夫のピエールは優秀な医師。
稀に見る人格者で
私が寝込むと予定を取りやめて付き添うし、
セックスレス夫婦でも文句言わず
私が眠るまでそばについていてくれる。
完璧なあなた
私を聖女だと信じて疑わない。
そんな貴方に相応しい妻になりたい。
でも、昼は娼婦、夜は貞淑な妻。
二重生活がやめられない。
昼顔
ルイス・ブニュエル監督
1967年
カトリーヌ・ドヌーヴ
ピエール・クレマンティ
ミシェル・ピコリ
ジャン・ソレル
①アート編に続いて
②心理編です。
愛する人に見せる自分と
本当の自分のギャップが大きいと
誰でも苦しくなるもの。
性癖に悩む新妻に訪れる
意外な結末に驚きました。
愛の残酷を生々しく描く作品って
勇敢でかっこいいなぁ![]()
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感想
映画「男と女」のようにパリを離れ
夫婦で旅に出た。
海辺を散歩しながら夫ピエールが呟く。
「僕らの間に越えられない溝を感じる」
夫に本当の自分を知って欲しい。
でも愛想をつかされそうで怖い。
若いチンピラのマルセルが客として
通いはじめる。
密売人の彼は
真珠のようなセヴリーヌに惚れ込み
恋の病をこじらせていく。
「本名は?住所は?
昼だけでなく
夜も会いたい」
独占欲を募らせる彼。
彼がブーツを脱ぐと
穴の開いた靴下を履いていた。
口を閉じていると気づかないが
口を開けると金歯をいれている。
完璧じゃない若者を
相手にしていると
なんとなく気持ちがラクだわ。
血の気の多いマルセルは
セヴリーヌに会えないと怒り狂い、
ありあまるパワーを
壁の裸婦画を杖で叩き割ることで
鬱憤をはらす。
夫にはない野蛮さと情熱が可愛いわ。
だけど、愛しているわけじゃないの。
ある日、
娼館に昔の常連がやってきた。
自分を指名した男は…
なんと‼︎
夫の友人ユッソンだ。
娼館の住所を教えた張本人で
隙あらば口説いてくる嫌な奴。
さては、私の身体が目当て?
それとも金目当ての恐喝?
ひょっとして
侮辱しながら愉しむつもり?
セヴリーヌは焦る。
「お願い
夫には内緒にして」
ユッソンは冷たく言い放つ。
「貞淑を捨てた君に興味はないね」
終盤で
夫が襲われ、全身麻痺に。
耳は聞こえるが
目が見えず話せない夫に妻は寄り添い
女学生や修道女のような聖女の装いで
甲斐甲斐しく世話をする。
彼女は車椅子の夫を悲観するどころか
ホッと安堵していたのだった。
「不思議なことに
夫の事故以来、夢を見ない」
完璧でなくなった夫に
いつしか劣等感は薄れていた。
そこへ
夫の友人ユッソンが見舞いに訪れる。
「君の夫ピエールは
献身的に介護をする妻に
申し訳なさを感じているだろう。
僕が君の真実を暴露することで
ピエールの負い目が和らぐはずだ」
あぁ、ついに暴露されてしまう。
でも、覚悟を決めなくちゃ。
部屋の外で待つセヴリーヌ。
ユッソンの話を聞いて
夫はショックを受けたはず。
彼の反応が知りたい。
落ち着きのない指先でテーブルをなぞる。
ユッソンが帰るとそっと部屋へ入り
恐る恐る夫へ声をかけてみた。
「ピエール…」
無言の夫。
頬を涙がつたっている。
動揺する夫を初めてみたわ。
もう夢に黒い馬車が出てきても
私を責める男たちの姿はいない。
その代わり、これからは
新しい夢をみるわ。
貴方に奇跡が起きて立ち上がり
2人の距離が近くなる夢よ。
いつか訪れるその日まで
心穏やかに刺繍を続けましょう。



























