ナイトクラブの女たちが噂する。
「紀美(きみ)のやつ、
どうしてあんなにモテるの?
毎月ご指名がいくつ入ると思う?
きっと嘘の天才なんだろうね。
客に抱かれてる時も、キスの時も
ダンスしてる時も客を騙してるんだから」
だ・け・ど
嘘の天才はお客も同じ。
「紀美ちゃん、これは本気の恋愛だよ」
「紀美ちゃん、結婚して~」
モノにしようと口から出まかせ(笑)
紀美は百も承知で
狐と狸の化かしあいを余裕でこなす。
ところが、本命の前では…
女経
耳を噛みたがる女
1960年
増村保造監督
若尾文子 川口浩
左幸子 田宮二郎
女性たちの処世術を
女の経典と銘打った女経。
3人の監督が
3人の大映スター女優で
3話のオムニバスを撮ったドラマ。
1話目
耳を噛みたがる女は、
あやや(若尾文子)主演![]()
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「勝手にしやがれ」の
ジーン・セバーグと同じく
「絵と私、どっちがいい?」
と尋ねる台詞がチャーミング。
若尾文子の活き活きとした姿が
見ていて飽きないんですよね。
めちゃ可愛い。
ホステスの彼女は甘え上手で、
全く悪びれない図太さがあり、
清々しいほどの嘘をつく。
感想
”ダルマ船の娘とじゃ
釣り合わないから…って
婚約者の親に反対され破談になった。
だから金持ちになってやるわ。
男は信用できないけど
お金は素直。たくさん増やすの”
意気込んで兜橋を渡っていく。
ホテルの一室では
出張中のお客が紀美を待っていた。
「そのフタのついたの、なあに?」
「便所だよ。こうやって座ってするんだ」
「お風呂とトイレが一緒だなんてね。
私、初めてホテルに来たのよ」
初心なフリして
客から金をせしめると耳たぶを噛む。
「アタシ、嬉しいと噛んじゃうの」
お風呂のバスタブにお湯を入れ、
オジさまが裸になったところで
タイミングよく妹から電話がかかる![]()
「お父ちゃんが今から手術⁈
大変!帰らなきゃ」
スルリと逃げていく。
裸の男は追いかけられず置き去り。
幼馴染の同級生だって容赦しない。
会社の資金を貢がせて
「あら~ん、
こんな大金、本当にいいの?
大変だったでしょう?
悪かったわねぇ一生忘れないわ」
札束を胸の谷間へとしまい込む。
いよいよ夜のお伴という段階で
どんな嘘をつくのかと思ったら
えぐい嘘もお茶の子さいさい。
「私、お酒飲まなかったでしょ?
じつはね、悪い男に乱暴されて
病気を感染させられちゃったの。
男の人にもうつる病気。
わかるでしょ?」
被害者面でメソメソしてみせる![]()
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ようもまぁ…
ぬけぬけと![]()
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呆れるやら感心するやら![]()
クラブのライバルたちにとって
紀美の存在は死活問題。
「つぎは
社長の跡取り息子を狙ってる。
私たちの受持ちなのにさ。
アンタみたいな
すれっからしに割り込まれちゃ
たまったもんじゃないわ。
手を切りなさい」
しかし、紀美はきっぱり拒否。
「いやよ。恋人よ」
社長息子の正巳が本命なのだ。
一方、プレイボーイの正巳は
「紀美をタダでモノにできるか」
友人と賭けをしている。
そんなことなど知らない紀美。
金ができるたび、正巳の会社の株を買う。
同じ銘柄、一筋。
正巳、一筋。
正巳は苦労知らずのお坊ちゃん。
強がっているけど本当は気が小さくて
親をうっとうしがりながらも
良い子でいる可愛い青年。
紀美の父親は
水商売の娘にたかる親で
うっとうしいけど捨てきれず、
お小遣いを渡す日々。
「しっかり者の自分なら
あんたの事支えてあげられる」
紀美は結婚を申し込む。
「もしも
私と結婚する気がないなら
このまま帰って」
正巳は帰りかけて
紀美にダイブ!
が…翌朝、紀美の耳に
ショックなニュースが
飛び込んできた。
正巳は家に帰ったものの、
気持ちが揺れ始め
紀美の元へ取って返すのだが…
紀美は優しい嘘をついて
彼を追い返します。
なぜか?
それは本編をご覧くださいね。
紀美の友達がため息まじりに
「アンタ、馬鹿ねぇ」と声をかけると
紀美は明るく答えます。
「私なら大丈夫!
今夜からモリモリ働くぞ」
いつのもように兜橋を渡り、
ふと立ち止まる。
ちょっと川を眺めて
再び歩きだす。
小悪魔な女の子が仁義を通す。
そこんとこ、好きだなぁ。
紀美ちゃん、ファイト!

































