山口下関 T-Gumbo
山口下関 T-Gumbo
一昨年くらい前から、自宅に居てオフの日には図書館によく行くようになった。真夏や真冬は家より快適なことも本当にありがたい。
土日の図書館は老人もちびっこもたくさん居て面白い。じいさん達は新聞を読んでおり、ちびっこ達はお母さんと絵本を読んだりレクリエーションルームのようなところで工作をしたりして遊んでいる。図書館に抱く静かなイメージとは少し異なる賑わいが週末にはある。地域密着の小さな図書館ならではといったところか。
そして夏休みに入ったらしい学生さんたちが自習室で勉強をしている背中もなんだか素敵だ。
そういうわけで図書館に来たにも関わらず、僕は手に取った本を開きもせずにしばらくそれらを眺めていた。本を読まずして十分に刺激があったのだ。
ちびっこも学生さんもよい夏休みにしてね。
23日からライブがまた忙しくなるので、僕もがんばります。
「小さい町で、月曜日だから共演者やお客さんを集めるのは難しいと思いますが大丈夫ですか?」
そう言いながらも快くライブ開催を引き受けてくださったのは有馬馬21のマスター見上さん。当日を迎えるまでライブのビラをまいたりしてたくさん宣伝してくださった。
6月10日は時の記念日。僕はこの日に、とても個人的な、特別な想いがあって紋別の町の景色をこの目で見てみたかった。そして紋別でうたってみたかった。見上さんのご厚意のおかげでそれが叶いライブをすることができた。
古くから有馬馬21に通っておられる常連の方、雨で視界の悪い中を遠くから車で駆けつけてくださった方、苦手な飛行機に乗ってまで関東から観に来てくださった方、そしてマスターの見上さんご夫妻。皆さん本当にありがとうございました。
初めて訪れた紋別の景色は不思議と懐かしく、港町らしい潮の香りがした。無骨で、寡黙で、けれど風通しがよかった。
陽が照ったり雨が降ったり移り気な一日だったが、それも良かった。最後の最後はまばらな雨に濡れて宿に帰り、気持ちよく眠りについた。
またここに来られたらいいなと思う。
優しい夜でした。ありがとう。
2024.6.10(月)
紋別 有馬馬21
【一部】
1.相も変わらず
2.きりんの夢
3.眠れないベンチ
4.汽笛
5.いい夢見させてくれてありがとう
【二部】
6.肋骨レコード
7.スコール
8.虹
9.セピアに染まって
10.火花
en.花
おはこんばんちは!
はい。今日は新譜の紹介をしようと思います。
前から書こう書こうと思いつつ気付けば今日までかかりました。
前にもブログで少しだけ紹介したんですが、今月末から新譜を発売します。ワ〜パチパチ👏🏻 実に2年ぶりの新しい音源でして、つまり音源制作のいろいろな作業をするのもけっこう久々なわけですが、いやはや音源をつくるってやはりとても大変です。改めて思うけど(超めんどくせえ!)ですはい。笑
だからね、よほど心が決まった時でないと音源はつくれません。
↓その辺りの思いの丈は前回の記事に綴ってあるのでよければ読んでください◎
…はい。とまあ、せっかく音源をつくるならね。やっぱりちゃんと楽しんでほしいんです。
ライブをよく観に来てくださる方ほど「CDよりやっぱりライブが好き!」と言ってくれます。それはとても嬉しい嬉しい言葉なんですが、僕はそのへんどうやら欲張りなようで、音源は音源としてバッチリ楽しんでほしいわけです。
だってせっかくつくるんだもの。
だからいろいろ考えました。
自分にできること。自分だからできること。なんの飾り気もない弾き語りの僕だからこそやる価値がありそうなこと。そういうことを1年くらい考え続けてやっと閃きました。
それは何かと言いますと
ずばり“副音声付きアルバム”です!🎉
…はい。
なんのこっちゃと首を傾げる人も居ると思うんですが(笑)
副音声ってのを簡単に説明するとですね、テレビでも二ヶ国語放送の番組とかあると思うんですけど、まあ言っちゃえばあれのことです。主音声が日本語で、副音声に切り替えたら英語になる。みたいな。
んでもっと言うと、例えば映画とかをDVDで借りてくると特典として音声解説付きで観たりできるじゃないですか。その作品の監督と出演俳優が撮影の裏話をしたり、そのとき画面に流れてるシーンの解説をしてたり。🎥
あれをね
CDでもやりたいな!と閃いたわけです。
ライブで話しきれない世間話や唄をつくる時のちょっとしたエピソード。そういうのをですね、ゲストを招いて収録曲を聴きながらあーだこーだと喋りまして、そして最終的にそのトークをCDにまるまる収録しちゃおう!と。
(※CDは音声切り替えできないので別トラックで収録しますが)
つまるところそういう企画です。
