アパートの狭いエレベーターに
映画女優と老女が乗り合わせた。
「うちのせがれが
戦争にとられてるのに
アンタは男遊びかい?
さかりのついたメス犬め。
地球上の全ての男と
寝るつもり?
今にバチがあたるよ!」
老女の執拗な嫌味と罵声を浴び、
黙って耐える人気女優のジル。
早くここから逃げ出したい。
だが
一度お騒がせ女優のレッテルを
マスコミに貼られたら、もう剥がせない。
私生活
ルイ・マル監督
1962年
ブリジット・バルドー
マルチェロ・マストロヤンニ
BBの魅力たっぷり
初恋の男に一途な娘を
ブリジッド・バルドーが演じています。
監督やカメラマンの
BBに対する好き好きオーラが
映像を通して伝わってくるようです![]()
冒頭から彼女の魅力が
バトンリレーされますよ。
主人公ジルが
水色のレッスン着で
バレエを踊るとつま先まで美しく、
レッスン後は
紺色シャツで
ボートを操縦しながら
金髪を潮風になびかせる。
入江に着くと
麦わら帽子をかぶり
自転車をこぎ始める。
場所とファッションを変える映像が
まるで動くファッション誌!
若さはじける現代っ子の
伸びやかな仕草にウットリです![]()
感想
ジルは心ひそかに片思い中。
白いビキニで双眼鏡をのぞく先には
大人の男性がいる。
それは舞台演出家ファビオ。
彼の活き活きとした仕事ぶりと、
文芸論を語る言葉に
ジルは熱い視線を送る。
でも、気持ちを伝えることも
接近することもできません。
彼にはパートナーがいて
大人の彼らに割り込めない。
ジルは
ギターを弾きながら、
彼のことを考えると
甘く切ない気分になる。
本気の恋が苦しいから
ファビオが見えない場所へ離れよう。
親元を離れてパリへ発ち
写真モデルを経て人気女優へと飛躍。
ダンス、華やかなパーティ、
どんなに色恋を重ねたとしても
映画に打ち込んでも
なにかが足りない。
どれもファビオを忘れるための
気晴らしに過ぎません。
一方、世間は
ものおじしない彼女の
カメラを射抜く強い眼差しと
何を考えているか捉えどころのない
雰囲気、セクシーな魅力に人気沸騰。
ファンは
ファッションや髪形を真似し
ファンでない人々は
嘘のゴシップ記事で大いに愉しむ。
プロデューサーは
次々仕事をさせてガッポリ稼ぐ。
記者たちは
次々恋人を換えるアマゾネスの女として
ゴシップ記事を書きまくる。
親たちは
セックスシンボルとしての彼女を批判。
ジルはつぶやきます。
「私は昔のままなのに。
女優なんかにならなきゃ良かった…」
道を歩けば大勢が押し寄せ、
悲鳴をあげて気絶した彼女を
カメラマンが取り囲む。
チャンスとばかり
失神した姿を見下ろすと
情け容赦なく撮影する。
女優の私生活に群がるハイエナ達は
あざ笑いながらカメラを手に追い回し
屋根の上に大勢が登り、生垣を壊し、
時には子供を使って盗み撮りさせる。
スイス、フランス、イタリア…
どこにも逃げ場などない。
スターの私生活は侵食されてゆく。
もみくちゃになり
身も心も擦り切れ、
ノイローゼになった彼女を救ったのが
初恋の人ファビオでした。
②へつづきます








