「マディソン・アベニューの履歴書 -時代をつくった男と女-」展を観に行って来ました。
以下、公式サイトより。
(http://www.admt.jp/exhibition/program/2010_admt.html)
ニューヨークのマンハッタン島を縦に走るマディソン・アベニューは、20世紀初期から広告代理店が軒を連ねていたことから広告業界の代名詞となった。米国広告業界は、この街で産業としての基盤を整備し、発展し、優れた人材を育て、50~60年代の隆盛を謳歌する黄金時代を築いていった。ここから世に送り出された広告は、商品や企業のマーケティング、ブランディングの数々のサクセスストーリーを生むとともに、既成概念にとらわれないウイットに溢れたアイデアは広告をエンターテイメントに高め、さらには、人々の消費スタイルやアメリカ文化へも深い影響を与えていった。本展は、1920年代からの80年間におよぶ米国広告界の歴史の中で、マディソン・アベニューで育ち、成功し、反逆し、時代の寵児として活躍したクリエーティブな広告人とその歴史的作品を紹介するものである。
「プレッシャークラッシャー」
今日は平日。平日のADMTの最終入場は18時、閉館時間が18時30分。僕は最終入場の10分程前に入った。受付にいる愛想の悪い女性スタッフに指示を仰ぎ中に進む。入場も無料だし広告の展示なのに告知もあまりされていないから、そんなに内容は面白くないだろう、と思いつつ足を進めた。足を進める度に立ち止まる。立ち止まる度、立ち止まっている時間が長くなっていく事に気付いた。5分前の思い込みを恥ずべき考えだと確認する。
かなり面白い。
画像、文字、映像、色彩、音楽、その全てで僕の五感を攻めてくる。五感ではない、嗅覚は反応はしていなかった。2フロアで構成されていたのだが1フロア目の半分で30分と言う時間を費やしてしまった。閉館まで残された時間は10分。左腕につけたアナログ時計が正確な残り時間を教えてくれる。くそ、時間よ止まれ、なんて思わない。ただ、時間と言う概念が無くなって欲しかった。
展示内容に集中し過ぎていたのだろうか、ヤツが背後に居た事に気が付かなかった。
僕が殺し屋だったら間違いなくプロ失格。ヤツが殺し屋だったら間違いなく殺されていた。
黒のストレートパンツに白のワイシャツ。黒のチョッキ。黒い長い髪をひとつに束ね、手にはハンカチと謎の黒い器具。あれで息の根を止めていくのだろう。正装している事がより恐怖と不気味さを煽った。そして彼女は僕との間合いを詰めてくる。そう、受付にいた愛想の悪い女性スタッフだ。
彼女が距離を詰めてくる行為、プレッシャークラッシャーをしてくる理由は瞬時に理解できた。その気持ちを理解した時点で気付いた。完全に時間配分を間違えた、と。
仕方なく、渋々、嫌々、諦めて・・・2フロア目に移動した。足は鉛の様に重たかったがプレッシャークラッシャーボンバーの爆風で簡単に移動できた。爆風に乗り、辿り着いた先で僕は目を疑った。そこに日本の広告の歴史で溢れていた。そうだ、俺は日本人だ!マディソン・アベニューの歴史よりも日清カップヌードルのCMが見たいんだよ!しかし、残された数分では到底、見終わる筈が無い膨大な日本の広告の歴史、遺産。吉田さん、貴方が築いたこの宝物達を僕は見る事も出来ず、爆風に流されるんですね。すみません、すみません、吉田さん。この背後から感じる禍々しいオーラには勝てません。
出口へと足を進める。日本の広告の歴史の横をすり抜けていく。懐かしいCMの映像が流れている。僕は唇を噛み締め、欲望を抑え、出口に向かう。誰が見ても、その姿は悲しみに満ち溢れて居ただろう。
左腕にある黒いデジタル数字を確認する。残りは3分。
最後の悪あがきだ。最後にあるコンパクトテレビのような所でCMを見よう。1本30秒だとしても5、6本は観れる!よし!!
