B1病棟@最終章
七月二十二日 土曜日 六時四十分起床。朝から下痢をする。髭を剃って顔を洗う。
テレビのニュースを1時間見る。全国的な大雨で死者が出ているらしい。
十時二十分に風呂に入る。その後意識が飛び、寝たきりになる。
午後、昼食殆んど食べる。また患者の嫌がらせに会う。1日中寝たきりになる。
三時四十分にナースステーションまで何とか行き、メールチェックする。
*気分を楽に持って下さい‥ね。*
夕食、また食べる場所なし。空いたスペースに座ると、直ぐに大坪さんが来て食べ粕を飛ばして喚いた。
「俺はこいつをいじめてる。」
看護師からきつく注意されると、食事を止めてトレーごとバケツに放り投げた。
七時三十分また下痢をする。しかし大坪さんの仕業でトイレットペーパーがまた無い。
仕方なく芯で尻を拭って手を洗う。
自室で再度このノートを読み直す。失われた意識が戻って来る。
腰痛に始まり、外泊において玲子に許しを乞うた様な気持ちになって、
気が抜けて、再入院後のパニックで寝込みが酷くなっているのだ。
院内のストレスも大きい。
鬱の仮面の下では乗り切れない現状がある。
七月二十三日 日曜日 六時三十分起床。鏡で自分の顔をまじまじと見つめる。アトピーがまた悪化している。
目は眼光が鋭くなってきている。だいぶ窶れてきた。
十時三十分下痢が止まらない。午前中は寝たきりになる。
午後昼食を全て食べられる。食欲が出てきている。
ナースステーションに入る時、吉沢恭子と広瀬さんが外から見つめているのが解る。
*今日は豪雨です~明日昼から行きますね。待ってて下さい。*
何か玲子の身に大変な事が起こっている様でならない、メールチェックのストレスがかなり大きい。
四時十分に玲子から電話がある。
「抗鬱剤の効果が出始めて居るかも知れない。食欲が出始めている。体調はあまり良くない。」
「無理は禁物よ。院内生活にストレスがあるんじゃないの?」
「今はB1病棟中の患者を敵に回している。酷い状態だ。」
「解った、明日午後から行くから待って居てね。」
また大坪さんからしつこく話しかけられる。
「何であんたは四時になるとセンターに入って、鍵が掛けられるんだ。」
「俺は知っているんだ。皆にも教えてるんだ。」
吉沢恭子が対人操作をしているのだろう。
夕食はまた大坪さんが目の前に居座り嫌がらせをする。虐めてると言いふらしている。
現実の自分の置かれている立場がはっきりとした。
吉沢恭子の対人操作でB1病棟全体が自分に敵意を持って居る事は事実だ。
イエスタディーの歌声が心を和ませる。深代さんにお礼を言う。歌声は実に心地よい。
六時五十分自室で鬱の仮面を取る。
ストレスさえ無ければ自己は目の前まで回復している。躁の波が来ているかも知れないが、確かだ。
そしてどれだけの患者さんの好意を裏切ってきた事だろう。
玲子に対してもどれだけの裏切りをして来た事か、麻衣子や龍之介にも本当の愛情は殆んど無かっただろう。
ピーチとサクラもその純真な心を疎ましく思えて裏切ってしまった。
そしてその償いをしなければならない。
八時までこのノートをさかのぼって読み返す事が出来る。
八時三十分に吉井看護師に全ての事実を話す。
「吉沢恭子は境界性人格障害だと確信しています。
彼女を中心にしてB1病棟で今なにが起こっているか注意深く観察して下さい。
食事中の嫌がらせや、トイレの嫌がらせなど大坪さんを使って色々仕掛けてきています。
益々エスカレートしてくるでしょう。」
「解りました。注意して対処してゆきます。Dr.にも報告しておきます。」
吉沢恭子と大坪さんを呼び出してもらい、話すが、私の被害妄想として扱われる。
その後謝りに自室まで大坪さんが来た。いずれにしても、看護師の監視は厳しくなるだろう。
七月二十四日 月曜日 入院三カ月目になる。同室の本多さんが院内感染の疑いで採血される。
今まで俺のことを感染者として扱われていたのは解っていたが、自分が感染者だとは思っていなかっただろう。
朝食の時に吉沢恭子からいい加減に疑うのは止めろと怒鳴られる。
しらばっくれるのもいい加減にしろと言い返す。
新患で十九歳の躁病の小石君から励まされる。食後また意識がまどろむ。
午後の昼食は物々しい看護師達の監視の下で行われた。全部食べる事が出来る。
風呂に入って玲子の面会を待つ。
1時三十分に玲子がやって来る。食堂で話す。
「B1病棟での嫌がらせがエスカレートしている。患者の怒りを買ったようだ。」
「転院をしてもいいのよ。三か月で丁度保険の切り替えがあるのよ。私はあなたの言う事を信じるわ。」
洗濯物とタオルと桶を持って来てくれる。昨日からの心の動きを伝える。
「患者の好意も裏切り、家族に対しても愛情の欠落した自分が厭でたまらない。」
「何かして欲しい事はないの?」
「夏休みのレッスンも少なめにしたから、何時でも外泊して良いのよ。」
玲子なりに俺のことを受け入れる調整をしていてくれている。次は金曜日に来てくれる様だ。
土日のメールは中止する様に取り決める。
