隣に座って来た子が僕の顔をじろじろと見つめてきました。

所作のひとつひとつを。

それを僕は窓の反射を利用して確認していました。

気付いていないふり。

クールに決めました。

その子は窓の反射を利用して僕の目を見つめ、かわいい笑顔をしてきました。

それはそれは、かわいい笑顔でありました。

でも、俺は疲れている。

しかも、電車の中という状況。

いや、そんなの問題じゃない!


この子は照れているんだ!

男の俺から声をかけなければ!

待っているんだ!

出会いはいつだって転がっている!

勇気を振り絞りました。

声をかけようと思った次の瞬間、その子は次の駅で降りていきました。


お母さんに抱かれながら…


ほうらい山崎