幸せってどういうことなのかなぁ」

女の人生ってなんだろね」

仲良し三人組が宿の布団に並ぶ。

1人がもうすぐお嫁に行くから

3人で旅をするのもこれが最後。

しんみりしていると隣の部屋で

寅さんが仲居たちとドンチャン騒ぎ。

幸せなら手を叩こうハイ♪ハイ♪

 

男はつらいよ

柴又慕情

山田洋二監督

1972年

渥美清

倍賞千恵子 前田吟

松村達雄 三崎千恵子

吉永小百合 宮口精二

 

吉永小百合さんの魅力 

 

吉永小百合さんの

明暗の演技が良いですねぇ。

 

好きな人のことを考える顔。

思いつめる顔。

寅さんといるときの

コロコロと笑い転げる明るさ。

シロツメクサの花冠でお茶目な表情。

北陸旅行から戻ったヒロイン。

居間に入ると

散らかったちゃぶ台のトースターに

真っ黒こげの食パンが

ふぅ~っとため息。

額に手をあててうつむく。

暫くぼんやり。

気を取り直してゴミを集めていく。

重い腰をあげ、台所へ立つ後ろ姿が

まるで

私を見ているようで

切なさがこみあげてきます。

山田洋二監督は女性のやるせなさを

どうしてこうもうまく撮るのかなぁ。

 

不器用な男たちの愛
 

寅次郎は旅先で
歌子ちゃん一行と知り合う。
父の世話で苦労している話に
心を寄せる。
 
一見、幸せそうな
美しいお嬢さんが不幸なのか…
なんとか幸せにしてやりてぇな」
歌子ちゃんの友人が寅さんに言う。
「引っ込み思案の彼女が
あんなに笑ったのを初めてみたわ。
あれからよく言ってるの。
寅さんに会いたいなぁ~って」
 
そう聞くとまんざらでもない。
さくらさんは「またはじまった」と
心配顔。
両親が離婚して以来、歌子ちゃんは
小説家の父の奥さん代わりをしてきた。
娘が帰宅しても
父は執筆の手を止めない。顔もみない。
娘が部屋をでてから、手をとめ
机に置かれたお土産をながめて、
満足そうに頷く。
そうなんです。
昔気質の不器用なお父さん。
歌子ちゃんは
愛知に住む陶芸家と一緒になりたい。
でも、彼の話になると父の顔が曇る。
娘を手放したくなくて
色々と難癖をつける父。
 
歌子ちゃんは
思いきって家を出たい。

だけど
お湯も沸かせない父が
心配で離れられない。
自分の幸せ、
諦めなきゃいけないのかしら?

 

行こうか、留まろうか?

 

迷う、迷う。

 

父の顔をみるのが辛くなってきた。

 

そうだ、

寅さんに会いにいこう。

 

そんなこととは知らない寅さんは

待ちに待った歌子ちゃんが

泊まりにきて浮かれっぱなし。

「あの、私、一度お伺いしたかったの。

寅さん、どうして

結婚なさらないの?

 

寅さんはその言葉に胸キューン♡

 

「失恋の痛手で、

女性とおつきあいできないのかしら?」

 

勘違いしている歌子ちゃんに

皆は笑いをこらえきれず爆笑。

さくら夫婦は

自分たちの結婚を振り返る。

 

博さん(さくらの夫)

「思い返せば、お兄さんが

引っ掻き回したことが

きっかけで

俺は君へのプロポーズを決心したんだ」

そして、

歌子ちゃんの背中を押す。

 

「歌子さんも

きっかけが欲しいんじゃないですか?

迷うのがみっともないって言うけど

それで良いじゃないですか。

貴女は優しい人だから迷うんです。

きっとお父さんは寂しさに

耐えていけるはずですよ」

そして、さくらさんも励ます。

相手のことが好き。

それさえはっきりしていれば大丈夫よ」

夫婦の言葉に

吹っ切れた歌子ちゃん。

夜空に流れ星が見える晩。

彼との未来を祈る歌子ちゃん。

背中で彼女の言葉を聞く寅次郎。

あぁ、、また失恋か。。

そして、寅さんは再び旅へ。

かばんには、

歌子ちゃんがくれた焼き物の鈴。

寅さんの失恋の数は、

女性の幸せを願った勲章です。