〇陽明病の病証
・以下の病証の内、1~2個あれば陽明病といって良い
1)身熱(体中が熱する)
2)汗自出(汗がひとりでに出る)
3)不悪寒(悪寒しない)
4)悪熱(熱が出る)
5)潮熱(潮の干満の様に時を定めて全身に熱が出たり引いたりする)
6)譫語(うわごと)
7)手足からじっとり汗が出る
8)腹中硬
9)腹満痛
10)大便不通
11)脈実沈で根(底力)がある
12)神(精気)がある
13)舌は黄か赤焦か黒胎の色
14)小便が赤い
・太陽と陽明の合病と併病
太陽病の病証 陽明病の病証 太陽病と陽明病の
・浮脈 ・大脈・鼻乾 両者の病証を兼ね
・頭痛 + ・身熱・不得臥 = 備えた病
・悪寒 ・汗自出・悪熱 (合病や併病)
など ・潮熱・便難など
※太陽病の脈状や太陽病の病証が先に現れる。その後に陽明病の脈状と
陽明病の病証が現れる。
※太陽病の脈状病証と陽明病の脈状病証の両方を兼ね備えたものを太陽
病と陽明病の併病という。
(治法)4種類
・脈が浮で小便は淡黄色
1)太陽経脈と陽明経脈が邪気を受けたとき
→ 二経同時に異常を取り去る
(桂枝加葛根湯・葛根湯など)
2)太陽経脈が邪気を受ける表気の運営が上手くいかなくなり、陽明経脈
の気が出られずにうっ滞して陽明病の仮証が一緒に出現したとき
→ 太陽病の異常を取り除く。すると陽明病証は自然に消失する。
(桂枝湯・麻黄湯・桂枝麻黄各半湯など)
・脈が浮ではなく、小便は赤色をおびている
3)邪気が既に胃の腑の中に入り陽明裏実の証を現わし、太陽病の表証が
残っているもの
→ まず表の異常を取り除く(桂枝湯)、その後に裏を攻撃する
(承気湯類)
4)邪気が既に胃の腑の中にあり、裏気が中で結ばれ実したために表気の
運営が上手くいかず、そのため表の仮証が現れている
→ 裏の異常が取り除ければ太陽の表証は自然に消失する
(承気湯類で裏を攻撃する)
今回は、切りが良いのでここで終了したいと思います。
次回は、陽明と少陽の合病と併病から始めたいと思います。
(追記)
今回は陽明病の病証と陽明病の合病や併病についてでしたが、読者の方は多少なりともイメージが出来ましたでしょうか?自分は昔、漢方薬や鍼灸などの書籍で『太陽病期には○○』とか『陽明病の患者には△△』とか『少陰病の者には××』とか書かれていても、具体的に指標となる症状とか基準がはっきりしないでどこで見極めて治療方法を選定していくのか良く判りませんでした。ましてや太陽病の病証が出ているのに陽明病として治療しており「どこでその病期と判断したの?」「なんで太陽病の対処法じゃダメなの?」と悩むことがありました。
今回の陽明病に特有の病証や、合病や併病の治法で脈や尿色などの違いで病期を推定して対応していくという選定法があるので、症状などから病気や病状を推定していることが判ります。
考えてみれば西洋医学でもそれぞれの病気には特有の症状があり、その症状がある上で付随する病態を調べて確定していくという方法をとられていますよね。(俗に受診→診察→検査→診察→精密検査→診察→診断→治療→診察→検査→微調整→診察→治療・・・・という一般的な方法ですよね。)
視点やアプローチ法が違うだけで同じ人体に対して行うものなので最終的なゴールが同じなら似たところがあるのは、当たり前ですよね。
ただ医経解惑論を読むまであやふやな基準でいたのが読むことでそれなりに基準が出来たのは大きな収穫でした。(雑病論とかも少し読みましたが、症状と治療法の羅列で自分には判り辛かった記憶があります。)
読者の方にとって施術や学習の一助になれば幸いです。
できたらご自身で医経解惑論を読んで学んでみることをお勧めします。きっと自分とは違う気づきがあると思います。
ではでは、また不定期更新で。(笑) (-_-;)