そしてこの企画、シリーズ化しようと思ってまして。閃いた時からそのつもりでいろいろ考えて動いております。
僕は日本中けっこういろいろな町にうたいに行くので、それぞれの町で親しい人達をゲストに招いて副音声付きアルバムをつくっていけたらシリーズとして面白いんじゃなかろうか…!と企んでいるわけです。
例えばCDを聴いてくれた人がまだ知らないミュージシャンや遠くの町のことを紹介できるかもしれないし、それをきっかけに興味を持ってくれることがあるかもしれない。行ってみたい町が増えたり、ライブを観てみたいミュージシャンが増えたり。そうなればきっと世界は広くなるし、想いを馳せる先が増えれば日々も豊かになりそうな気がするんです。
自分の唄をただ聴いてもらうだけじゃなくて、せっかくならそういう新たな価値が生まれることがしたいな〜と。そしてその最初のきっかけがもしも僕の唄になるとしたら、なんだかとっても嬉しいことだなと。
そしてシリーズ化するに当たってですね、何かそれっぽいタイトルを付けようと考えたんですけど、もうね、一瞬でこれしかない!というセンス抜群のタイトルを閃いちゃったのでババーン!と紹介しますね。
ずばり!(本日2度目)
ウルトラ副音声U.F.Oシリーズ
です!!!ネーミング安易!!!!🛸
(U)ウルトラ(F)副(O)音声シリーズってことですはい。
一瞬で閃きすぎて逆に躊躇うほどでしたね。ネーミングセンスがすっかりおじさんだとかそういうことは思っても言わないようにしましょう。ね。
でもこれなかなか気に入ってるんです。UFOって円盤のイメージあるじゃないですか。CDも円盤って呼んだりするし。一瞬で閃いたわりに秀逸ですよね(自画自賛)
そして記念すべきU.F.Oシリーズ第1弾の主タイトルは
「日帰り宇宙旅行」です🚀
これまたU.F.Oシリーズにふさわしくて良きですよね(自画自賛2)
収録は
1.どうしてあくびがうつるのか
2.昨日までのお酒をぜんぶ
3.スコール
4.肋骨レコード
5.日帰り宇宙旅行
6.眠れないベンチ
7.電車さむい外あつい
8.サボテンくん
9.副音声トーク
となります。
そして副音声トークの初回ゲストは!
東京で弾き語りで活動している仲良しのquonくん。そして東京でお世話になってるお店“新宿UNDERGROUND Azzitto1224”(通称アジト)のMUREさんに参加してもらいました✨
初回なので僕自身も慣れないながらに3人であれやこれや仲良く喋ってます。ライブとはまた違った空気で楽しんでもらえると思うのでラジオみたいに聴いてやってください。トーク内容は当然ですがCDを買ってくれた人だけが聴ける特典なのでここでは割愛します👍🏻
というわけで!
5月末から新譜発売です🍀
ぜひライブ会場に遊びに来てください。そして新しいCD買っていってくれたら嬉しいです。
新譜発売以降のざっくりライブ日程は
5/21大阪心斎橋 大きな輪※レコ発
5/27東京新宿 アジト※レコ発ワンマン
5/28東京荻窪 club Doctor
5/31北海道札幌 Food&Bar SALINAS
6/1北海道札幌 Food&Bar SALINAS
6/2北海道札幌 天狼星
6/3北海道札幌 LOG
6/4北海道札幌 ローランドゴリラ
6/6北海道留辺蘂 スナックフレンド
6/7北海道北見 ブルーチッパー
6/8北海道北見 オニオンホール
6/9北海道網走 スナック流氷
6/10北海道紋別 有馬馬21
6/14北海道釧路 Veiled cafe
6/15北海道帯広 ロッケンロールキャッツ
6/16北海道帯広 hipster
6/17北海道札幌 Food&Bar SALINAS
6/18北海道札幌北24条 そば居酒屋純平
6/19北海道札幌 LOG
6/22北海道長万部 シャマンの里近辺
6/23北海道函館 ホワイトビートルズ
6/28岐阜 BAR WORKIN'
6/29名古屋池下 GURU×GURU
6/30静岡(仮)
7/12大阪昭和町 ノーユーノーミー
7/14岡山 ひじラボ
7/26愛知豊橋 しげしげキバコ
7/27静岡 8thRest
7/28神奈川横浜(仮)
8/5福島郡山 PEAK ACTION
8/28東京大塚 Welcomeback
↓詳しくはこっちの記事にライブ情報載せてます(随時更新)
せっかく新譜の紹介ブログなので最後に制作過程の写真なんかも少ないけどちらほら載せます。
よし、くどいようですが最後にもう一度!
新譜
「日帰り宇宙旅行~ウルトラ副音声U.F.Oシリーズ~」
そろそろ発売🚀よろしくお願いします👍🏻✨✨
ではこのへんで!
シーユーアゲイン!!
