にはいないから、ネットその他何もかもが使い放題。
ダメ娘として父に養われている感じは、子供時代に戻ったようで、そんなに悪くない。もちろん、子供の頃とは違って、非常に感謝しているけれども。


大体、仕事をしなくても生きていける状態っていうのはいいよ、うん。なかなか手放せるもんじゃない。
朝何時に起きたっていいし、通勤もしなくていいし、ムカつく上司や顧客の顔色を伺う必要もないし…ある意味、旅のときよりも自由で気ままな生活だ。
ままならないのはお金だけ。でも、ご飯は食べていけるし、東京⇔大阪間の交通費くらいは出せる。新しい服や本は欲しいけれど、別になくても生きていける。家には山のように服があって、まだ読んでいない本もいっぱいあるんだから。


マスコミじゃ、「ニート対策」だなんて、まるで害虫のように云われている。
わたしは、ニートほど割り切って依存生活をしているわけじゃないけど、”対策”なんて云われると何だか腹立つよ。うん。
高度成長期ならともかく、前進前進ひたすら前進、っていう、エンドレスに成長しなきゃいけない風潮には、うっすら疑問を感じるのさ。
靴を履いたら最後、死ぬまで踊り続けなきゃいけないバレリーナみたいなの、もうしんどくないですか?


就職も、結婚も…がむしゃらに手に入れる気が、あまりない。
特に結婚。友達には、「見合いでもすれば?29歳と30歳じゃ、選ぶ幅が全然違うよ!」なんて説教される(笑)けれど、結婚のために誰かと知り合うなんて、今はどうしても考えられない。
そんなゼータクを云っていられるのも、今のうちなんだろうけど…。わたしは、結婚にいまだに夢を抱きすぎているのかも知れない。結婚は、生活と将来の保障のためと、割り切った方がいいのかな?


いや、とりあえず、結婚は置いておいて、就職が当面の問題。
まあ、働くだけならどこでも働けると思う。昨日、帰国して初めて無料の求人情報誌をもらってきたけど、働き口ならほんと、いくらでもあるんだな。景気が回復しつつあるってのは、本当なんだな。まあ、30歳越えると少し厳しくなりそうだけど。
でも…今少しのお金が欲しいために、自分の目指す道と何の関係もない仕事をするのは、時間がもったいない気がするのだ。これまたゼータクな話だけど…。
そりゃ、土日だけの単発の仕事とかならいいけど、働くとなったら、最低でも1ヶ月は勤めないといけないだろうから、あんまりいい加減に選ぶわけにもいかない。


退職してから旅に出るまでの間も、こんな時期がちょくちょくあった。
学校に行ったり、家でメシを作ったり、バイトしたり派遣で働いたりしていた。その間ずっと、旅に出たい出たいと思いながら、本当に出られるのだろうかと思いながら…。まるで、長い長いトンネルの中にいるようだった。


でも結局、旅に出られた。しかも、こんなにも長く(笑)。
退職してすぐ出なかったことは正解だった。お金を貯められたし。
まあ、その間フル回転だったわけでもないけれど、結果的には何ということはない。

そうやって何とかなっていくんだろうとは思う。
「3ヶ月目くらいになると、そろそろ何とかしなきゃって思い始めるんだよねー」とは、やはり長旅に出ていた世界一周デート妻・エリさんの言だが、多分そうやって焦る気持ちが、状況をちりちりと動かしていくのだろう。
だから、もうちょっと停滞しつつ、適度に焦りながら、自分のペースで少しずつ前に進もうと思う。