人の心理が好きな私は

恐怖やミステリー特集

目がありませんハート

今夏みたTV番組で興味深かったのは

こわいマンガ70年の歴史を振り返る

NHKの恐怖特集。

 

NHKダークサイドミステリー

こわいマンガはなぜ怖い?

MC 池間昌人アナウンサー
マンガ批評家 夏目房之介

京都精華大学 准教授 伊藤遊

爆発的にヒットするわけじゃないけど

ずっと長――く売れ続けるジャンル。

それが、恐怖マンガ

稲妻がピカッ、雨がザザザーッ、

古い家屋の窓がパタンパタンと風に煽られ

カーテンがゆらゆら揺らめく。

怖さの技法が巧みに仕掛けられた娯楽は

少女雑誌から流行したそうです。

 

  女子の好む恐怖

 

なぜ少年でなく

少女の間で人気がでたの?

 

女の子が共感するのはの問題。

 

漫画に出てくるヒロインは

理不尽で可哀想な目にあう。

 

読者(少女)は

可哀想な立場に共感して

ヒロインを応援し、

苛める相手を憎らしいと思いながら

物語に入り込む。

 

大変な目にあう事の1つとして

恐怖ジャンルが生まれました。

予想もしなかった運命に翻弄されたり

継母からイジメをうけたり

優しかったお母さんが豹変したり

家族の事情が絡みます。

 

愛情を求め悲しみ恨みが出てくる。

 

読者(少女)は

心の問題に関心が高いんですね。

 

1960年代になると恐怖漫画の巨匠

楳図かずおが登場します。

「へび少女」では

優しい母親が心と身体が怪物に変わる

恐怖が描かれます。

母親が持つ娘への愛情と、

自分を見失う恐怖という

相反する心理。

母親に食べられるという

理不尽さがヒロインを襲い

 

じわりじわりと迫る危険が

美しく、醜く、幻想的に描かれる

それが少女漫画の世界です。

 

 

  少年の好む恐怖

 

では

男の子の読者はどうか?

 

小学生の男子にとって

家庭環境のしがらみや

人間の関わりはまだ興味がない。

 

複雑な人間関係は

面倒くさいのです。

 

それよりも

見た目のグロテスクさ

関心が集まります。

 

異形の怪物が現れると

「わぁ~こわい!」「助けてくれー」

逃げだしたり、やっつけるという

行動のほうに重きをおく。

 

  怖さの技法

 

恐怖を盛り上げる画の技法も

わかりやすかったです。

 

普段は目が大きく丸く可愛らしい。

 

 

怖い場面になると

顔に陰影の線が入り

立体的でリアルになっていく。

 

 

どんどん顔の皺が強調され、

叫び声はトゲトゲした文字へと変化!

 

 

ムンクの叫びをモデルにした

迫力のある顔へ。

 

時間の経過と心の動きを

段階を踏むカット割りで表現していて

ほんと面白いです。

 

  どんでん返しの技法

 

私が生まれた1967年に発表された

 

楳図かずお「赤ん坊少女」では

怪物やお化けではなく、

家族、しかも赤ちゃんがモンスター。

ヒロインが赤ちゃんに迫害される

という斬新な発想です。

 

あるときは油の入ったランプ、

ギロチンなどの小道具で虐められる。

実は、この赤ちゃんは

ヒロインより年上の12歳の姉。

 

成長できない体質をもつ娘です。

この物語は

終盤にどんでん返しがあります。

 

それは赤ん坊の台詞

 

”私がお前をいじめていたのではなく

お前が私をいじめていたのよ。

お前が家にくるまでは幸せだったけど

健康に成長していく姿をみせられ

惨めでつらかった。

親も家も財産もお前のものになるのが

悔しい”

 

それを知った読者は、

主役から悪役へ同情が移る

という逆転劇が起きるんです。

 

最近でいうと

ホラー映画「エスター」が近いかな。

 

 

 

子ども心にも、

悲しさやコンプレックスが分かり

批難する気持ちがやわらいでいく。

 

こうして少女たち

善悪の境界が曖昧な

学んでいくんですね。

 

 

70年代、80年代、90年代、2000年代と

時代と共に恐怖のジャンルが多彩になって

面白い番組でしたニコニコ