ミヨ子は母に頼まれて隣町のショッピングモールにおつかいに来ていた。母はまだ小学生の弟が昨年から始めた習い事の送迎で忙しかった。弟にはダンスの才能があるらしく、通っている教室でも期待の星なんだと母が興奮して話していた。
「はいはい、平凡な私は今日もひとりで買い物係りですよーだ」
次の春から高校2年生になるミヨ子は、家庭内での最近の自分の扱われ方の変化に馴染めずにいた。とは言え特別な変化があったという訳ではなく、ただほんの少し、自分が大人になりつつあるのだろうと感じていた。「そりゃいつまでも子供扱いしろってわけじゃないんだけどさ」安価なアクセサリーが並ぶテナントのディスプレイを眺めながらついそんな独り言を口に出しかけた。食卓を囲んでも両親は(特に母は)このところ弟のダンスの話ばかりだった。
ミヨ子は少しうなだれてアクセサリーショップの前を通り過ぎるとコートのポケットに両手を突っ込んだ。するとポケットの中で何かが指先にクシャッと触れた。「あ、そういえば」家を出る時に無造作に押し込んだ、母に手渡されたレシートだった。
「あ、ミヨ子。ついでにこのレシートも持っていってポイント還元しておいて。このまえポイントカード忘れちゃったのよ。お願いね〜」
ほんの数十ポイントで何をケチケチ言っているのかとミヨ子は内心呆れたが、家計を支える母にとっては弟の習い事と同じぐらい大切なことなのだろうと思った。レシートの下部にはポイント還元の有効期限が記されている。
「あは。2月33日っていつなのよ。閏(うるう)年何回分だよ」
レジの機械の仕組みのせいなのか、些細な印字ミスだったが、思わずツッコミを入れてしまいミヨ子はなんだか可笑しかった。不思議と体が軽くなったような気がした。「閏年何回分だって、なかなかセンスいいツッコミだったんじゃない今の?」
4階まであるショッピングモールはまるで巨大な迷路だった。ポイント還元をするためにはサービスカウンターに行かねばならず、ミヨ子は未だ辿り着けずにいた。頼まれた買い物を先に済ませたミヨ子は、エコバッグの中のアイスのことがそろそろ気になり始めていた。「溶けちゃうじゃん〜。サービスカウンターどこなのよもう」母に渡された買い物リストにはもちろアイスの記載はない。
フロアマップを確かめながら歩いているつもりがいつまで経ってもサービスカウンターを見つけられず、エレベーターに乗り、階段を登り降りするうちにミヨ子は見慣れないフロアに迷い込んでしまっていた。さっきまで周囲を雑然と満たしていたあらゆる気配もいつの間にか消えており、他フロアよりも薄暗いそのフロアには自分以外誰の姿もなかった。
「え、さすがにまだ閉店時間じゃないよね」異質な雰囲気に不安になって足が速くなる。とは言えもはや道順もわからず、頼りのフロアマップも見当たらなかった。
焦燥に駆られて歩いていると、突然、静まり返ったフロアには不釣り合いな賑やかな電子音が前方から鳴り響いた。誘われるままそちらに進み、おそるおそる角を曲がると、やはりこのフロアには不釣り合いな煌々ときらめくゲームセンターがあった。煌々と賑やかに、けれど人の気配は一切なく、映画のセットのような非現実感だった。
ミヨ子は何がなんだかわからなかった。お菓子やミニカーがレーンの上を回るクレーンゲーム。小さな子供用のいろいろなキャラクターを模した乗り物。メダルゲーム。エアホッケー。そして立ち並ぶUFOキャッチャーのガラスの中にはたくさんのぬいぐるみ達がところ狭しと積まれている。どのぬいぐるみもミヨ子の知らないキャラクターだった。
「やあ、君は特別なレシートを持っているようだね」
突然後ろから話し掛けられ、ミヨ子はビクッと体を硬くして振り向いた。「え、だれ…?」ところが後ろには誰の姿も見えない。
「こっちだよ、ほら、見えてるでしょ」
声のする方向をもう一度凝視する。お菓子のクレーンゲームの上で何かが動いた。
「え…、もしかしてあんたが喋ってんの?嘘でしょ」
話し掛けてきたのは人だとばかり思っていたが、声の主はなんとゼンマイ仕掛けのブリキの猫のおもちゃだった。ミヨ子は目を疑った。それはラグビーボールほどの大きさだったが、そう感じたのはまさにラグビーボールのような赤茶けた色の体をしていたからだろう。
「君が持っているそのレシートは特別製でね、僕らの住む世界に繋がるゲートを通るチケットになってるのさ」
突然出てきて何言ってんだこのブリキネコそんなわけないだろレシート1枚でどこまで話膨らませてんだこのやろう。
そろそろ話の続きを考えるのも面倒臭くなってきたので、ミヨ子は頭のネジが飛んだ(ブリキだけに)インチキ臭いゼンマイネコをテキトーにあしらって、ポイント還元は諦めて溶けかけたアイスを食べて家に帰ることにしましたとさ。おしまい。
あ、タイトルのパラソルが何なのかまだ描かれる前でしたがそれはちゃんと考えてます。というのは嘘です。