七月二十二日 土曜日 六時四十分起床。朝から下痢をする。髭を剃って顔を洗う。
テレビのニュースを1時間見る。全国的な大雨で死者が出ているらしい。
十時二十分に風呂に入る。その後意識が飛び、寝たきりになる。
午後、昼食殆んど食べる。また患者の嫌がらせに会う。1日中寝たきりになる。
三時四十分にナースステーションまで何とか行き、メールチェックする。
*気分を楽に持って下さい‥ね。*
夕食、また食べる場所なし。空いたスペースに座ると、直ぐに大坪さんが来て食べ粕を飛ばして喚いた。
「俺はこいつをいじめてる。」
看護師からきつく注意されると、食事を止めてトレーごとバケツに放り投げた。
七時三十分また下痢をする。しかし大坪さんの仕業でトイレットペーパーがまた無い。
仕方なく芯で尻を拭って手を洗う。
自室で再度このノートを読み直す。失われた意識が戻って来る。
腰痛に始まり、外泊において玲子に許しを乞うた様な気持ちになって、
気が抜けて、再入院後のパニックで寝込みが酷くなっているのだ。
院内のストレスも大きい。
鬱の仮面の下では乗り切れない現状がある。
七月二十三日 日曜日 六時三十分起床。鏡で自分の顔をまじまじと見つめる。アトピーがまた悪化している。
目は眼光が鋭くなってきている。だいぶ窶れてきた。
十時三十分下痢が止まらない。午前中は寝たきりになる。
午後昼食を全て食べられる。食欲が出てきている。
ナースステーションに入る時、吉沢恭子と広瀬さんが外から見つめているのが解る。
*今日は豪雨です~明日昼から行きますね。待ってて下さい。*
何か玲子の身に大変な事が起こっている様でならない、メールチェックのストレスがかなり大きい。
四時十分に玲子から電話がある。
「抗鬱剤の効果が出始めて居るかも知れない。食欲が出始めている。体調はあまり良くない。」
「無理は禁物よ。院内生活にストレスがあるんじゃないの?」
「今はB1病棟中の患者を敵に回している。酷い状態だ。」
「解った、明日午後から行くから待って居てね。」
また大坪さんからしつこく話しかけられる。
「何であんたは四時になるとセンターに入って、鍵が掛けられるんだ。」
「俺は知っているんだ。皆にも教えてるんだ。」
吉沢恭子が対人操作をしているのだろう。
夕食はまた大坪さんが目の前に居座り嫌がらせをする。虐めてると言いふらしている。
現実の自分の置かれている立場がはっきりとした。
吉沢恭子の対人操作でB1病棟全体が自分に敵意を持って居る事は事実だ。
イエスタディーの歌声が心を和ませる。深代さんにお礼を言う。歌声は実に心地よい。
六時五十分自室で鬱の仮面を取る。
ストレスさえ無ければ自己は目の前まで回復している。躁の波が来ているかも知れないが、確かだ。
そしてどれだけの患者さんの好意を裏切ってきた事だろう。
玲子に対してもどれだけの裏切りをして来た事か、麻衣子や龍之介にも本当の愛情は殆んど無かっただろう。
ピーチとサクラもその純真な心を疎ましく思えて裏切ってしまった。
そしてその償いをしなければならない。
八時までこのノートをさかのぼって読み返す事が出来る。
八時三十分に吉井看護師に全ての事実を話す。
「吉沢恭子は境界性人格障害だと確信しています。
彼女を中心にしてB1病棟で今なにが起こっているか注意深く観察して下さい。
食事中の嫌がらせや、トイレの嫌がらせなど大坪さんを使って色々仕掛けてきています。
益々エスカレートしてくるでしょう。」
「解りました。注意して対処してゆきます。Dr.にも報告しておきます。」
吉沢恭子と大坪さんを呼び出してもらい、話すが、私の被害妄想として扱われる。
その後謝りに自室まで大坪さんが来た。いずれにしても、看護師の監視は厳しくなるだろう。
七月二十四日 月曜日 入院三カ月目になる。同室の本多さんが院内感染の疑いで採血される。
今まで俺のことを感染者として扱われていたのは解っていたが、自分が感染者だとは思っていなかっただろう。
朝食の時に吉沢恭子からいい加減に疑うのは止めろと怒鳴られる。
しらばっくれるのもいい加減にしろと言い返す。
新患で十九歳の躁病の小石君から励まされる。食後また意識がまどろむ。
午後の昼食は物々しい看護師達の監視の下で行われた。全部食べる事が出来る。
風呂に入って玲子の面会を待つ。
1時三十分に玲子がやって来る。食堂で話す。
「B1病棟での嫌がらせがエスカレートしている。患者の怒りを買ったようだ。」
「転院をしてもいいのよ。三か月で丁度保険の切り替えがあるのよ。私はあなたの言う事を信じるわ。」
洗濯物とタオルと桶を持って来てくれる。昨日からの心の動きを伝える。
「患者の好意も裏切り、家族に対しても愛情の欠落した自分が厭でたまらない。」
「何かして欲しい事はないの?」
「夏休みのレッスンも少なめにしたから、何時でも外泊して良いのよ。」
玲子なりに俺のことを受け入れる調整をしていてくれている。次は金曜日に来てくれる様だ。
土日のメールは中止する様に取り決める。