「あの、お客様、もうそろそろ閉館のお時間になりますので宜しくお願いします。」
試合終了のホイッスルって、きっとこんな感じなのかな。
ほうらい山崎
以下、公式サイトより。
(http://www.admt.jp/exhibition/program/2010_admt.html)
ニューヨークのマンハッタン島を縦に走るマディソン・アベニューは、20世紀初期から広告代理店が軒を連ねていたことから広告業界の代名詞となった。米国広告業界は、この街で産業としての基盤を整備し、発展し、優れた人材を育て、50~60年代の隆盛を謳歌する黄金時代を築いていった。ここから世に送り出された広告は、商品や企業のマーケティング、ブランディングの数々のサクセスストーリーを生むとともに、既成概念にとらわれないウイットに溢れたアイデアは広告をエンターテイメントに高め、さらには、人々の消費スタイルやアメリカ文化へも深い影響を与えていった。本展は、1920年代からの80年間におよぶ米国広告界の歴史の中で、マディソン・アベニューで育ち、成功し、反逆し、時代の寵児として活躍したクリエーティブな広告人とその歴史的作品を紹介するものである。
「プレッシャークラッシャー」
今日は平日。平日のADMTの最終入場は18時、閉館時間が18時30分。僕は最終入場の10分程前に入った。受付にいる愛想の悪い女性スタッフに指示を仰ぎ中に進む。入場も無料だし広告の展示なのに告知もあまりされていないから、そんなに内容は面白くないだろう、と思いつつ足を進めた。足を進める度に立ち止まる。立ち止まる度、立ち止まっている時間が長くなっていく事に気付いた。5分前の思い込みを恥ずべき考えだと確認する。
かなり面白い。
画像、文字、映像、色彩、音楽、その全てで僕の五感を攻めてくる。五感ではない、嗅覚は反応はしていなかった。2フロアで構成されていたのだが1フロア目の半分で30分と言う時間を費やしてしまった。閉館まで残された時間は10分。左腕につけたアナログ時計が正確な残り時間を教えてくれる。くそ、時間よ止まれ、なんて思わない。ただ、時間と言う概念が無くなって欲しかった。
展示内容に集中し過ぎていたのだろうか、ヤツが背後に居た事に気が付かなかった。
僕が殺し屋だったら間違いなくプロ失格。ヤツが殺し屋だったら間違いなく殺されていた。
黒のストレートパンツに白のワイシャツ。黒のチョッキ。黒い長い髪をひとつに束ね、手にはハンカチと謎の黒い器具。あれで息の根を止めていくのだろう。正装している事がより恐怖と不気味さを煽った。そして彼女は僕との間合いを詰めてくる。そう、受付にいた愛想の悪い女性スタッフだ。
彼女が距離を詰めてくる行為、プレッシャークラッシャーをしてくる理由は瞬時に理解できた。その気持ちを理解した時点で気付いた。完全に時間配分を間違えた、と。
仕方なく、渋々、嫌々、諦めて・・・2フロア目に移動した。足は鉛の様に重たかったがプレッシャークラッシャーボンバーの爆風で簡単に移動できた。爆風に乗り、辿り着いた先で僕は目を疑った。そこに日本の広告の歴史で溢れていた。そうだ、俺は日本人だ!マディソン・アベニューの歴史よりも日清カップヌードルのCMが見たいんだよ!しかし、残された数分では到底、見終わる筈が無い膨大な日本の広告の歴史、遺産。吉田さん、貴方が築いたこの宝物達を僕は見る事も出来ず、爆風に流されるんですね。すみません、すみません、吉田さん。この背後から感じる禍々しいオーラには勝てません。
出口へと足を進める。日本の広告の歴史の横をすり抜けていく。懐かしいCMの映像が流れている。僕は唇を噛み締め、欲望を抑え、出口に向かう。誰が見ても、その姿は悲しみに満ち溢れて居ただろう。
左腕にある黒いデジタル数字を確認する。残りは3分。
最後の悪あがきだ。最後にあるコンパクトテレビのような所でCMを見よう。1本30秒だとしても5、6本は観れる!よし!!
「あの、お客様、もうそろそろ閉館のお時間になりますので宜しくお願いします。」
試合終了のホイッスルって、きっとこんな感じなのかな。
ほうらい山崎