今回は『裏虚』から開始します。

 

内〇先生の解説では、裏虚は大別して6種類あると書かれています。

 

①上焦の陰虚(肺の陰虚)

②上焦の陽虚(膻中の陽虚)

③中焦の陰虚(脾の陰虚)

④中焦の陽虚(胃の陽虚)

⑤下焦の陰虚(腎の陰虚)

⑥下焦の陽虚(元陽の虚)

 

の6種類。

ここでは、上焦が胸部で、中焦が上腹部で、下焦が下腹部という感じで分けられている様です。

そして上焦・中焦・下焦を陰虚と陽虚で分ける。

 

次に『裏虚の病証』について34の病証をあげておられます。

1.頭暈・目眩 : 水分が異常に停滞したときに起こる

          ・上焦の陽虚

          ・下焦の陽虚

          ・水停

          により起こる。

 

   ※めまいとかは、水毒とか水停などで起きるという解説がある書籍があると思います。

    上記はまさにその説明と考えられます。

 

2.食穀欲嘔 : 食事を摂ると吐き気をもよおす

          ・胃の陽虚

          により起きる。

 

   ※胃の陽気が弱くなり、胃の働きが悪くなっているところにご飯を食べたのでうまく

    消化ができなくて吐き気が出ている状態と考えるとイメージしやすいのではないで

    しょうか。

 

3.口舌乾燥 : 口や舌が乾く

          ・いろいろな虚から起こる

 

   ※陰に含まれるものに津液(体液)があります。そうすると陰が虚していると考える

    と、津液(体液)が虚している(足りなくなっている)状態なので乾燥する。

    「それはそうですよね。」って感じですよね。

 

4.舌縮語渋

5.咽痛脛酸       4・5・6は、下焦の陽虚により起こる

6.咽中閉塞

 

  ※舌が縮まり言葉が渋る(舌が縮まり舌がうまく動かなくなりうまく喋れなくなる)、

   のどが痛くなりのは判りますが、脛酸は不明です。(笑)

   咽中閉塞は、のどが詰まった感じといったイメージでしょうか。

   この4・5・6の状態は、マラソンをして走り終わってハァハァと息が上がって

   のどが渇いて、のども痛いし、つばを飲み込むのも意識して息を止めてゴックン

   と努力して飲み込む(のどが詰まった感じなのを意識して飲み込む様な感じ)と

   いう状態を考えるとイメージしやすいかも知れないですね。

 

7.咽喉乾燥 : 文字通り のどが乾燥する

          ・上焦の陰虚・中焦の陰虚・中焦の陽虚・下焦の陰虚

          ・下焦の陽虚 で起きる

 

  ※3と同じ感じですね。ただ口や舌ではなく、のどと場所が変わっただけ。

   ただ原因に上焦の陽虚が無いのは何故かは、説明なく判りません。

 

8.心中動悸 : 動悸

          ・上焦の陰虚・上焦の陽虚

          ・中焦の陰虚・中焦の陽虚

          ・水停

          により起こる

 

  ※上焦が胸部と考えると、肺の陰虚と膻中の陽虚で肺の機能低下(呼吸苦がある感じ)

   や膻中の周囲の機能低下(心臓やその周辺の機能低下)で動悸が出るのは判りやすい。

   中焦の陰虚や陽虚は脾胃の虚と考えると胃周辺の消化器機能の低下と考えると、胃の

   調子が良くないときに食べ過ぎてお腹が苦しくなると気持ち悪くなって胸が苦しくなり

   心拍が上がりますね。そんな感じでしょうか。そして水停は、胃内停水(消化機能が

   低下して胃の中に物が残っていてチャプチャプしてる状態)を考えると判りやすい

   ですね。胃の調子が悪くて腹満があると気持ち悪くて動悸しますからね。

 

9.腹中動悸 : お腹の動悸

         ・上焦の陽虚・中焦の陽虚・宿食・気滞

         により起こる

 

  ※腹部大動脈の拍動ではないかと思います。体が虚していて腹筋が軟弱な状態になって

   いると、腹診するとお腹の拍動に触れます。膻中が気に影響していると考えると気滞

   とリンクするし、中焦の陽虚は胃の陽虚(機能低下)とすると宿食(胃の中に食べ物が

   残っている状態)にリンクします。

 

10.腹中雷鳴 : お腹がグルグル鳴ること

         ・中焦の陽虚・下焦の陽虚

         により起こる

 

  ※胃の陽虚と元陽の虚で、この場合は胃の陽虚は『胃と腸』の陽虚と考えると判りやすく

   「クーラーにあたり過ぎてお腹が冷えてお腹が痛くなり、お腹がゴロゴロ言ってる」と

   いう状態と考えるとイメージしやすい。元陽の虚は、元陽=生命力や体力や元気と考え

   ると体が弱って体に力が出ない状態で胃腸がうまく働けなくなりゴロゴロお腹が鳴って

   いる感じと考えると良いかも知れません。

 

11.腹中疼痛 : 腹痛 ですね

          ・中焦の陰虚・中焦の陽虚

          ・下焦の陽虚・宿食・気滞

          により起きる

 

  ※ほぼ10と同じ感じですが、10よりも状態が悪い状態。(中焦の陰虚:脾の陰虚 

   が追加されている。)現在は、脾は脾臓ではなく膵臓ではないかという説が有力な

   感じです。膵臓はインスリンやグルカゴンなどの作り分泌するので消化にとってと

   ても大事な器官。これが機能低下している状態で10に追加された状態ならお腹が

   痛くなるのも当然かも知れないですよね。

 

12.腹中急縮 : お腹の筋肉がギューと収縮している感じでしょうか

          ・脾虚・胃虚

          により起きる

 

  ※これは胃が痛くなって、お腹がギューッて痛くてお腹の筋肉が硬くなって辛くて

   苦しくて・・・という感じを想像するとイメージし易いかも知れません。

 

13.腹中脹満 : 腹満とかお腹の膨満感 でしょうか

          ・胃の陽虚・腎の陽虚

          により起きる

 

  ※胃腸がうまく機能していなくて、お腹が張った感じがしたり、胃に膨満感を感じ

   たりしている状態をイメージして頂ければと思います。

 

 

今回はここまでにしたいと思います。

次回は、14.嘔・吐・噦・噎 から書きたいと思います。

 

 

では、また不定期で更新します。 (-_-) z z z ・・・