図書館に通っていると

季節の移り変わりを感じます。

 

スタッフさんの手によって

その時期にあわせた本が棚に並び

 

から梅雨

色やテーマが変わっていく。

 

児童書コーナーで

ふと手にとった絵本が

魅力的だとなんだか嬉しい照れ

 

今月は

「海のアトリエ」

 

海のアトリエ
堀川理万子 著

 

”子ども扱いしない大人”

と初めて出会う。

 

イラストレーター

堀川理万子さんの人生に

影響を与えた人との

ひと夏の思い出をつづった一冊。

 

おばあさんが孫に語る。

 

少女だったあの頃の出逢い。

 

それは不登校になり

引きこもっていた夏の日。

 

母の知人宅へ一週間滞在することに。

 

対等に接してくれたその人は

海辺の家に暮らす絵描きさん。

 

自然体の彼女は

自分のペースで絵を描き、

 

夕食は

オリジナルの料理でもてなし、

 

スイカの香りの水で乾杯。

 

夜はそれぞれが好きな本を読み、

 

朝は音楽をかけてヨガ。

浜辺の日差しを浴びて、

海をながめ、海草の匂いをかぐ。

 

絵描きさんは心に浮かんだイメージを

水彩で描いていく。

 

「心の中は自由だから、

そのままかけばいい。

どんなふうにだっていいのよ」

 

 

はじめは白い紙を前に

筆が進まなかった少女。

次第に

大きな紙いっぱい

手足をつかって表現していきます。

 

私が好きな場面

美術館の小さな彫刻を見ながら

2人が話すシーンです。

 

かなしそうな女性の彫刻は、

ロダンが日本人をモデルにしたもの。

少女

「つらそうにみえるね」

 

画家

「そうね。内面が感じられる顔だよね。

すばらしいよね」

 

そうか、

つらそうでも素晴らしいのかって思った。

 

 

つらくても、かなしくても素晴らしい

という、とらえかた。

 

少女の素直な驚きが感じられます。

 

 

そして

2人はお互いの顔を描き合いっこ。

じっくり相手の顔をみると

まゆの形、ほくろの位置に気づく。

 

そして、完成した絵をみると

 

自分の思っている自分とは

少し違う自分がいた。

 

最後の日は、ふたたび海へ。

 

波の音、風に吹かれる2人。

 

遊びにきた頃より

ちょっぴり成長した自分を感じていた。

回想をおえたおばあさんは

孫娘に語ります。

 

「あなたはこれから大事な人にであうのよ。

ずっとおぼえていたいって思える日が

きっと待っているわ」

 

 

読んでいると

肩の力がする~っと抜け、

癒されます。

 

 

そういえば、

私にも忘れられない夏があったなぁ。

 

 

それは、またの機会に…