物事が思い通りにうまく行っている時、私たちは、知らず知らずのうちに自分を過大評価し偉くなったような気分になってしまうのかも知れません。しかし、ひとたび失敗した時には自分の弱さ、小ささを思い知らされ、卑屈になってしまうことさえあります。

けれど同時に、それまでの自分を冷静に振り返ることができれば、なぜうまく行っていたのか、『支えられていた』自分に気づくこともできます。自分の弱さ、小ささが分かることで『支え』の大きさを知り、当たり前のものと思い込んでいた様々な『支え』に感謝できるようになります。背伸びせず、うぬぼれず、謙虚になれるご縁をいただきます。

失敗すると、自分のそばから離れて行く人もいるかも知れません。それはそれで仕方ないこと。その人は自分を利用しようとし、利用できないと損得で判断し、離れて行ったのでしょう。責めることではありません。一時的にチヤホヤしてくる人よりも、ずっとそばにいてくれる人の心の大きさ、深さがはっきり分かってきます。

先日の朝刊に「思考の整理学」というベストセラーを著した英文学者、外山滋比古さんの言葉で『人が定年後に退屈になる理由の一つは、失敗する機会がなくなるせいかも知れない』と出ていました。

なるほど。失敗からしか学べないことがたくさんあるんだ。いくつになっても前向きに生きてみようと気づかせてくださる、有り難いご縁をまたいただきました。

 

 ※ 今年も報恩講の季節がやってまいりました。

  浄榮寺報恩講は、令和5年11月9日(木)午後1時より

  ご法話には川村妙慶師をお招きし、厳修されます。

  どうぞご参詣くださいますよう、お待ち申し上げております。