68点

Rotten tomato 批評家 85% 観客 82% (24/6/19現在)

鑑賞回数 初見

対象者 テイラー・ハックフォード

 

解説

20年の歳月を経て結ばれた二つの事件の真相の鍵を握る、母と娘の心理的葛藤を描いたサスペンス・ミステリー。モダン・ホラーの巨頭、スティーヴン・キングの全米ベストセラー『ドロレス・クレイボーン』(邦訳・文藝春秋刊)の映画化。監督は「愛と青春の旅だち」「ブラッド・イン ブラッド・アウト」のテイラー・ハックフォード、製作はハックフォード、チャールズ・B・マルヴェヒル、脚本はトニー・ギルロイ、撮影はガブリエル・ベリスタイン、音楽は「バットマン リターンズ」のダニー・エルフマン、編集はマーク・ワーナー、美術はブルーノ・ルベオがそれぞれ担当。主演は「ミザリー」に次いでキング作品のヒロインをつとめた「フライド・グリーン・トマト」のキャシー・ベイツ、「ルームメイト」「未来は今」のジェニファー・ジェイソン・リー。共演は「サウンド・オブ・ミュージック」「女神たちの季節」の名優クリストファー・プラマー、「激流」のデイヴィッド・ストラザーン、「ラルフ一世はアメリカン」の英国の名舞台女優、ジュディ・パーフィットのほか、「トーク・レディオ」のエリック・ボゴジアンが顔を見せる。(映画.comより)

 

感想

30年近く前の映画ですけど、今鑑賞しても十分に面白い作品ではないでしょうか。何というか、結構日本映画感があるという感じがします。

 

何というか、日食の日に起きた事を起点に現代の出来事へと繋がっていく、みたいな必ずしも日食を描く必然性が無いと思ったんですけど、そういう運命めいたものをあえて加えるあたりがあまりスティーブン・キングのミステリーには無い部分で、どちらかというと湊かなえとか、角田光代が書きそうな感じがするイメージだったんですよね。例えば「ミザリー」はもっと直線的というか、もっと単純にキャシー・ベイツの怖さに依拠するものが多かった映画だと思うんですけど、そういった意味では本作の方が現代と過去を行き来しながら映像を繋いでいく感じがより映画的に感じたというか。

 

キャシー・ベイツとジェニファー・ジェイソン・リーという実力派ではあるんですけど、決して大スターではない感じの2人でハリウッド映画を撮るというあたりも物語力の強さに自信を感じるというか、大スターを出さなくても映画としての完成度で十分見せる事が出来るという矜持を感じました。

 

もちろん2人も素晴らしいんですけど、クリストファー・プラマーの厭らしい感じも「ゲティ家の身代金」での演技を改めて思い出すような感じですし、(警官役なんですけどね)デヴィッド・ストラザーン演じる最低な父親役の演技も素晴らしかったです。後今観るとジョン・C・ライリーも出ていますしね。

 

まあ、もしかすると観る人によっては頭脳明晰なジェニファー・ジェイソン・リー演じる娘の側がアルバイトもできるような年齢の記憶を全部忘れているなんてあり得る? みたいな疑問を抱くかもしれないんですけど、そこは十分あり得ることなのだろうと思います。

 

ダニー・エルフマンと言えばティム・バートン音楽という感じが私の中ではあるんですけど、バートン映画にも通じるようなリズムもありつつそれをサスペンスっぽいダークな雰囲気に転化した音楽も良かったですし、編集もとても映画らしい感じのテクニックが感じられて、スティーブン・キング×キャシー・ベイツと言えば「ミザリー」という感じですけど、負けず劣らず、もしかすると映画全体の完成度で言えば本作の方が上では? と思わせる良作でした。